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2章・攻略対象者との出会い

6話

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後日いつも通りにお爺さんと魔法について討論をしていると、控えめなノックの後「カートレッグです」と声がけがありアイザック様が入ってきました。

おぉ、とうとう突撃じゃなくなった!!!
と感動していると、お爺さんが席を勧め
「じゃああとは若いもんで話しなさい」と退出。
、、、お爺さぁぁぁん!?いつもは一緒にクッキー食べてアイザック様眺めてたじゃないですか!急に!?
「ナヴィリア嬢」
「あ、はい。」
「、、、ごかいだった」

「はい?ここですか?」
ここはたしか4階ですね。しょうもないですね。はい。

「違う!兄上の言葉は誤解だったんだ」
「、、、えぇっと?」
「弟に負けるほどに自身の努力不足が悔しくて許せない、と言う意味だったんだ」
「、、、そうでしたか、誤解が解けて良かったですね」

それはそれは、あにさんよ、随分と口下手がすぎませんかね。
遠い目になってる私をそっちのけで言葉を続けるアイザック様。

「僕の事が嫌いかって尋ねたら、なんでそんなことを聞くのかって言われて、、、昔に言われたことを言ったらすごく謝られたんだ。“そんな誤解をさせたまま放置しておくなんて兄失格だな”って」

おっと、雲行きが怪しい

「失格だなんて、そんな訳ないでしょう?だから、兄上がどれだけ僕にとって大切か、どれだけ兄上が素晴らしいのかを力説したんだ!」
えっ、あれ・・を全部聞いたの?
3分の1も言い終わってない時点で1時間もあったけど、、、?
「兄上はすごく嬉しそうにありがとうって言ってくれて、その日はずっと一緒にいてくれたんだ」
「、、、良い一日を過ごせたようで。」
「うん、だから僕は君に感謝を伝えに来たんだ、、、あとは報告も」
「いえ感謝はいりませんよ、むしろ私の存在がお邪魔していたせいみたいなので、、、え?報告ですか?」
「うん、兄上が父上を引退させて自分が侯爵になる事になったから。それで、僕が次代の宰相に推薦された。」
「き、急展開ですね???」
「父上の話をしたらそんなことになって、、、」

どうやらスパルタ教育は母親や兄には伝えずに行っていたらしく、お兄さんは素質だと思っていたと。
自分の教科書とかを貸したら嬉しそうに読んでたからそこからの知識で、、、と思っていたとか。
だからこそ、それに比べたら自分はなんて不甲斐ないのかと思い、ついその言葉が出たらしく。
弱音を聞かせてしまったことに対して、すぐ謝ったつもりがアイザック様は恨み言を言ったことに対しての謝罪だと思ってしまい、ここまで拗れたと。
そして今まで1度も出てこなかったお母さんですけども。
公爵家のご令嬢らしく、あまり育児に興味がなかったそうで。
ただ、子に対する愛情はあったらしくアイザック様に対する仕打ちにキレて公爵家の後ろ盾使ってのお父さん退位だそうです。権力っておっかない。

「母上は相変わらず自由気ままに過ごしているけれど、今は兄上が沢山話してくれるし一緒に勉強もしてくれているから、夢みたいなんだ。」
「そうですか、良かったですね。」
「、、、ありがとう、ナヴィリア嬢」
「いえ、私は何もしていませんので」
「、、、そう」
「はい、カートレッグ様達の努力がちゃんと結ばれただけですよ。」
「そういう事にしておくよ、じゃあ次だね」

「、、、次?」
「今度、兄上の魅力を伝えるって話をしたでしょ?」
「あぇ、い、今ですか」

「だから大賢者様が授業を切り上げたんでしょ?」
お、お爺さぁぁぁん!!!なんてことを!

「前回の復習も兼ねて初めから言うね、まず兄上はね、、、」
と、はじまり、終わりは5時間後でした。
しかも、話が終わったのではなくレオンハルト様が私を呼び出した為止むを得ずの中断です。兄弟愛が凄い。怖い。

「ではすみません、カートレッグ様」
「アイザックでいいよ」
「え?あ、はい、、、えっと、では失礼します。」
「うん、またねナヴィリア嬢」

そして、熱烈すぎる兄弟愛にビビりすぎてアイザック様がどんな表情をしていたのかも全く気付かず。
黒い笑顔で「、、、ずっとザックといたんだって?」とレオンハルトに尋ねられ何も悪いことなどしていないはずなのに何故か冷や汗が止まらなかったナヴィリアは知る由もなかった。
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