◆君と一緒にいられたら…〜青海透の恋愛事情

青海

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卒業…そして

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 卒業式直前…久しぶりに見た浅川さんは恐ろしく綺麗になっていた…。

 首筋にはいくつかのキスマークと少し切れている唇に赤く腫れた頬…。

 キスマークはともかく頬と切れた唇には見覚えがあった…。

 浅川さん…誰かに…。

 「…マスクと髪で…隠れるかと思ったんだけど…。」

 困ったように笑う浅川さんはどこか苦しそうだった。

 「浅川さん…それって…。」

 浅川さんの頬に触れる。

 「…処女じゃないって…バレちゃったから…仕方ないわねっ。」

 「…それで殴られたの?」

 「そりゃあそうよ。あっちはその目的で私の借金背負ったんだろうし…。私も…分かってたから…一番最初はシンジと…どうしてもしたかったんだっ。…願いは叶ったんだし…。もういいのっ。」

 浅川さんは悲しげに笑った。

 「透クンお願い…朝まで寝れなかったから…式の最中私が寝てたら起こしてね。」

 「浅川さん…大丈夫…?」

 「…これでシンジと会えるのも最後だろうし…ちゃんとしてる所見せたいの。」

 …。



 どうして今ここに真実がいないんだろう。

 真実は…生徒代表で壇上に上がるため、先生達に捕まっている。

 真実に全てを打ち明けて…浅川さんを連れ去って欲しかった。

 浅川さん…このまま別れたら…昔の自分みたいなことになるんじゃないか?

 …身体から変な汗が出てくる…。

 
 

 「透っ…浅川さんっ?」

 後ろから泉の声が聞こえてくる。

 浅川さんはマスクをかけていつもの様子で泉に話しかけ始める。

 「水野さん久しぶりっ。今日も可愛いわねっ。」

 「…浅川さんこそ…すごい綺麗になったね。」

 何も知らなければ無邪気な会話だが…。

 「水野さんの絆創膏持ってない?ダンナが朝まで離してくれなくって…。」

 「っ…浅川さん。絆創膏で隠そうっ。…でもいいな。愛されてるね。」

 「…何言ってるの、水野さんこそ透クンに愛されまくってるでしょ?」

 照れたように笑う泉…。

 




 結局真実と浅川さんは話すことなく卒業式は始まってしまった。

 あいうえお順に席が並んでいて浅川さんの隣に並んでいる透からは後ろにいる真実と泉の姿は見ることが出来ない。

 …それでも…真実からは浅川さんが確認できるはずだ。

 

 名前順に体育館に入場して椅子に座る。

 国歌斉唱やら関係者の言葉やら…。

 …長い…。

 ただでさえ体育館は寒いのに…眠くなってくる…。

 ふっと隣を見ると浅川さん…マスクをしてるのをいい事に目を閉じて…寝てる!?

 …まあ朝まで寝れなかったって言うし…。

 大事なところになったら起こそう…。

 
 

 長い関係者の話が終わり卒業証書授与式に移る。

 …浅川さんは一番最初だ!

 慌てて起こして何とかセーフ。

 浅川さんはしっかりとした足取りで壇上に上がり校長から証書を受け取る。

 寝ぼけて階段から落ちたりしないだろうか…。

 勝手に心配になる。

 ドキマギしたおかげで2番目の緊張感を持たずに済んだ。

 透も難なく証書を受け取り席に戻ろうとして真実に気づく。

 ぼんやりと浅川さんを見つめている…。

 その隣で泉がニコニコと透を見つめていた。

 泉に微笑みかけて席に着く。



 そこからがまた長い…。

 真実と泉の番までまだ大分ある…。

 …昨日の夜…緊張して寝れなかったせいで…眠くなってくる…。

 …。

 何とか浅川さんを起こすために起きてようと頑張るが…。

 

 「ちょっと、透クン!次水野さんの番よっ!」

 浅川さんの声でハッとする。

 慌てて壇上を見るとまさに泉が証書を受け取っているところだった。

 …泉…頑張れ!可愛すぎっ!!

 泉の行動を見逃さないように熱い目線で…。

 泉も難なく証書を受け取り席に着く。



 次は真実だっ!
 
 真実だから難なく…と思ったが…。

 真実は壇上に上がる階段脇で固まっている…。

 …こっちを見てるし…?

 …浅川さんに気づいたのか?

 真実は先生に注意されてハッとしたように壇上に上がる。

 証書自体は難なく受け取るが…。

 あろうことか階段を降りながら浅川さんに見惚れているのか階段から滑り落ちそうになる。

 …危ないっ!

 壁に手をつき、転びはしなかったが…真実ってば…。

 「大丈夫?」

 いつの間にかに席を立ったのか浅川さんが真実のそばで手を差し伸べる。
 
 滑って驚いたのか浅川さんに驚いたのか真実は唖然としている。

 「もうしっかりしなさいよ。いつもの真実らしくないわねっ!」

 「…浅川…。」

 浅川さんは真実を立たせていつもの笑顔を見せてくれた。

 「…もう少しなんだから…いつものイケメンメガネぶりを発揮しなさいっ!」

 浅川さんに怒られながらも真実が笑った。

 …久々に見た真実の笑顔にホッとした。

 浅川さんは颯爽と戻ってくる。

 




 
 校長の言葉やら在校生の言葉を受けて卒業式代表として真実が壇上に上がった。

 浅川さんに叱られて…さっきとは打って変わって…まさにイケメンメガネだ!!

 真実は壇上に上がるなり周りを見渡す。

 最後にしっかり透と浅川さんを見つめて…話し始めた。


 真実が話しているのを聞きながら浅川さんを見る。

 浅川さんは…目を閉じてはいたが寝ているわけではないようだ。

 泣くのを我慢しているような…。

 真実の声に耳をすませているような感じだった。

 真実の静かな声が体育館に響いている…。

 ー最後に…。



 浅川さんがふと目を開けて真っ直ぐ真実を見つめる。

 壇上から真実も…浅川さんを見つめていた。


 ーどうか皆さまが健康で長生きされるように…心から願いますー。

  

 浅川さんの瞳から涙が溢れた…。

 

 そっとポケットを探ってハンカチを出す。

 浅川さんに差し出すと照れたように笑った。







 

 

 
 

 
 

 
 
 
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