恋、できる?!~ピアノ王子の恋はいたって普通(女子)~

奈井

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18、今の2人

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芸暦6年の智子、改め、丹生 桃味(にう ももみ)。

今では、映像だけではなく写真集、週刊誌のグラビア、イベントなどの仕事の依頼がくる。

「この前、会社の置いてあった週刊誌の表紙が『丹生 桃味(にう ももみ)』ちゃんだったよ。すごい活躍だね。」

「ありがとう~。て私の話はいいから、そのピアニストあわせてよ~。」

「・・・忙しいと思うよ。しばらく、日本にはいるらしいから会わせたいとは思うけど・・・。」

「そうだよ。会って触れてみないといい人か、わからないもの~。」

彼女に相談したもう1つの理由。

それは、彼女の特殊能力。

触れるとその人が善良な人か、そでないかがわかるというもの。

特殊能力と言っても、本当にそんなものがあるのか、本人も裕もわからない。

でも、智子は相手の手でも腕でも触れれば、何か通じるものを感じると言う。

まるで理科の実験のように、電池を繋げて豆電球が光るように。

相手が嘘を付いていたり、自分に対して邪の事を考えていれば、通じる感じがしないのだという。

そして、智子は通じる相手と仕事で絡みあえば、その映像ソフトは確実に売り上げが伸びるという。

その能力があるからこそ、自信を持ってこの仕事にも就いたと智子は言っていた。

だから、いつも裕に彼氏ができると智子は心配で相手に会わせろという。

智子に会わせる前に別れるのが常だが・・・。

裕だって彼になった人を疑っているわけではない。

1歩踏み出せない原因は、相手を信用できない事も、付き合いが長続きしない理由ではないかと智子に指摘されたが、裕は否定していた。

でも、不安を1つでも解消できれば、もっと普通に恋愛できるのでは、と智子に言われて、裕も少しだけ納得してしる部分もあった。

だから、最後の一押しがほしい時に智子には登場願おうと以前から約束している。

今回は、話だけ聞いてもらおうと思って智子と会ったので、その能力は必要ないのだが、智子は結構乗り気だ。

「もうちょっと、自分の中で整理ついたら、能力の方はお願いするよ。今じゃないと思うし。」

「ふ~ん、そうか。まあ、いつでも呼んでよ。じゃあ、デートどうだった?」

「デート?そんなのしてないよ。」

裕は、公演の次の日、昊人と待ち合わせをし、約束通りランチをした。

変に意識してしまい、ドキドキが止まらなく、行動がぎこちなくなってしまって、何度も昊人に『具合悪いの?』と聞かれた。

額に手を当て熱を確かめられたりもした。

それで、益々顔が赤くなり自分でもどうしたらいいのかテンパッて更に動きが変になってしまった1日だった。

「えー!ランチしたって言ったじゃない?」

あの日の事を思い出していた裕だったが、智子の言葉で今に引き戻された。

「ランチしたよ。」

「それそれ!ランチの後は?」

「うーん、映画見て、お茶して・・・。」

「そういうのデートっていうでしょう!楽しかった?嫌だった?」

食事や映画なんて定番中の定番のデートだ。

「・・・そう言われてみれば、そうか。・・・楽しかったよ。」

そう、昊人と会っているという事実だけで楽しかった。

「手とか繋いだ?」

繋ぐわけ無い!

自分は額に手を当てられただけでも、心臓が爆発しそうで普通じゃいられなかったのに、手など繋ぐなんて無理!

「繋いでないよ!そういう雰囲気じゃないなかったし、それに、私ってそういうのダメじゃん。」

男性に触られる事は、裕にとって難題だった。

26歳にもなって中学生、イヤ、今どきの中学生の方が進んでいる。

小学生クラスだ・・・。

落ち込む裕。

「・・・でも、最初の別れ際に、頬にキスされたんでしょ?それについて、カトユは気持ち悪いとか言ってないよ。・・・だったら、その人の事が好きだから大丈夫だったんじゃないのかな?」

確かに気持ち悪くはなかった。

そんなことより、顔が熱くなって恥ずかしかった事を思い出す。

「でも、会ったばかりの日だよ。それで、好きなんて・・・。第一、今まで付き合ってきた人だってそれなりに好きだったよ。」

多い数ではないし、期間は短いが、ちゃんと相手を見て付き合っていたはず。

「好き、と思い込んでいただけかもよ。『恋をしようとする』事は意識的で努力をする事であって、『恋する』事は無意識でたとえ自分であってもコントロールできない事だから。」

そうか、始めから昊人には惹かれていたのかもしれない、と裕は智子の話を聞いてなんだか納得してた。

恋をしていると自覚した今だから余計に腑に落ちる。

まだそんなに遅くない夜に、嫌なら途中で帰ればいいと思って昊人について行ったあの日。

移動の電車の中でも普通に楽しく話ができた。

ラテを飲んでいる時だって、お互い素直に話ができた。

それはカフェの雰囲気にのまれたのだと思っていた。

キスされた頬がいつまでも熱かった。

ピアニストなんて特殊な、もう会う事も無い彼への憧れだって。

自分の中でごちゃごちゃしていた事が急に決まった棚に整頓されていくように片付く。

そうなると綺麗に片付いた空間で更に考えができるようになる。






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