確実にモブだけど、好きにさせていただきます!

万李

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おかしい。
ここ数日、マリアンヌ様からの襲撃がピタっと無くなった。
それはどうやらダグラス達も同じらしい。
因みにサリア様に声を掛けたところ、泣いて喜ばれたそうだ。
確かに1人であの奇行に立ち向かうのは怖いかもしれない。


さて、そろそろ突っ込んだり転んだりするのに飽きたのか。
それとも諦め…てはいないだろうな。
1ヶ月過ぎても何の進展もないから、次の手を考えているのかもしれない。
…面倒臭い。



そんな事を考えながら教室に入ると、何やらザワザワしていた。

中を見渡すと、どうやらその中心にはマリアンヌ様がいるようだ。



「ぐすっ…せっかく一生懸命勉強したのにっ…酷いわっ…ぐすっ」



マリアンヌ様の机の上を見ると、ビリビリに破かれたノートが数冊。
なるほど、次はこれね?



「誰がこんな酷い事をっ!」

「マリアンヌ嬢、泣かないで。犯人に心当たりは?」



殿下達には見向きもされなかったけど、ちゃっかりクラスの男子は手玉に取っていたのね。
男爵家の三男に、伯爵家の次男…。
いくらこのクラスにいると言っても、マリアンヌ様に引っかかるようでは、とても優秀とは言えないわね。



「あの…どうされたのですか?」



あー…メリアローズ様、いっちゃいます?
分かりました、私リリアーナ、全力で護らせていただきます。


心配そうにマリアンヌ様を伺うメリアローズ様の横で、にっこりと笑顔を貼り付けて、マリアンヌ様の言葉を待つ。



「あっ、あの…今朝教室に来たら、私のノートが破かれていて…ぐすっ……あっ、もしかしたら」



「ん?もしかしたら、なんだい?」



伯爵家の次男が気遣わし気にマリアンヌ様に聞くと、震えながら答えた。
震える演技だけは上手いのね。



「あの…もしかしたらなんですが…私がおっちょこちょいだからっ…、2人が側で助けてくれてたけど…2人の婚約者の方が勘違いして…嫉妬したのかもって…」



なるほど?まずはそこにいくのね?



「…失礼ですが、お2人の婚約者はあちらのマリー様とユリア様でしたよね?」



「あぁ…そうだけど、まさかこんな」



「えぇ、そうですわよね。私もお2人がわざわざこのような嫌がらせをするとは思えませんもの。ましてや浮気相手の方になんて。そうでしょう?」



片手を頬に添えながら、心底不思議そうに、マリー様とユリア様へ目線を向けて問えば、2人ともにっこりと微笑む。



「はい、リリアーナ様の言う通りですわ。私達はそんなまどろっこしい事はしません。時間の無駄ですわ」



「そんな事する暇があれば、直接本人を咎めて、効果がなければ縁を切りますわ。という事で私達、それぞれ昨日付けで婚約破棄させて頂きましたので。」



「もう関係ありませんわ。どうぞそちらのマリアンヌ様と学園生活を楽しんでくださいませ」



「「えっ!?」」



「まぁ、それは残念…かしら?」



「ふふ、残念どころか逆に良かったですわ。結婚する前に分かって」



「本当に。勉強ができるだけでは駄目だと、学びましたわ」



「失敗は成功のもとと言いますし、きっと次は素敵な方に巡り会えますわ」



ふふふと笑いあってから振り返ると、青ざめたまま呆然としている2人と、顔を赤くして震えながら睨みつけてくるマリアンヌ様。



「…あら?何の話だったかしら。…あ、そうそう、マリアンヌ様のノートを破いた方の心当たりでしたわね。他にはありますか?」



はっとしたように、釣り上げていた眉を下げ、一瞬にして庇護欲をそそる顔を作る。



「…あのっ…お2人じゃないのなら…もしかしたら… でもっ…」



チラッと視線をメリアローズ様に向ける。



「…もしかして、メリアローズ様をお疑いでして?」



「だってっ、他にこんな事される心当たりはっ…」



「そんなっ、私はやっていませんわ!」



「私もメリアローズ様がそんな事をするとは、1ミリも思いませんが、そう思う理由を聞いても?」



「理由はだからっ…私に嫉妬してっ」



「嫉妬?メリアローズ様がマリアンヌ様に?」



「え?そ、そうです!」



「どこに?」



「え…?」



「メリアローズ様がマリアンヌ様のどこに嫉妬するんです?見た目に関しても、確かにマリアンヌ様も可愛らしい容姿ですけれど、品と色気を兼ね備えたメリアローズ様には敵わないと思いますし、成績だって言わずもがなですわ。私には思いつきませんので、教えていただいていいかしら?」



「っ…それはっ、私がクリストフ様と親しくしていたからっ」



「私は親しくした覚えは微塵もないけど。ユーリアス、私はダクワーズ嬢と親しいのか?」



「いいえ。2人で会う事はおろか、ここ最近は同じ教室にいるくらいで、会話すらしてませんね」



「あら、それはただのクラスメイトですわね、おかしいわ?」



「まぁ、ローズに嫉妬されるのは嬉しいけどね?」



「クリストフ様ったら」



すっかり2人の世界が出来上がり、クラスメイトが微笑ましく2人を見ている中、先程よりも眉と目を釣り上げているマリアンヌ様を見下ろす。



「この通り、クラスメイトに嫉妬する必要などない位、お2人は想いあっておりますわ。因みにメリアローズ様は、常に私か殿下と一緒にいますので、1人で教室に戻りノートを破くのは不可能ですわ。」



「そんなっ!でも、じゃあ誰が!」



「私には、あなたの方がメリアローズ様に嫉妬しているように見えますけれど。…本当にどなたかに破かれたのかしら?」



「っ!」



「とりあえず、もうすぐ先生もいらっしゃいますし、このノートは復元いたしますわね」



ノートの上に手をかざして、復元魔法をかける。



「なっ!?」



「あら、復元魔法知りません?治癒のできる聖魔法をお持ちなら、できるかと思いますわよ、少しコツは必要ですけれど。」



キラキラと光を纏いながら、ビリビリだったノートは元通りになった。

ふぅ、いい仕事した。

一つ息を吐いて周りを見ると、ポカンとした顔で見ていた。


「あら?」





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