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第3章 まだ、間に合うなら
第15話 ほんの一歩、ふたりの距離
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グラスに注がれたモヒートの泡が、夜の空気に溶けていく。
フェスのざわめきが少し遠くなり、私たちの間だけが静かになった。
律希の言葉が、まだ胸の奥で響いていた。
「また会いたいと思ってもらえるような自分でいたかった」――
十七の私には、そんな風に誰かを想う強さなんてなかった。
でも今の私は、ようやくその距離を埋める言葉を持てる気がしていた。
「ねえ、律希。」
「うん。」
「今夜が最後だったらって、ちょっと考えた。」
「……うん。」
「だけど、そんなのもったいないよね。」
彼は少し驚いたようにこちらを見たあと、ふっと笑った。
「……もったいない。」
「だって、まだちゃんと始まってないのに、終わるなんて。」
それは、ほんの一歩だった。
けれど、私の中では確かに前に踏み出した足音だった。
「また、会ってくれる?」
そう訊いた私に、律希はまっすぐ頷いた。
「もちろん。何度でも。」
その言葉に、心の奥の何かが解けていく。
十七歳のあの日、どうしても言えなかったひと言が、今やっと届いた気がした。
風が吹いて、屋台の灯りが揺れる。
フェスの終わりを告げるアナウンスが、どこか遠くで響いた。
でも、私たちの時間は、ようやく“始まり”に差し掛かったところだった。
律希がそっと空のグラスを受け取り、カウンターの奥に下げる。
そして、目の前に小さな紙片を差し出した。
「これ、連絡先。……スマホ、変わってなかったら、君のも残ってる。」
「……残ってる。」
小さな笑いとともに、グラスの内側に残るミントの香りが、ふたりを包んだ。
距離は、もうほとんどなかった。
ほんの一歩。
それだけで、今の私たちは“ちゃんと出会い直せる”気がした。
フェスのざわめきが少し遠くなり、私たちの間だけが静かになった。
律希の言葉が、まだ胸の奥で響いていた。
「また会いたいと思ってもらえるような自分でいたかった」――
十七の私には、そんな風に誰かを想う強さなんてなかった。
でも今の私は、ようやくその距離を埋める言葉を持てる気がしていた。
「ねえ、律希。」
「うん。」
「今夜が最後だったらって、ちょっと考えた。」
「……うん。」
「だけど、そんなのもったいないよね。」
彼は少し驚いたようにこちらを見たあと、ふっと笑った。
「……もったいない。」
「だって、まだちゃんと始まってないのに、終わるなんて。」
それは、ほんの一歩だった。
けれど、私の中では確かに前に踏み出した足音だった。
「また、会ってくれる?」
そう訊いた私に、律希はまっすぐ頷いた。
「もちろん。何度でも。」
その言葉に、心の奥の何かが解けていく。
十七歳のあの日、どうしても言えなかったひと言が、今やっと届いた気がした。
風が吹いて、屋台の灯りが揺れる。
フェスの終わりを告げるアナウンスが、どこか遠くで響いた。
でも、私たちの時間は、ようやく“始まり”に差し掛かったところだった。
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そして、目の前に小さな紙片を差し出した。
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「……残ってる。」
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距離は、もうほとんどなかった。
ほんの一歩。
それだけで、今の私たちは“ちゃんと出会い直せる”気がした。
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