月の国

ホムラ

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㉑ラーラ姫のそっくりさん

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本当にラーラ姫にそっくりだな。
同一人物なんじゃないかと頭が錯覚してしまう。

コーラルは、悪魔王のお使いで、地球に来ていた。
お使いも終わったついでに、あの映像通りのマンションの前に来ていた。

ちょうど、ラーラ姫のそっくりさん本人が、歩いて、マンションに向かって歩いている。

あ、あれ? 変だな

その後ろに女がピタっとくっついて、手には、刃物を持っていた。

すごく遠くから見ていただけだが、間違いない。
コーラルは視力がいい。

ラーラ姫のそっくりさんに向かって、今にもその刃物を切りつけようとしていた。

その瞬間、コーラルは、その女の刃物を持った手を握りしめていた。

ラーラ姫のそっくりさんは、振り向いた。

刃物を持った女は、俺が急に現れて、手首を抑えたもんだから、驚いた顔をしていた。

「え?何?どうしたの?」

そっくりさんは、ラーラ姫と同じ声で話した。

「この人が渡辺マナトの恋人って言うから。。痛い目に合わせようとしたのに。。。
 でも、お兄さんのほうが、マナトより全然かっこいい。。」

この女、少し頭が弱いのか?
大丈夫か?

まぁ、俺の顔がいいのは、魔法王国中に知れ渡った事実なんだよ。
黙ってさえいればいいのにと何万回言われたか分からないのよ。
でも、彼女、一度も出来たことないけどね。

今日は、カメムシのおっさんに、この地球にふさわしい恰好をしろと言われて、洋服がいつもと違うけど、俺のカッコよさは、この地球でも通用するみたいだ。

まんざらでもない気分だけど、カメムシのおっさんに絶対に目立つなと言われてるからな。

「私は、この先のカメムシ引越センターに用があって歩いていたんですけど、お嬢さんが突然刃物を取り出して、この方に切りつけようとしていたので、慌てて、止めました。」

ここは、地球だ。悪魔は、活動しやすい環境だし、言葉も簡単に分かるように翻訳機を体に仕込んである。

「私は、渡辺マナトさんの恋人ではありません。本当です。ただの親戚なんです。誤解です」

ラーラ姫と同じ声で、その人は話した。

「お嬢さん、誤解だそうですし、ここは、ちゃんと謝ったほうがいいと思いますよ。
 二度と誰にもこんなことしたらいけません。」

とんでもなくカッコいい男に優しく言われて、顔を赤くしながら刃物女は、謝った。
「本当にごめんなさい。もうしません。許してください」

「は、はぁ。。。私も、大ごとにするつもりはありません。もう、お帰りください」
困惑した顔をしながら、ラーラ姫のそっくりさんは、静かにつぶやいた。

「お兄さん、連絡先を交換してください」
と刃物女は、言った。やっぱり頭が弱い子なんだろう。

「私は、初めて日本に来て、これから、自分の国へ帰るところなんです。
 私は、牧師で、私の教会は、電波のつながらないところにありますから、連絡先を教えられないんですよ。
 あなたもこれからは、心を入れ替えて、誰も傷をつけてはいけませんよ。
 神様は、どこからでも見ています」

なんて、俺は、悪魔なんだけどね。
実家では、教会の掃除もさせられているけどね。
当番が回ってきたら、牧師の真似事はよくやってるけど。。

何かあったら、電波のつながらない教会に住んでいると言えとカメムシのおっさんに言われたセリフを言ってみる。

「さぁ、駅まで送っていきましょう。一緒に行きましょう。」

刃物女の肩を抱き寄せて、反対方向に一緒に歩き始めた。

「あ、あの、牧師様、助けてくださり、ありがとうござまいした。」

ラーラ姫のそっくりさんは、俺に向かってそう言った。

俺は、後ろをむかずに、前を見ながら、手をひらひらと振った。
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