確実にモブだけど、好きにさせていただきます!

万李

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あれから1ヶ月程経ち、学園での生活も慣れてきた。



「殿下、今日は天気がいいので、あちらの四阿でランチにしませんか?」



「メリアローズ様、あちらの薔薇が綺麗に咲いているそうなので、見に行きませんか?」



同じく、マリアンヌ様の襲撃を回避するのにも慣れた。
彼女の動きを先読みし、グレイシア様と共に殿下達の誘導をして躱している。

それにしても、執念深い。
こんなに殿下にまとわりついているけど、他の対象者には興味無いのかしら?



「あー!ここにいた!」



「ダグラス、声が大きいわよ」



「ごめん、ごめん。なぁ、それよりお嬢達のクラスにピンク髪のご令嬢いるだろ?」



「…えぇ、マリアンヌ様ですね」



「あの子、なんなの?偶然みたいな顔で、行くとこ行くとこで突っ込んで来るんだけど。マジ怖い!」



あらら、ダグラスの方にも行ってたのね。



「ダクワーズ嬢か。彼女は私にも突っ込んで来るけど、最近は優秀な側近達が上手く回避してくれてるよ」



そう言って私たちに笑みを向ける。
やっぱり気付いてはいたのね。



「え、ずるっ!お嬢かユーリアス、俺も助けてよ!」



「無理よ。ダグラスとはクラスが違うもの」



「せめてアドバイス!」



「んーそうね…ダグラスのクラスに、サリア商会のアダムス様がいらっしゃるわよね?」



「あー、いるけど?」



アダムス・サリア、王都で急成長を遂げている商会の嫡男。
橙色の髪に、くりっと丸い新緑の瞳。
乙女ゲームで言う、年下わんこキャラかしら。(年下ではないけど)
勿論、攻略対象者のはず。



「私の予想だと、きっと彼も何かしらマリアンヌ様から襲撃を受けていると思うの。だから、極力1人で行動せずに、2人でいれば少しはマシなんじゃないかしら?」



「なるほど?でもあいつも追いかけられてるんじゃ、あんまり効果無くない?」



「まぁ、追いかけられるのは回避できないかもしれないけれど、1対1じゃない分、変な噂や勘違いをされるのは、防げるんじゃないかしら」



「あー、確かに。ちょっとサリアに声かけてみるわ。ありがと、お嬢!」



走り去って行くダグラスを見送り、ランチの用意がされた四阿へ向かう。


ぴったりと寄り添うように座る殿下とメリアローズ様から少し距離を取って、グレイシア様の隣に座ると、声がかかる。



「ローズベルト嬢、先程ダグラスにサリア殿も被害にあっているのでは、と言っていたけど、なぜ?」



「あぁ…それはあくまで私の予想ですけれど、マリアンヌ様は所謂玉の輿を狙っているのではないかと思ったので」



「なるほど」



「貴族令嬢としては当たり前の考えではありますけれど。親からそう教育されていたりしますし。マリアンヌ様はあからさまに無鉄砲に突撃してらっしゃるので目立ちますが、他のご令嬢も常識があるだけで、きっと殿下のこともチャンスがあればと、常に狙ってはいると思いますわ。まぁ、それが自分の為なのか、家の為なのか、という差はあるかと。マリアンヌ様はどちらもでしょうね。…グレイシア様?」



私の話を聞きつつ、何か考え込んでいるようで、一点を見つめて眉間に皺を寄せている。



「…っあぁ、いえ。その…ローズベルト嬢もそういった考えを…?」



「私ですか?私の場合はその必要がありませんから。父は権力思考ではないので、今よりも力をつける必要もありませんし、経済的にも問題ないですし。そもそも、私は嫁ぐのではなく婿を取りたいので、爵位などは関係なく、安心して領地を任せられるような優秀な方を探してますわ」



「優秀な…」



「えぇ、優秀な次男、三男ですわ。あら、そういった意味でも、グレイシア様は条件ぴったりですわね」



パチンと手を合わせながら、冗談めかして言うと、キョトンとしていたグレイシア様の顔が赤く染る。



「じょ、冗談ですわっ、グレイシア様!私なんかにグレイシア様は勿体ないですもの!」



「いえ、逆ですよ!僕なんか、優秀とは言えませんし、背だって小さいですし…」



背!?…もしかして、グレイシア様って身長の事気にしてるのかしら。
それなら余計、女性としては高めの私じゃ嫌よね…。
身長気にするグレイシア様もかわいいけれど。



「ユーリアスが優秀ではないとなると、リリアーナ嬢は相手を見つけるのは困難だな」



「殿下!?」



「そうですわね。困りましたわ。殿下、前に私にも素敵な方を探してくださると仰っていませんでした?是非お願いしたいですわ」



あら、殿下達はいつから私達の会話を聞いていたのかしら。



「しかし、私達の世代でユーリアスより優秀となると…すまない、国内にはいないかもしれないな」



「まぁ、それは大変だわ」



「もう、止めてくださいっ!殿下!」



間接的に優秀だと褒められたせいで、グレイシア様は先程よりも更に顔を赤くしていた。



「私はお前が優秀だと思っているから、側においているんだからな。もう少し自分に自信を持て」



「…はい」



殿下のおかげで、私の言葉はちゃんと冗談になったかしら。
つい本音が出てしまったけれど、私なんかには本当に勿体ないもの。
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