16 / 19
16
しおりを挟む
「”そろばん”とか使うともっと早くできるんですけどね~。」
「…そろ、ばん?」
こんな風にときどき穂乃香の口からはわからない単語がポンとでてくる。
「あ!”そろばん”、無いですよね。この世界には?えーと、木でできているのですけど・・・一本の棒に5つ玉が射してあって、それが何本もあって・・・どうせなら作って見ませんか?それがあると誰でも計算しやすくなると思うんです。」
そんな穂乃香の一言で、その日の午後は、庭師のボンと一緒に、穂乃香の指導の下そろばんを作ることになった。
どんぐりのような実、オコという硬い木の実を5つ、真ん中に穴を開けて、細くて硬いできるだけまっすぐな枝に通す。
それを10本作り木の枠で囲った。
5つ目のオコと4つ目の間に仕切りようの板をはめ込んだ物はそれなりに形になった。
ボンが軽く鑢をかけたくれて、穂乃香の知っている”そろばん”より桁数は少ないのに大きめの物ができあがった。
「できた!ありがとう、ボンさん。」
大きな身体に白いひげを蓄えた、穂乃香の祖父くらいに見えるボンは、人の良さそうな笑みを浮かべて頷いた。
口数が少ないボンとは、穂乃香は時々一緒に庭の草むしりを手伝う仲になっていた。
「…こどものおもちゃのようだな。」
不意に後ろからかかる聞きなれた声にしゃがんだまま顔を向けた。
「デフくん!仕事、もういいのですか?」
「ああ…それより、例の”そろばん”はできたのか?」
「はい!見てみて。」
デフロットが穂乃香の隣りに片膝を付いて覗き込む。
「下のオコの実は1つが1個、上のオコの実は1つで5個分を表すんですよ。右側から1の位、隣りが10の位その隣りが…。」
穂乃香は指差しながら説明する。
ボンも興味深そうにひげをなでならが頷く。
「例えば、1足す2で、ほら3になったでしょ?更に3を足すときは、上の5を利用するんです。3が5になるためには2が足りないでしょ?だから、下から2個もらって…5を寄せて、下の残った1個と合わせて6に…ね。こんな感じで使うんです。これがあれば、指を折って数えなくてもいいし、使い慣れればもっと早く計算ができますよ。」
オコの実を口に合わせて穂乃香は下げたり押し上げたりする。
「これは便利そうだね、お譲ちゃん。」
ボンは穂乃香を”お譲ちゃん”と呼ぶ。
最初は心の中で22歳なんだけど、と反論していたが今はもう慣れた。
「確かに…でも、ホノカはコレを使わなくても計算は速いだろ?」
「う~ん、そうだけど…桁数が多くなるとこれを使いたくはなりますよ。」
そう言って作りたての”そろばん”を笑顔でカシャカシャと振る穂乃香。
やっぱり幼くて可愛いらしいと思い、その姿にデフロットは目を細めた。
そんなデフロットをボンは珍しいものを見たかのよう目を開きひげをなでることも止めた。
穂乃香とボンが作った”そろばん”はその後、改良を重ね数個作り、屋敷の者はそれを使い商人とやり取りを始めた。
屋敷の者は無駄が無くなった事、商人は金額の間違が無くなった事にお互い喜んだのだった。
「…そろ、ばん?」
こんな風にときどき穂乃香の口からはわからない単語がポンとでてくる。
「あ!”そろばん”、無いですよね。この世界には?えーと、木でできているのですけど・・・一本の棒に5つ玉が射してあって、それが何本もあって・・・どうせなら作って見ませんか?それがあると誰でも計算しやすくなると思うんです。」
そんな穂乃香の一言で、その日の午後は、庭師のボンと一緒に、穂乃香の指導の下そろばんを作ることになった。
どんぐりのような実、オコという硬い木の実を5つ、真ん中に穴を開けて、細くて硬いできるだけまっすぐな枝に通す。
それを10本作り木の枠で囲った。
5つ目のオコと4つ目の間に仕切りようの板をはめ込んだ物はそれなりに形になった。
ボンが軽く鑢をかけたくれて、穂乃香の知っている”そろばん”より桁数は少ないのに大きめの物ができあがった。
「できた!ありがとう、ボンさん。」
大きな身体に白いひげを蓄えた、穂乃香の祖父くらいに見えるボンは、人の良さそうな笑みを浮かべて頷いた。
口数が少ないボンとは、穂乃香は時々一緒に庭の草むしりを手伝う仲になっていた。
「…こどものおもちゃのようだな。」
不意に後ろからかかる聞きなれた声にしゃがんだまま顔を向けた。
「デフくん!仕事、もういいのですか?」
「ああ…それより、例の”そろばん”はできたのか?」
「はい!見てみて。」
デフロットが穂乃香の隣りに片膝を付いて覗き込む。
「下のオコの実は1つが1個、上のオコの実は1つで5個分を表すんですよ。右側から1の位、隣りが10の位その隣りが…。」
穂乃香は指差しながら説明する。
ボンも興味深そうにひげをなでならが頷く。
「例えば、1足す2で、ほら3になったでしょ?更に3を足すときは、上の5を利用するんです。3が5になるためには2が足りないでしょ?だから、下から2個もらって…5を寄せて、下の残った1個と合わせて6に…ね。こんな感じで使うんです。これがあれば、指を折って数えなくてもいいし、使い慣れればもっと早く計算ができますよ。」
オコの実を口に合わせて穂乃香は下げたり押し上げたりする。
「これは便利そうだね、お譲ちゃん。」
ボンは穂乃香を”お譲ちゃん”と呼ぶ。
最初は心の中で22歳なんだけど、と反論していたが今はもう慣れた。
「確かに…でも、ホノカはコレを使わなくても計算は速いだろ?」
「う~ん、そうだけど…桁数が多くなるとこれを使いたくはなりますよ。」
そう言って作りたての”そろばん”を笑顔でカシャカシャと振る穂乃香。
やっぱり幼くて可愛いらしいと思い、その姿にデフロットは目を細めた。
そんなデフロットをボンは珍しいものを見たかのよう目を開きひげをなでることも止めた。
穂乃香とボンが作った”そろばん”はその後、改良を重ね数個作り、屋敷の者はそれを使い商人とやり取りを始めた。
屋敷の者は無駄が無くなった事、商人は金額の間違が無くなった事にお互い喜んだのだった。
1
あなたにおすすめの小説
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる