◆妻が好きすぎてガマンできないっ★

青海

文字の大きさ
66 / 87

日常

しおりを挟む
 温かな泉の胸に顔を埋めて眠る……

 泉はただ優しく抱きしめてくれ、オレの後頭部を撫で続ける……

 「いずみ……愛してるよ……」

 泉の背中に腕を回してきつく抱きしめる。

 なにもせずにただただ裸で抱き合っていた。

 今はとてもエッチなことをする気分にもなれなくて……

 ひたすらに抱きしめて、お互いの体温を確かめ合う。

 








 不妊検査の後も生活は変わらなかった。

 毎日泉は変わらず仕事に行っていたし、オレも泉の世話を焼きながら在宅ワークを続ける。

 すずしろは毎日変わらずに元気に走り回って、お腹がすけば騒いで、遊んで欲しい時に猫じゃらしを咥えて寄ってきてくれる。

 今までと変わらない日常……

 ただ何故かその日常から彩りが失われてしまったような気がした。

 その理由はわかっていた。 

 オレ達の夫婦の間には多分子供はできない。

 検査直後からオレの中から消えてしまった性欲は復活する兆しもなく、ただただ今は生きているといった感じになってしまった。

 そんなオレを泉は毎晩ひたすらに抱きしめ続けてくれていた。

 ……本当は泉のほうがツラいはずなのに……

 ……情けないなあ……

 そう思いながらも何もできずにいた。

 







 「いずみ……あんまり仕事で無理しないでね」

 今日も眠そうな顔で起き出した泉に声をかける。

 「ん?ありがとう。私は大丈夫だよ」

 泉が微笑みオレを見つめる。

 「もうオレたちだけが生きていける分だけ稼げればいいんだし……」

 自分達2人とすずしろが生活できる分くらいはオレの収入でなんとかできるくらいにはなっていた。

 今までは子供ができた時のために……そう思って余分に働いていたのでもうその必要も無くなった今無理をする必要はなくなった。

 泉は意図を察したのか、一瞬寂しそうな顔をしたがすぐに微笑んだ。

 「それとこれとは別だよ。私は真実のことも支えたいし、水野家の娘として育てて貰った以上はやっぱり……真実だけに任せるのは悪いって思うから……無理もしてないよ」

 泉はそう言いながら起き上がり、オレの頬にキスしてくれた。

 「そんなことより、来週から夏季休暇なの忘れてるでしょ?今年はおじいちゃんが伊豆の別荘に招待してくれてるし……週末に一緒に水着見に行こうねっ★」

 

 泉のじいちゃん……ずうっと孫ができるの楽しみにしてたんだよなあ……

 そのうち……きちんと説明しなきゃ…

 ベッドから起き出した泉を追いかけながらそう思っていた。


 







 
 「こっちはどう?」

 「うん、凄い可愛いよ。泉にピッタリだね」

 可愛らしいヒラヒラのついた水着を着た泉はなんだか人魚のようだ。

 さっき見せてくれたシンプルなタイプのものも良かったし、こっちも可愛くてイイ。

 「どっちにしようかな……」

 迷っている泉の手から両方とも水着を受け取りレジに向かう。

 「透っ、ちょっと待って」

 追いかけてくる泉に微笑みかける。

 「どっちも似合ってるんだからどっちも買えばいいよ。日替わりでオレに見せてっ」

 支払いを済ませて店を出る。

 「透っ、私払うからっ!」

 財布を出そうとする泉をやんわり止めて手を繋ぎ、レストラン街に移動する。

 「オレ好みの水着着てくれるんならむしろオレに払わせて。泉他に欲しい物とかあるでしょ?ご飯食べながら次どこ行くか考えようよ」

 「ええっ、でもっ……」

 泉と一緒にレストラン街を眺める。

 「何食べようか?洋食和食、中華にイタリアン……何でもあるね」

 ぐるりと回ってトンカツ屋さんが気になると言うのでそこに入った。

 2人でカツ丼を注文して泉と話す。

 「やっぱりこのショッピングモールすごいね。全部回ろうと思ったら1日かかるね」

 泉はここの施設のガイドマップを眺めながら苦笑する。

 「本当に広いよね。行きたいお店探すのにも、移動するのにも疲れるねえ…まあオレには良い運動になるけど」

 注文したかつ丼を食べながら次にどこに行こうかと話す。

 「せっかくのバカンスなんだから、泉のお出掛けようのワンピース見にいこうよ。可愛いの選んであげるから……」

 そう言いながら泉の持っている施設マップを覗き込む。

 レディースのフロアーは……そう思った瞬間泉が意を決したように口を開いた。

 「あの、透っ!!」




 






 
 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...