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19、能力の違い
しおりを挟む智子は続ける。
「異性に触られる事がイヤだったんじゃなく、その人がカトユの好きな人ではなかった、という事じゃないかな。私の事、特殊能力があるって言ってるけど、カトユだって、好きでもない人から触れたら気持ち悪くなるし、自分の好きな人から触れらたら気持ち悪くなんてならない、ていう能力があるんじゃない。カトユは”好きな人・嫌な人感知センサー”だけど、私は”この人良い人・悪い人感知センサー”という違いなんだと思うよ。能力と言うか、反応が敏感とか素直、て事かな。」
そうかもしれない。
昊人と出会った日に気持ち悪いとか嫌悪感とか何も無かった。
どうして気持ち悪くならなかったのかは、電話が来たあの夜、それはハッキリとした。
それは好きな人。
ランチで一緒にいる事はとても嬉しかったし、ずーとドキドキが止まらなかった。
男性といてこんなに浮き足立つ事なんて、今、考えても思い出せないくらい昔の事。
イヤ、無いのかもしれない。
この感情が初めてだからどう自分の中で処理していいのか、どう行動すればいいのかわからず混乱している、ということ?
「・・・智ちゃんの言う通りだね。・・・なんか今まで無理してたのかな。気がつかなかったけど。流されて無理して付き合って、別れて、嫌な思いして・・・。なんかバカらしいね。」
「そんなことなよ。」
智子はふんわりと首を横に振り、優しく微笑みながら。
「今のカトユを作ったのはそういう経験も一部分になっているんだよ。だから、無駄じゃないよ。・・・でも、今会いたいのに会わないのは無駄!会いたいんでしょ?会いたいって電話してよ。私も会いたいし~。」
智子の語尾にハートマークが見える・・・。
「こっちの思いはハッキリしたけど、あっちの思いはわからない・・・。だから、電話はしない。・・・恐いよ。」
「え~。会わなければわからないじゃない~。」
それもそうなんだけど・・・。
忙しいだろうから無理だと思うし、迷惑になりたくない。
そして、嫌われたくない。
電話をして出なかったり、ずーと折り返しが来なかったりしたら、心が折れそうで恐い。
SNSのメッセージでさえ既読も付かなかったら二度と送れなくなる。
そんな弱い自分がいたんだと思うと驚きだけど、益々動けなくなる。
智子が、そうだ!と言って手を叩く。
「今から、その夜カフェに行こうよ。ピアノ王子はいないだろうけど、そこのマスターが友達なんでしょ?類は友を呼ぶ、て言うじゃない?まずは、その人をチェック!・・・ステキだっていうそのカフェにも行ってみたいしね。」
昊人の事は、ピアノ王子として名前を変換した智子。
あまり人に教えたくない。
だって、自分だけの隠れ家的なとってもステキなカフェだから。
人気が出て有名な昊人が来辛くなったらと思うと、人に教えていいのか迷う・・・。
でも、ヒョイヒョイ誰かに教える事の無い彼女なら案内してもいいか。
「そういえば、私も行くって言っておきながら行ってないし・・・。じゃあ、行く?」
「行こうよ!」
すみません~、と早速会計に向かう行動の早い智子に唖然としながら、友達とお茶しに行くだけ、と本当は行きたい自分に言い聞かせる裕だった。
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