確実にモブだけど、好きにさせていただきます!

万李

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授業を終えて昼休み。
殿下達と食堂へ向かう。
グレイシア様と並んで殿下達の少し後ろを歩いていると、視界の端にまたもやピンク色が。
デジャブ。



「メリアローズ様」
「殿下」



グレイシア様と同時に声を掛けると、足を止めたメリアローズ様を庇うように、殿下が肩を抱いて自分の方に引き寄せる。



「きゃあっ」



その直後、先程までメリアローズ様が立っていた場所目掛けて、マリアンヌ様が倒れ込んできた。


メリアローズ様に足をかけられたとでも言いがかりをつけようとしたのだろうけど、残念ながらそこには誰もいないし、何も無い。



「あら、また何もない所で…大丈夫ですか?」



仕方なく声を掛けると、廊下に座り込んだまま目に涙を溜めて殿下を見上げるマリアンヌ様。
私の事は無視ですか?



「クリストフ様ぁ、私」



「ダクワーズ嬢、廊下を走るのは淑女としてどうかと思うよ。それに、あと少しでローズが怪我をするところだった。もう少し周りを見て行動するようにしてくれ」



「っでも、私、今足をかけられてっ」



「誰に?」



「メリアローズ様ですっ!」



「それは無理ですわ。いくらメリアローズ様の足が長いからと言って、ここからあちらまではとてもじゃないですけど、届きませんわ。因みに私も」



「でも、確かにっ」



「それ以上の言いがかりは、さすがに不敬罪になるよ?ユーリアス、悪いが念の為ダクワーズ嬢を保健室へ」



「あ、大丈夫ですわよ、殿下。今朝私が申し出た時も、自分で治せると仰ってましたし、見たところ怪我もなさそうですし」



「そうか。なら、行こう」



マリアンヌ様をそのままに、食堂に向かう為横を通り過ぎる時、「悪役令嬢とモブのくせにっ」とボソッと言うのが聞こえた。


やっぱり、ね。
私の予想通りだったわ。
でもね、ヒロインのあなたがそのつもりなら、私は黙ってモブでいるつもりはないのよ。



「ふふっ」



「ローズベルト嬢?」



「あ、いえ、なんでもないですわ、グレイシア様」



思わず笑ってしまった私を不思議そうに見ているグレイシア様が、なんとも可愛らしくてまた笑みが零れた。







食堂に入り、テラス席のようになっている2階へと向かう。
基本王族と、近しい人のみが使用できる席だ。



「あ、殿下!お嬢!遅かったっすね!」



無駄に大きな声で近付いて来ると、当然のように私の肩に回してきた手を、パチンと叩き落とす。


睨むように視線を向けると、笑顔を返された。


私の事をお嬢と呼ぶ彼は、グレイシア様と共に殿下の護衛も務める騎士である。
ダグラス・フレイア、騎士団長を務めるフレイア伯爵の長男だ。
明るい栗色の髪に、切れ長の紅い瞳はいつも人懐っこく緩められている。
その彼の人懐っこさを利用して、敢えて殿下とは別のクラスになる事で、学園に通う貴族の動向や思考等を探っている。



「ダグラスはローズベルト嬢と知り合いか?」



「おう、そのうち嫁に来る予定!」



「馬鹿言わないで!そもそも私は婿を取らなきゃいけないんだから、嫁には行きません。グレイシア様、ダグラスとは領地が隣だったせいで幼なじみになっただけの間柄ですわ。1ミリだって嫁になるような関係ではありません」



「そこまで否定しなくてもいいじゃん」



「グレイシア様に誤解されたら嫌だもの」



それに、正直本当はあまり関わりたくなかった。
だってダグラスは確実に攻略対象だ。





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