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28話 アデリーナ視点
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いつの頃からか、アデリーナは不思議な夢を見るようになった。
夢はジェラルドと初めて顔を合わせた日から始まり、火事に遭うまでを繰り返す。けれど、毎回微妙に過程が異なっていた。
最初は状況がよくわからず、周りに合わせていた。夢の終わりには必ず火事に遭ってしまうのだが、逃げられないと察した瞬間目が覚めるので、それほど苦痛ではなかった。
ジェラルドと幸せに過ごしていた時間を過ごせるので、むしろ夢を見るのが少し楽しみになっていた。ジェラルドに拒絶された悲しみを埋めるための、現実逃避として無意識が見せた夢なのだろうと思っていた。
何かが変だと気づいたのは、何回目の夢だっただろうか。
他の人はいつも同じ言動をするのに、ジェラルドだけは違うことがあった。父の葬式を終えた後で取る彼の行動だけは毎回異なっていたのだ。
考えてみれば、ジェラルドは夢の中では最初のお茶会でアデリーナの好きなものの話をしていた。実際には彼がアデリーナの好みを知るのはもっと後のはずだ。
まるでアデリーナがそれを好きなのを知っているかのように、ジェラルドは自然に話題に出した。
何故、ジェラルドだけは違うのだろう。
もしかしたら、彼と夢を共有しているのではないか。他の人たちは夢の世界でのみ存在する虚像だが、ジェラルドとアデリーナだけは本物なのではないだろうか。そんな荒唐無稽な考えが浮かんだ。
「バカね……そんな魔法みたいなことがあるはずないのに」
自嘲しながらも、その考えを捨て去ることはできなかった。それどころか、夢を見る度にそうであったらいいと強く思うようになった。
顔を見せないどころか手紙の返事さえもくれないジェラルドが夢の中で自分に会いに来てくれている、そんな虚しい願いに縋ったのかもしれない。
だから、その事実はアデリーナをさらなる絶望に叩き落とした。
「あなたと結婚できないのは、俺がエルドレッド・ターナーだからだ」
一瞬、時が止まった気がした。
エルドレッド・ターナーの名前をアデリーナは覚えていた。何度もジェラルドから聞いたからというのもあるが、父が手にかけた一家のひとりだからだ。
亡くなっているはずのエルドレッドが何故ここにいるのか、混乱するアデリーナにジェラルドは淡々と説明したあと、険しい顔で告げた。
「あなたとの婚約もカールへの復讐のための道具でしかない。最初から、俺はあなたとは結婚するつもりはなかった」
すとん、とそれまでの疑問がすべて腑に落ちた気がした。
ジェラルドにとって、アデリーナに関わるすべては復讐のためでしかないのだろう。アデリーナの婚約者として現れたのも、アデリーナを拒絶しながら婚約は維持するのも、こうしてアデリーナが火傷を負うまでの夢を繰り返し見続けるのも、きっとジェラルドの復讐の一環に違いない。
アデリーナが火傷を負っても負わなくても、ジェラルドは最初からアデリーナを受け入れていなかった。誰が憎い敵の娘を愛せるというのだろう。
先程、己の半生を語った時、ジェラルドはカールがジェラルドの家族にしたようにアデリーナを巻き込んでやりたかったと言った。さすがに殺すことはできなかったようだが、その分苦しめたかったのだろう。
それならジェラルドは的確に正解を選べているとアデリーナは内心称賛した。アデリーナはとても傷ついていた。きっと、ジェラルドの期待以上に。
目が覚めてもアデリーナは起き上がることなく、ぼんやりと天井を見上げていた。何もする気になれず、その日は食事もあまり取れなかった。
「夢見が悪い日もありますよね。明日、何か甘いものでも買ってきましょうか。最近美味しいお菓子屋さんができたらしいですよ」
メイドは明るくアデリーナを慰めながら、火傷に薬を塗り込む。
腕に残る痛々しい痕を見ながら、これもジェラルドにとっては復讐の成果になるのだろうかとアデリーナは考えた。
そんな自虐的な思考になっていたせいだろうか。
その日の夢ではうっかりお茶を腕に引っかけてしまった。これも火傷になってしまうのだろうかとぼんやりと考えていると、ジェラルドが血相を変えてアデリーナを洗い場まで連れていき、腕を冷やした。
「私は火傷を醜いとは思いません。もちろん、ない方がいいとは思いますが……あったとしても、それはあなたを損なうものではない」
切々とジェラルドは語る。その瞳にもその声にも偽りはないように思えた。
ふと、アデリーナは湖でジェラルドが助けてくれた時のことを思い出した。いつ何時でも穏やかな物腰を崩さなかったジェラルドが、冷静さをかなぐり捨ててアデリーナを助けた。心からアデリーナを心配していたあの時と同じ真摯さだった。
ジェラルドはアデリーナに復讐することを望んでいても、その体が傷つくことには望んでいないのだろう。
アデリーナの火傷も拒まれたわけではないのかもしれない。
アデリーナはジェラルドの左腕に目を落とす。ジェラルドが茨で服を破いてしまったあの日、彼はこの火傷を見られるのを非常に嫌がっていた。その後もけっしてアデリーナの前では晒そうとしなかった。
それほどジェラルドにとっては、心の傷にもなっているのに。
沈んでいた心が浮上するのを感じた。
仇の娘なのに、復讐対象なのに、ここまで心を砕いてくれたのだから、もうそれでいいのではないか。ジェラルドがアデリーナに復讐をしたいのなら、とことん付き合おう。
アデリーナは今でもジェラルドを愛しているのだから。
たとえ片思いでも、復讐だとしても構わない。
どんな苦難でも、彼と一緒にいられるのなら、アデリーナにとっては幸せだから。
そう決意し、今後訪れるかもしれない不幸も覚悟していたのだが――。
「何度繰り返しても何をしても、あなたを救えない。俺はもう、あなたの傷つく姿を見たくない」
目の前の青年は涙を零してそう告げた。
アデリーナに復讐をしているはずなのに、真逆の願いを口にした。
「何故、愛する人に復讐しなければならないんですか! 俺はただ、あなたに笑顔を取り戻したかっただけだ。前みたいに笑って過ごしてほしくて……っ」
アデリーナの胸が震えた。視界が涙で滲む。
もし、これがアデリーナの都合の良い夢でないのなら。
彼がアデリーナの幸せを心から望んでくれているのなら。
――願っても、いいだろうか。
アデリーナは震える声で告げた。ジェラルドと病室で最後に顔をあわせた日から、ずっと秘めていた想いを。
「まあ! もう起きていらっしゃったのですね!」
朝食を持ってきたメイドが、起き上がったアデリーナを見て嬉しそうに声を上げた。
「ええ。今日は調子が良くて」
「それは良かったです」
メイドと談笑しながら、朝食を完食をする。
アデリーナの世話を一通り済ませ、食器を手に退室しようとしたメイドを呼び止める。
「昨日言ってたお菓子だけど、少し多めに買ってきてくれない?」
「かしこまりました。アデリーナ様はお痩せになられていますから、食べられる時に食べたいものをたくさん食べませんと!」
「違うの。……もしかしたら、人が訪ねてくるかもしれないから」
「まあまあ! でしたら、茶葉も買ってきますね! ちょうどなくなるところでしたから」
長らく塞ぎ込んでいた主の明るい姿に、メイドは喜び、いそいそと買い出しに行った。
ひとり部屋に残されたアデリーナは、閉じた扉を見る。この扉の向こうから、想い人は現れてくれるのだろうか。
あれはアデリーナの願望が見せた夢だったのかもしれない。ジェラルドは今もアデリーナを拒絶したままなのかもしれない。
「いいえ……ジェラルドは、きっと来てくれるわ」
そんな確信めいた思いを胸に、アデリーナは彼の訪れを心待ちにしていた。
夢はジェラルドと初めて顔を合わせた日から始まり、火事に遭うまでを繰り返す。けれど、毎回微妙に過程が異なっていた。
最初は状況がよくわからず、周りに合わせていた。夢の終わりには必ず火事に遭ってしまうのだが、逃げられないと察した瞬間目が覚めるので、それほど苦痛ではなかった。
ジェラルドと幸せに過ごしていた時間を過ごせるので、むしろ夢を見るのが少し楽しみになっていた。ジェラルドに拒絶された悲しみを埋めるための、現実逃避として無意識が見せた夢なのだろうと思っていた。
何かが変だと気づいたのは、何回目の夢だっただろうか。
他の人はいつも同じ言動をするのに、ジェラルドだけは違うことがあった。父の葬式を終えた後で取る彼の行動だけは毎回異なっていたのだ。
考えてみれば、ジェラルドは夢の中では最初のお茶会でアデリーナの好きなものの話をしていた。実際には彼がアデリーナの好みを知るのはもっと後のはずだ。
まるでアデリーナがそれを好きなのを知っているかのように、ジェラルドは自然に話題に出した。
何故、ジェラルドだけは違うのだろう。
もしかしたら、彼と夢を共有しているのではないか。他の人たちは夢の世界でのみ存在する虚像だが、ジェラルドとアデリーナだけは本物なのではないだろうか。そんな荒唐無稽な考えが浮かんだ。
「バカね……そんな魔法みたいなことがあるはずないのに」
自嘲しながらも、その考えを捨て去ることはできなかった。それどころか、夢を見る度にそうであったらいいと強く思うようになった。
顔を見せないどころか手紙の返事さえもくれないジェラルドが夢の中で自分に会いに来てくれている、そんな虚しい願いに縋ったのかもしれない。
だから、その事実はアデリーナをさらなる絶望に叩き落とした。
「あなたと結婚できないのは、俺がエルドレッド・ターナーだからだ」
一瞬、時が止まった気がした。
エルドレッド・ターナーの名前をアデリーナは覚えていた。何度もジェラルドから聞いたからというのもあるが、父が手にかけた一家のひとりだからだ。
亡くなっているはずのエルドレッドが何故ここにいるのか、混乱するアデリーナにジェラルドは淡々と説明したあと、険しい顔で告げた。
「あなたとの婚約もカールへの復讐のための道具でしかない。最初から、俺はあなたとは結婚するつもりはなかった」
すとん、とそれまでの疑問がすべて腑に落ちた気がした。
ジェラルドにとって、アデリーナに関わるすべては復讐のためでしかないのだろう。アデリーナの婚約者として現れたのも、アデリーナを拒絶しながら婚約は維持するのも、こうしてアデリーナが火傷を負うまでの夢を繰り返し見続けるのも、きっとジェラルドの復讐の一環に違いない。
アデリーナが火傷を負っても負わなくても、ジェラルドは最初からアデリーナを受け入れていなかった。誰が憎い敵の娘を愛せるというのだろう。
先程、己の半生を語った時、ジェラルドはカールがジェラルドの家族にしたようにアデリーナを巻き込んでやりたかったと言った。さすがに殺すことはできなかったようだが、その分苦しめたかったのだろう。
それならジェラルドは的確に正解を選べているとアデリーナは内心称賛した。アデリーナはとても傷ついていた。きっと、ジェラルドの期待以上に。
目が覚めてもアデリーナは起き上がることなく、ぼんやりと天井を見上げていた。何もする気になれず、その日は食事もあまり取れなかった。
「夢見が悪い日もありますよね。明日、何か甘いものでも買ってきましょうか。最近美味しいお菓子屋さんができたらしいですよ」
メイドは明るくアデリーナを慰めながら、火傷に薬を塗り込む。
腕に残る痛々しい痕を見ながら、これもジェラルドにとっては復讐の成果になるのだろうかとアデリーナは考えた。
そんな自虐的な思考になっていたせいだろうか。
その日の夢ではうっかりお茶を腕に引っかけてしまった。これも火傷になってしまうのだろうかとぼんやりと考えていると、ジェラルドが血相を変えてアデリーナを洗い場まで連れていき、腕を冷やした。
「私は火傷を醜いとは思いません。もちろん、ない方がいいとは思いますが……あったとしても、それはあなたを損なうものではない」
切々とジェラルドは語る。その瞳にもその声にも偽りはないように思えた。
ふと、アデリーナは湖でジェラルドが助けてくれた時のことを思い出した。いつ何時でも穏やかな物腰を崩さなかったジェラルドが、冷静さをかなぐり捨ててアデリーナを助けた。心からアデリーナを心配していたあの時と同じ真摯さだった。
ジェラルドはアデリーナに復讐することを望んでいても、その体が傷つくことには望んでいないのだろう。
アデリーナの火傷も拒まれたわけではないのかもしれない。
アデリーナはジェラルドの左腕に目を落とす。ジェラルドが茨で服を破いてしまったあの日、彼はこの火傷を見られるのを非常に嫌がっていた。その後もけっしてアデリーナの前では晒そうとしなかった。
それほどジェラルドにとっては、心の傷にもなっているのに。
沈んでいた心が浮上するのを感じた。
仇の娘なのに、復讐対象なのに、ここまで心を砕いてくれたのだから、もうそれでいいのではないか。ジェラルドがアデリーナに復讐をしたいのなら、とことん付き合おう。
アデリーナは今でもジェラルドを愛しているのだから。
たとえ片思いでも、復讐だとしても構わない。
どんな苦難でも、彼と一緒にいられるのなら、アデリーナにとっては幸せだから。
そう決意し、今後訪れるかもしれない不幸も覚悟していたのだが――。
「何度繰り返しても何をしても、あなたを救えない。俺はもう、あなたの傷つく姿を見たくない」
目の前の青年は涙を零してそう告げた。
アデリーナに復讐をしているはずなのに、真逆の願いを口にした。
「何故、愛する人に復讐しなければならないんですか! 俺はただ、あなたに笑顔を取り戻したかっただけだ。前みたいに笑って過ごしてほしくて……っ」
アデリーナの胸が震えた。視界が涙で滲む。
もし、これがアデリーナの都合の良い夢でないのなら。
彼がアデリーナの幸せを心から望んでくれているのなら。
――願っても、いいだろうか。
アデリーナは震える声で告げた。ジェラルドと病室で最後に顔をあわせた日から、ずっと秘めていた想いを。
「まあ! もう起きていらっしゃったのですね!」
朝食を持ってきたメイドが、起き上がったアデリーナを見て嬉しそうに声を上げた。
「ええ。今日は調子が良くて」
「それは良かったです」
メイドと談笑しながら、朝食を完食をする。
アデリーナの世話を一通り済ませ、食器を手に退室しようとしたメイドを呼び止める。
「昨日言ってたお菓子だけど、少し多めに買ってきてくれない?」
「かしこまりました。アデリーナ様はお痩せになられていますから、食べられる時に食べたいものをたくさん食べませんと!」
「違うの。……もしかしたら、人が訪ねてくるかもしれないから」
「まあまあ! でしたら、茶葉も買ってきますね! ちょうどなくなるところでしたから」
長らく塞ぎ込んでいた主の明るい姿に、メイドは喜び、いそいそと買い出しに行った。
ひとり部屋に残されたアデリーナは、閉じた扉を見る。この扉の向こうから、想い人は現れてくれるのだろうか。
あれはアデリーナの願望が見せた夢だったのかもしれない。ジェラルドは今もアデリーナを拒絶したままなのかもしれない。
「いいえ……ジェラルドは、きっと来てくれるわ」
そんな確信めいた思いを胸に、アデリーナは彼の訪れを心待ちにしていた。
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