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2学期の始まり
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「シンジっ黒くなったわね…。」
浅川さんが真実を嬉しそうに見つめている。
「ああ。だいぶ焼けただろ。まあ冬には戻ってるだろうけど。」
2人の会話を聞きながら泉に話しかける。
「泉…おはよう。」
「おはよう透…。ちゃんとご飯食べてる?」
泉が心配そうに見つめてくる。
「うん。せっかく泉に料理の仕方教えてもらったのを無駄にしたくないから毎日やってるよ。」
今朝も弁当を作ってきた。
泉に弁当箱を見せると安心したように泉が笑った。
「泉…だし巻き卵後で食べてみてよ。作り方の研究してるんだ。」
泉と一緒にお昼を食べる。
「でさ…その後にしばらく蒸らしておくんだ。」
「うん…美味しいっ。」
泉の笑顔はやっぱり癒されるな…。
そう思いながら一緒に過ごす。
「平和ね…。」
そんな透達をみて浅川さんが呟く。
「…。」
真実は黙って透を眺めていた…。
★
「じゃあ真実も浅川さんも部活頑張ってね。」
「ありがとう★また来週ねっ」
「気をつけて帰れよ。」
2人に手を振って泉と帰る。
何を話そうか迷っているうちにあっという間に泉の家に着いてしまう。
「透…寄って行かない?お母さんが透の事いつでも連れてきなさいって…。」
「うん…ありがとう。でもまた今度にするよ。お礼もちゃんとしたいし…。」
泉が赤い顔で俯く。
「あの…明日…透の家に遊びにいってもいい?」
「うん。じゃあ一緒に勉強でもして家でご飯でも食べようか。」
嬉しそうに泉が頷く。
明日は土曜日だった。
進学のためにしばらくバイトはやめたので勉強に集中できる筈だ。
「じゃあ泉…また明日ね。」
泉の手に触れる。
泉が赤くなりながら笑った。
「ただいま…。」
自分の声が家に響く。
当然のことながら返事はない。
そっと靴を脱いで揃える。
明日は泉が遊びにくるって言ってたし、洗濯とか済ませるか…。
…なんだか少し身体が重い。
洗った洗濯物を干して、お風呂に入る。
…自分以外に生活音を出すものがいない…。
…何か虚しくなってしまう…。
…こんな生活がずっと続くのかな…。
そう考えると恐ろしくなった。
作るのが面倒になり、夕飯はカップ麺で済ませた。
お湯を沸かすだけでできるこの食事はとても簡単で便利だった。
カップ麺を食べていると玄関のチャイムが鳴った。
…誰だろう。
ドアを開けると真実だった。
「これ母さんがお前にって。一緒にメシ食おうぜ。」
真実を家に上げる。
「んっ?ちょうどメシ中だったか。でもお前こんなので足りるのか?」
真実が持ってきてくれたお母さん手作りのお惣菜を広げる。
「あとそれ泉が作ったやつだぞ。」
「えっどれどれ?」
泉が作ったと言うミートボールを食べる。
「やっぱり美味しいね…。」
泉の顔を思い浮かべてしまう…。
ほんの少し前までは当たり前のように食べれていたのに…。
…少し寂しくなってしまう。
真実が持ってきてくれた真実のお母さんお手製のご飯ももちろん美味しかった。
「お前さ、うちの親苦手か?」
唐突に真実がそんなことを言い出した。
「ん?別にそんなことないよ?真実のお父さんもお母さんも優しいしいい人達じゃない?」
「…だったら何で…こっちに帰ったんだよ…。あのまま一緒に暮らしても全然…。」
…ああ…そのことか…。
「…今の俺には少し…。きつかったからかな…。やっぱりどんなにいい人でも俺多分…義理だったけど…あの人たちのこと考えちゃうと思うんだ…。やっぱり生きていて欲しかったしさ…。真実達の両親がどうとかじゃなくて…まだあの人たちのことを思い出にできるほど気持ちの整理もついてないし…。」
「…。」
「まだあったかい家庭に溶け込めるほどオレ…強くなれないよ…。ごめん。」
視界が滲んだ。
「…いや…オレの方が…悪かったよ。けど、寂しくなったら絶対…俺でも泉でも呼び出せよ?一人で抱えるな。」
「うん…ありがとう。正直今日真実が来てくれて…良かった…。」
耐えられずに涙が出てしまう。
「…。」
真実に抱きしめられる。
「ああ…。ずっと透の事が気になってたからな…。」
真実に抱きしめられながら頭を撫でられていると唐突に真実の携帯が鳴った。
「あ、ヤバイ…もうバレたのか…。」
「…?」
真実はさらりと携帯の通話ボタンを押す。
電話の相手は…泉のようだ。
少し音が漏れているため大体何を話しているのか分かってしまう。
…泉…怒ってる?
ーシンジっ私が作ったミートボール全部持って行ったでしょ?!しかもずるいっ自分だけ透の家に行っちゃって…。明日透と食べようと思って作ったのにっ!
「なんだよ、明日食うのも今日食うのも変わらないだろっ!透ウマイって言ってるぞ?」
ー!?…そう…ならいいけど…。ってでもどうして私がお風呂に入ってる間に行っちゃうのっ!私だって一緒に行きたかったのに…。
「明日泉は透の家に行くって言ってたからいいかと思って…。もういいだろっ、明日にでも泊まりに来れば。じゃあなっ!明日に備えて早く寝ろよっ!」
ーあっ!ちょっとっ!!
真実は無理矢理電話を切る。
「…。」
真実と目が合った。
泉が怒っていた筈なのに何故かすごく面白くなってしまい笑う。
真実も同じようで二人で笑った。
いつのまにかに涙は乾いている。
ひとしきり笑って、落ち着く。
「…ってわけだから泉がミートボールに執着してたら明日一緒に作ってやってくれ。」
「…うん。」
真実と一緒にご飯を食べる。
その流れで真実に泊まって行ったら?と聞いたがこれ以上泉を怒らせたくないと言って帰って行った。
「何かあったらいつでも呼べよ?遠慮なんかするなよ?」
真実はそう言って帰って行った。
…ありがたいな…。
そう思いながら真実の背中を見送った。
浅川さんが真実を嬉しそうに見つめている。
「ああ。だいぶ焼けただろ。まあ冬には戻ってるだろうけど。」
2人の会話を聞きながら泉に話しかける。
「泉…おはよう。」
「おはよう透…。ちゃんとご飯食べてる?」
泉が心配そうに見つめてくる。
「うん。せっかく泉に料理の仕方教えてもらったのを無駄にしたくないから毎日やってるよ。」
今朝も弁当を作ってきた。
泉に弁当箱を見せると安心したように泉が笑った。
「泉…だし巻き卵後で食べてみてよ。作り方の研究してるんだ。」
泉と一緒にお昼を食べる。
「でさ…その後にしばらく蒸らしておくんだ。」
「うん…美味しいっ。」
泉の笑顔はやっぱり癒されるな…。
そう思いながら一緒に過ごす。
「平和ね…。」
そんな透達をみて浅川さんが呟く。
「…。」
真実は黙って透を眺めていた…。
★
「じゃあ真実も浅川さんも部活頑張ってね。」
「ありがとう★また来週ねっ」
「気をつけて帰れよ。」
2人に手を振って泉と帰る。
何を話そうか迷っているうちにあっという間に泉の家に着いてしまう。
「透…寄って行かない?お母さんが透の事いつでも連れてきなさいって…。」
「うん…ありがとう。でもまた今度にするよ。お礼もちゃんとしたいし…。」
泉が赤い顔で俯く。
「あの…明日…透の家に遊びにいってもいい?」
「うん。じゃあ一緒に勉強でもして家でご飯でも食べようか。」
嬉しそうに泉が頷く。
明日は土曜日だった。
進学のためにしばらくバイトはやめたので勉強に集中できる筈だ。
「じゃあ泉…また明日ね。」
泉の手に触れる。
泉が赤くなりながら笑った。
「ただいま…。」
自分の声が家に響く。
当然のことながら返事はない。
そっと靴を脱いで揃える。
明日は泉が遊びにくるって言ってたし、洗濯とか済ませるか…。
…なんだか少し身体が重い。
洗った洗濯物を干して、お風呂に入る。
…自分以外に生活音を出すものがいない…。
…何か虚しくなってしまう…。
…こんな生活がずっと続くのかな…。
そう考えると恐ろしくなった。
作るのが面倒になり、夕飯はカップ麺で済ませた。
お湯を沸かすだけでできるこの食事はとても簡単で便利だった。
カップ麺を食べていると玄関のチャイムが鳴った。
…誰だろう。
ドアを開けると真実だった。
「これ母さんがお前にって。一緒にメシ食おうぜ。」
真実を家に上げる。
「んっ?ちょうどメシ中だったか。でもお前こんなので足りるのか?」
真実が持ってきてくれたお母さん手作りのお惣菜を広げる。
「あとそれ泉が作ったやつだぞ。」
「えっどれどれ?」
泉が作ったと言うミートボールを食べる。
「やっぱり美味しいね…。」
泉の顔を思い浮かべてしまう…。
ほんの少し前までは当たり前のように食べれていたのに…。
…少し寂しくなってしまう。
真実が持ってきてくれた真実のお母さんお手製のご飯ももちろん美味しかった。
「お前さ、うちの親苦手か?」
唐突に真実がそんなことを言い出した。
「ん?別にそんなことないよ?真実のお父さんもお母さんも優しいしいい人達じゃない?」
「…だったら何で…こっちに帰ったんだよ…。あのまま一緒に暮らしても全然…。」
…ああ…そのことか…。
「…今の俺には少し…。きつかったからかな…。やっぱりどんなにいい人でも俺多分…義理だったけど…あの人たちのこと考えちゃうと思うんだ…。やっぱり生きていて欲しかったしさ…。真実達の両親がどうとかじゃなくて…まだあの人たちのことを思い出にできるほど気持ちの整理もついてないし…。」
「…。」
「まだあったかい家庭に溶け込めるほどオレ…強くなれないよ…。ごめん。」
視界が滲んだ。
「…いや…オレの方が…悪かったよ。けど、寂しくなったら絶対…俺でも泉でも呼び出せよ?一人で抱えるな。」
「うん…ありがとう。正直今日真実が来てくれて…良かった…。」
耐えられずに涙が出てしまう。
「…。」
真実に抱きしめられる。
「ああ…。ずっと透の事が気になってたからな…。」
真実に抱きしめられながら頭を撫でられていると唐突に真実の携帯が鳴った。
「あ、ヤバイ…もうバレたのか…。」
「…?」
真実はさらりと携帯の通話ボタンを押す。
電話の相手は…泉のようだ。
少し音が漏れているため大体何を話しているのか分かってしまう。
…泉…怒ってる?
ーシンジっ私が作ったミートボール全部持って行ったでしょ?!しかもずるいっ自分だけ透の家に行っちゃって…。明日透と食べようと思って作ったのにっ!
「なんだよ、明日食うのも今日食うのも変わらないだろっ!透ウマイって言ってるぞ?」
ー!?…そう…ならいいけど…。ってでもどうして私がお風呂に入ってる間に行っちゃうのっ!私だって一緒に行きたかったのに…。
「明日泉は透の家に行くって言ってたからいいかと思って…。もういいだろっ、明日にでも泊まりに来れば。じゃあなっ!明日に備えて早く寝ろよっ!」
ーあっ!ちょっとっ!!
真実は無理矢理電話を切る。
「…。」
真実と目が合った。
泉が怒っていた筈なのに何故かすごく面白くなってしまい笑う。
真実も同じようで二人で笑った。
いつのまにかに涙は乾いている。
ひとしきり笑って、落ち着く。
「…ってわけだから泉がミートボールに執着してたら明日一緒に作ってやってくれ。」
「…うん。」
真実と一緒にご飯を食べる。
その流れで真実に泊まって行ったら?と聞いたがこれ以上泉を怒らせたくないと言って帰って行った。
「何かあったらいつでも呼べよ?遠慮なんかするなよ?」
真実はそう言って帰って行った。
…ありがたいな…。
そう思いながら真実の背中を見送った。
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