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第4部 帝都地下神殿篇
11 仕切られた箱
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塔に戻ると、魔物が続々と集まってきた。みな、またリコがしばらく塔を離れることを知って無事を祈りにきたのだ。リコはその1体ずつに声をかけ、抱きしめていた。バルクはジュイユ、ヴィラントと話をしている。
塔に一度戻ると聞いて同行したセストは、その輪の中に入ることができずにいる。そこに緑色の鎧、風の精霊が話しかけてきた。
「あなたたちが帝都にいる間、ナナカは私が見てるわ。私たちは精霊だから本来性別なんてないけど、女の形した私の方がセスト導師は安心でしょ」
「ありがとう」
「ナナカはさっき魔物たちが朝の運動に連れ出したんだけど、もうすぐ戻ってくると思うわ」
セストが頼んだとおり彼らがナナカに接してくれていることを知って少しほっとする。
「噂をすれば」
塔の大きな扉が開いて、直立するウサギのような2体のファミリアに続き、ナナカが入ってきた。相変わらずその目は開かれているが何も見てはいない。
ファミリアがキィキィと甲高い声で何事か風の精霊に話しては飛び跳ねる。
「へえ、さすが、ハンターをやってた子は違うわね。じゃ、汗流しましょ」
そう言うと風は、恰幅の良い中年の女性に姿を変えた。セストはその一瞬の変貌に目をしばたかせる。
「さ、ついてきて、ナナカ」
「ソアさん」に姿を変えた風は、ナナカを促して階段に向かった。
「セスト」
それを待っていたようにバルクがセストに声をかける。
「僕は魔物たちを一度帝都に連れて行って、また戻ってくるよ。あとちょっとお願いがあるんだけど、きみ、結界術できる?」
「得意じゃないけど、一応」
結界術や魔物除けは、シシェンが得意だったな、とセストは既に懐かしい顔を思い出す。どうしているだろう。連絡してみよう。
「じゃ、後で声をかけるよ。一緒に来てもらいたい」
「……わかった」
「セスト、お前さんは」元人間だというジュイユがいつの間にかそばにいる。「自分がいつ光の来訪者だと気づいた?」
「……つい最近、と言っていいと思います。収穫祭の少し前です」
「その時の話を詳しく聞かせてもらいたいんだが」
ジュイユの白眼のない黄緑色に光る眼で真っ直ぐに見られてセストはたじろぐ。
「構いませんが……」
そういえば初めて会った時、ジュイユは擬似的な光や闇を作り出す魔術の研究をしていると言っていた。その参考にしたいのかもしれない。
「立ち話もなんだな。移動しよう」
ジュイユがそう言った刹那、風景が変わっている。最上階の食堂だった。
「それで」
ジュイユは適当な椅子に腰掛ける。セストもそれに倣ってジュイユの向かいに腰掛けた。
「きっかけは何だったね?」
「……きっかけ、と思えるような出来事はありませんでした。ただ、朝目が覚めると、知らない世界にいるような気がしました。そうだ。歌がなくなっている、と思って」
「歌?」
ジュイユが怪訝そうに言う。
「はい。別に俺は特別に歌が好きだとか、音楽が好きだっていうわけじゃないのに、不思議で」
「その『歌』がどんなものかは、思い出せるかね?」
「いえ……。具体的には。ただ、喜びの歌だった、という感覚はあります。自分とそれ以外の区別もなく、全てはひとつで、ただ、存在することを喜んでいる、そういう歌だったと」
「なるほどな……」
ジュイユは腕を組んで、背もたれに枯れ木のような身体を預けた。
「『歌』というのは、比喩的な、概念的な表現なのだろう。この世界ではそう表現するしかない、ということだ。光が世界の4つの要素を包括することを考えれば、頷ける。4つに仕切られた箱を上から見ているようなものだ。この世界にいる我々はその仕切られた箱の中にいる存在にすぎない。上位の概念をそのままに表現することはできんからな」
「来訪者は、その仕切りを取り外そうとしている、ということでしょうか」
「そうだな。その理解で差し支えなかろうと思う。帝都で自然発生的に生まれた混沌を思えば、いずれ、悠久の時の後には全ての要素は混合されるのかもしれないと、最近私は考えている。来訪者は、単にそれを加速させようとしているだけなのかもしれないと。しかしいずれにせよ、今はその時ではないことは確かだ」
セストはジュイユの言葉に頷いた。
「そしてお前さんとナナカが出会った。仕組まれていたようにな。光の側でも、対抗策を取っているのかもしれんな。我々の知りえないところで」
「……」
セストは考えこむ。もしそうだとして。ナナカと自分が意図的に引きあわされたのだとして。自分が彼女に対して抱いているこの感情は作りものだろうか。否。もしそうなるように高位の存在が自分たちを操っていたとしても、これが仕向けられたことだったとしても、あの日々でナナカに対して抱いた感情は、セストにとっては本物だった。自分が彼女を、彼女が自分を愛していることには、何の関係もない。
「やっぱりセスト導師のそばがいいわよね。一緒に食事にしましょ」
ソアさんの風に連れられたナナカが食堂に入ってきた。
「さ、ここに座って」
ナナカは風の指示どおり、セストの隣の席に掛ける。
「あら、髪がちょっと目にかかってきちゃってるわね。あとで切りましょうか」
風はナナカの伸びてきた前髪を指でよけてやる。母と娘のようだとセストは思う。一度、廃坑で飛ばし屋の順番を待ちながらナナカの家族について尋ねたことがある。しかしナナカは、「元気でいる……と思う」と言っただけで、口を閉ざしてしまった。それ以上尋ねることは憚られ、そのままになっている。
真っ直ぐに背筋を伸ばして、しかし俯きがちにテーブルの一点に視線を落としているナナカの横顔を見る。確かに、俯くと前髪が目にかかってきていた。
「ジーとルーが言ってたんだけど、今日、泉まで行って、そこでドラゴンに会ったんですって。さすがのドラゴンも話聞いてびっくりしてたらしいわ」
「そりゃ、そうだろうな」
ジュイユが言う。
「そうそう、ドラゴンが、セスト導師に会いたいって言ってたそうよ。行ってあげて」
「ドラゴン?」
「そう。あ、この守護者の森に大きい泉があるんだけど、そこに住んでる竜よ。竜は会ったことある?」
「いや……」
平和な田舎町ルブラのすぐ近くにこんな世界があったことを、セストは全く知らなかった。この森が守護者の森と呼ばれていることは知っていたが、守護者が本当に存在することをまず知らなかった。この辺りは魔物の被害が極めて少ない、平和なところだと院長が言っていたことを思い出す。それはおそらく、リコや、彼女に付き従っている魔物たちに関係があることなのだろう。そして竜。最早伝説となっている幻の存在。
セストが思わず考えこんでいるところに、ファミリアのジーとルーがワゴンを押して入ってきた。
2体は甲高く鳴きながら、ナナカの前に食事を並べる。湯気を立てているパン、鶏肉のソテー、たっぷりの野菜サラダ。
「さ、どうぞ。食べてね」
風はナナカの手を取ってフォークを握らせた。ナナカは黙々と食べ始める。
その横顔をじっと見ていたセストの前にも、同じ食事が並べられた。
「セスト導師もご飯食べてって」
「あ、どうもありがとう……」
「リコとバルクも呼ばなきゃ」
それを聞いて、右耳の欠けたファミリアがキイキイと何ごとかを言う。
「あ、そうなの? バルクの分はあとで作って貰えば良かったわね。シェフに叱られちゃう。……まあ、仕方ないか」
精霊と魔物の会話を聞くともなしに聞きながら、セストは食事を続けるナナカを見る。その視線に気づいてナナカがこちらを向いてくれるのではないかという、彼の期待はしかし、裏切られた。
塔に一度戻ると聞いて同行したセストは、その輪の中に入ることができずにいる。そこに緑色の鎧、風の精霊が話しかけてきた。
「あなたたちが帝都にいる間、ナナカは私が見てるわ。私たちは精霊だから本来性別なんてないけど、女の形した私の方がセスト導師は安心でしょ」
「ありがとう」
「ナナカはさっき魔物たちが朝の運動に連れ出したんだけど、もうすぐ戻ってくると思うわ」
セストが頼んだとおり彼らがナナカに接してくれていることを知って少しほっとする。
「噂をすれば」
塔の大きな扉が開いて、直立するウサギのような2体のファミリアに続き、ナナカが入ってきた。相変わらずその目は開かれているが何も見てはいない。
ファミリアがキィキィと甲高い声で何事か風の精霊に話しては飛び跳ねる。
「へえ、さすが、ハンターをやってた子は違うわね。じゃ、汗流しましょ」
そう言うと風は、恰幅の良い中年の女性に姿を変えた。セストはその一瞬の変貌に目をしばたかせる。
「さ、ついてきて、ナナカ」
「ソアさん」に姿を変えた風は、ナナカを促して階段に向かった。
「セスト」
それを待っていたようにバルクがセストに声をかける。
「僕は魔物たちを一度帝都に連れて行って、また戻ってくるよ。あとちょっとお願いがあるんだけど、きみ、結界術できる?」
「得意じゃないけど、一応」
結界術や魔物除けは、シシェンが得意だったな、とセストは既に懐かしい顔を思い出す。どうしているだろう。連絡してみよう。
「じゃ、後で声をかけるよ。一緒に来てもらいたい」
「……わかった」
「セスト、お前さんは」元人間だというジュイユがいつの間にかそばにいる。「自分がいつ光の来訪者だと気づいた?」
「……つい最近、と言っていいと思います。収穫祭の少し前です」
「その時の話を詳しく聞かせてもらいたいんだが」
ジュイユの白眼のない黄緑色に光る眼で真っ直ぐに見られてセストはたじろぐ。
「構いませんが……」
そういえば初めて会った時、ジュイユは擬似的な光や闇を作り出す魔術の研究をしていると言っていた。その参考にしたいのかもしれない。
「立ち話もなんだな。移動しよう」
ジュイユがそう言った刹那、風景が変わっている。最上階の食堂だった。
「それで」
ジュイユは適当な椅子に腰掛ける。セストもそれに倣ってジュイユの向かいに腰掛けた。
「きっかけは何だったね?」
「……きっかけ、と思えるような出来事はありませんでした。ただ、朝目が覚めると、知らない世界にいるような気がしました。そうだ。歌がなくなっている、と思って」
「歌?」
ジュイユが怪訝そうに言う。
「はい。別に俺は特別に歌が好きだとか、音楽が好きだっていうわけじゃないのに、不思議で」
「その『歌』がどんなものかは、思い出せるかね?」
「いえ……。具体的には。ただ、喜びの歌だった、という感覚はあります。自分とそれ以外の区別もなく、全てはひとつで、ただ、存在することを喜んでいる、そういう歌だったと」
「なるほどな……」
ジュイユは腕を組んで、背もたれに枯れ木のような身体を預けた。
「『歌』というのは、比喩的な、概念的な表現なのだろう。この世界ではそう表現するしかない、ということだ。光が世界の4つの要素を包括することを考えれば、頷ける。4つに仕切られた箱を上から見ているようなものだ。この世界にいる我々はその仕切られた箱の中にいる存在にすぎない。上位の概念をそのままに表現することはできんからな」
「来訪者は、その仕切りを取り外そうとしている、ということでしょうか」
「そうだな。その理解で差し支えなかろうと思う。帝都で自然発生的に生まれた混沌を思えば、いずれ、悠久の時の後には全ての要素は混合されるのかもしれないと、最近私は考えている。来訪者は、単にそれを加速させようとしているだけなのかもしれないと。しかしいずれにせよ、今はその時ではないことは確かだ」
セストはジュイユの言葉に頷いた。
「そしてお前さんとナナカが出会った。仕組まれていたようにな。光の側でも、対抗策を取っているのかもしれんな。我々の知りえないところで」
「……」
セストは考えこむ。もしそうだとして。ナナカと自分が意図的に引きあわされたのだとして。自分が彼女に対して抱いているこの感情は作りものだろうか。否。もしそうなるように高位の存在が自分たちを操っていたとしても、これが仕向けられたことだったとしても、あの日々でナナカに対して抱いた感情は、セストにとっては本物だった。自分が彼女を、彼女が自分を愛していることには、何の関係もない。
「やっぱりセスト導師のそばがいいわよね。一緒に食事にしましょ」
ソアさんの風に連れられたナナカが食堂に入ってきた。
「さ、ここに座って」
ナナカは風の指示どおり、セストの隣の席に掛ける。
「あら、髪がちょっと目にかかってきちゃってるわね。あとで切りましょうか」
風はナナカの伸びてきた前髪を指でよけてやる。母と娘のようだとセストは思う。一度、廃坑で飛ばし屋の順番を待ちながらナナカの家族について尋ねたことがある。しかしナナカは、「元気でいる……と思う」と言っただけで、口を閉ざしてしまった。それ以上尋ねることは憚られ、そのままになっている。
真っ直ぐに背筋を伸ばして、しかし俯きがちにテーブルの一点に視線を落としているナナカの横顔を見る。確かに、俯くと前髪が目にかかってきていた。
「ジーとルーが言ってたんだけど、今日、泉まで行って、そこでドラゴンに会ったんですって。さすがのドラゴンも話聞いてびっくりしてたらしいわ」
「そりゃ、そうだろうな」
ジュイユが言う。
「そうそう、ドラゴンが、セスト導師に会いたいって言ってたそうよ。行ってあげて」
「ドラゴン?」
「そう。あ、この守護者の森に大きい泉があるんだけど、そこに住んでる竜よ。竜は会ったことある?」
「いや……」
平和な田舎町ルブラのすぐ近くにこんな世界があったことを、セストは全く知らなかった。この森が守護者の森と呼ばれていることは知っていたが、守護者が本当に存在することをまず知らなかった。この辺りは魔物の被害が極めて少ない、平和なところだと院長が言っていたことを思い出す。それはおそらく、リコや、彼女に付き従っている魔物たちに関係があることなのだろう。そして竜。最早伝説となっている幻の存在。
セストが思わず考えこんでいるところに、ファミリアのジーとルーがワゴンを押して入ってきた。
2体は甲高く鳴きながら、ナナカの前に食事を並べる。湯気を立てているパン、鶏肉のソテー、たっぷりの野菜サラダ。
「さ、どうぞ。食べてね」
風はナナカの手を取ってフォークを握らせた。ナナカは黙々と食べ始める。
その横顔をじっと見ていたセストの前にも、同じ食事が並べられた。
「セスト導師もご飯食べてって」
「あ、どうもありがとう……」
「リコとバルクも呼ばなきゃ」
それを聞いて、右耳の欠けたファミリアがキイキイと何ごとかを言う。
「あ、そうなの? バルクの分はあとで作って貰えば良かったわね。シェフに叱られちゃう。……まあ、仕方ないか」
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