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はっ、と目を覚まし飛び起きる。
荒く落ち着かない心臓を強く掴み辺りを見渡したが、見慣れた薄暗い洞窟であると分かり肩の力を抜き再び横になった。
固い地面だけど、今はもう慣れた。
「ふぅ…無理したからか」
まだ心臓がドキドキしている。
しばらく見ていなかった悪夢。けれど未だに生々しく覚えていて、忘れたくても忘れられないあの日。
(落ち着け……、もうあの頃の俺じゃない)
あの日を境に生まれ変わった彼、エーテルはこの世界で孤児として生きていた。物心ついた頃には既に両親はおらず、身寄りのない子供を育てる教会に引き取られた。
遊び盛りで好奇心旺盛な子供達に比べ、エーテルは常に周囲の様子に怯え隠れるように一人で過ごしていた。
過去の記憶を持って転生したためか、異常とも言える程人との接触を拒んだ。
一通りの事が自分で出来るようになった頃には教会を抜け出し今では冒険者として日々金銭を稼いでいる。
(無理して2つのクエストを受注しなきゃ良かったな…だいぶ疲れてる)
無茶したせいか、全身が重く感じる。
でも生きるためにはこれくらいで弱音を吐いてられない。そんな暇があるなら強くなってお金を稼がなきゃ。
俺は一人でも大丈夫…俺は……。
そんな風にあれこれ考えていたら、瞼が重くなってきた。
(考えても仕方ない、さっさ寝よ)
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