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第4章 あの日のまま、今日のきみに
第20話 ハバナクラブ・モヒートは、あの日のまま
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風が少し冷たくなってきた。
フェスの灯りもまばらに消えて、人の声も遠のいていく。
私たちは最後のグラスを前にして、どちらからともなく微笑んでいた。
たった一晩。されど一晩。
言えなかったことを伝え、伝えられなかった想いを受け取るには、じゅうぶんな時間だった。
「……もう帰らなきゃね。」
私がそう言うと、律希は黙ってうなずいた。
でもその眼差しには、どこか安堵が浮かんでいた。
きっと私も、同じ顔をしていたと思う。
「また会える?」
「また飲みに来てくれる?」
ほとんど同時に交わされた言葉に、ふたりして小さく笑った。
「うん、行くよ。」
「うん、待ってる。」
帰り際、私はふと立ち止まって、グラスの中をのぞき込んだ。
ミントの葉、ライムの欠片、溶けかけの氷――
そして、どこか懐かしくて新しい、ハバナクラブのラムの香り。
あの日と同じものが、今もここにある。
でもそれは、ただの“再現”ではなくて、ふたりで作り直した“現在”の味だった。
「ねえ、律希。」
「ん?」
「やっぱり、モヒートって不思議だね。」
「どうして?」
「時間が経っても、あの日のままの味がする。」
律希は少しだけ驚いた顔をして、それから優しく笑った。
「それ、君のことじゃない?」
私の胸の奥で、何かがそっとほどける音がした。
ハバナクラブ・モヒート。
あの時も、今も、そしてきっとこれからも――
この一杯が、ふたりをつないでくれる。
ミントの香りに、あの日の言葉が混じる。
言えなかった「好き」も、飲み干せば甘くなる。
再会は、時間を巻き戻す魔法じゃない。
でも、もう一度始める勇気には、なってくれる。
この一杯が、
あなたの胸にもそっと残りますように。
フェスの灯りもまばらに消えて、人の声も遠のいていく。
私たちは最後のグラスを前にして、どちらからともなく微笑んでいた。
たった一晩。されど一晩。
言えなかったことを伝え、伝えられなかった想いを受け取るには、じゅうぶんな時間だった。
「……もう帰らなきゃね。」
私がそう言うと、律希は黙ってうなずいた。
でもその眼差しには、どこか安堵が浮かんでいた。
きっと私も、同じ顔をしていたと思う。
「また会える?」
「また飲みに来てくれる?」
ほとんど同時に交わされた言葉に、ふたりして小さく笑った。
「うん、行くよ。」
「うん、待ってる。」
帰り際、私はふと立ち止まって、グラスの中をのぞき込んだ。
ミントの葉、ライムの欠片、溶けかけの氷――
そして、どこか懐かしくて新しい、ハバナクラブのラムの香り。
あの日と同じものが、今もここにある。
でもそれは、ただの“再現”ではなくて、ふたりで作り直した“現在”の味だった。
「ねえ、律希。」
「ん?」
「やっぱり、モヒートって不思議だね。」
「どうして?」
「時間が経っても、あの日のままの味がする。」
律希は少しだけ驚いた顔をして、それから優しく笑った。
「それ、君のことじゃない?」
私の胸の奥で、何かがそっとほどける音がした。
ハバナクラブ・モヒート。
あの時も、今も、そしてきっとこれからも――
この一杯が、ふたりをつないでくれる。
ミントの香りに、あの日の言葉が混じる。
言えなかった「好き」も、飲み干せば甘くなる。
再会は、時間を巻き戻す魔法じゃない。
でも、もう一度始める勇気には、なってくれる。
この一杯が、
あなたの胸にもそっと残りますように。
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