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番外編
見守る人々(マーサ視点)
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「いつもごめんなさいね、マーサ」
「いいえ、奥様そのようなお気遣いは不要です」
むしろ反省すべきはジョエル様の方だ、と鬱血痕まみれのエマ様の首筋やデコルテを見ながら内心密かにため息を零します。
わたくしはマーサ。エマ様専属の侍女を致しております。十六で縁あってヴァルク家に雇われ早十年。大変名誉なことに身一つで嫁がれてきたエマ様の侍女に抜擢され、三月程になります。
婚約者時代のエマ様は、ジョエル様を大層嫌っていらして、ツンケンと人を人とも思わない高飛車な印象がありましたが、ご結婚されてからは何か心境に変化でもあったのでしょうか。とても落ち着いた気さくで快活な女性になられました。
不仲だったお二人を、はじめは皆大層心配しておりましたが、どうやら杞憂だったようですね。
お母様の出自もあるせいか、異常なまでに女性に潔癖なジョエル様が、初夜から毎日欠かさずエマ様の元へ通われているのです。真面目な方なので閨事も義務のように感じているのかと思ったものでしたが、どうやらそうではないようです。
ある時期からどうかしたのではないか、と心配になる程大量の執着の痕……ジョエル様はどうやらエマ様に溺れていらっしゃるようです。
エマ様はイマイチ分かっていらっしゃらないようですが、日に日に増えていくキスマークの有様には目眩を覚えるほどです。
全く少しは手加減をして頂きたい、と呆れてしまうのは許して欲しいですね。わたくしも人間ですから。
濃紺のシンプルなハイネックドレスに着替えて頂き、お髪を整え終えた所でコンコン、とノックの音。
「どうぞ」
エマ様はありがとう、と美しく微笑みながら立ち上がりました。
「エマ」
内心噂をすればジョエル様です。
エマ様の病が癒えてから、ジョエル様は大層表情豊かになられました。
今エマ様に向けられている、誰も見たこともないような甘い微笑はきっと無意識のものでしょう。大好きで大好きで堪らない! 感が溢れ出しております。
何だか見ているこちらが恥ずかしくなってしまいますね。
「ごめんなさい、待たせてしまったかしら? 行きましょうか」
優しく微笑み返すエマ様。ああ、眼福! お二人はかくもお美しく尊い!
見慣れているはずなのに、やはり何度見てもお似合いなお二人だと見惚れてしまうのです。
今日はジョエル様の休日で、街へ買い物に行かれるというお二人。無事に送り出してほっと安堵のため息をひとつ。メイク道具を片付けながら、どうか素敵なデートになりますように、と祈ります。
誰がどう見ても相愛のお二人なのですが、何がどう拗れているのかお互い愛の言葉だけは避けあっているように見受けられます。
婚約者時代の不仲が尾を引いているのでしょうか。でも、過去がどうあれ今は憎からず思い合っているように見えるのですが……きっとお二人なりの愛の深め方があるのでしょうね。
とはいえ両片思いのような焦ったいお二人の様子に、早くお互い素直になれば良いのに、などと不敬なことを考えていた所、わたくしを呼ぶ声がしました。
「マーサさん、今少し時間取れますか?」
「まあクルスさん、どうされました?」
「旦那様も奥様もお出かけになられたので、休憩がてらお茶にでもしませんか?」
「ええ、喜んで」
休憩といえば使用人控室。いつもは誰かがいるのですが、今日は珍しくわたくし達だけのようですね。
紅茶を差し出すと、クルスさんはありがとう、と優しく微笑みました。
三十半ばという若さで公爵家の筆頭家令を務めるクルスさんは、普段クールで近寄りがたい方なのですが、オフの際はこうしてとても優しく気さくなナイスミドルなのです。
「マーサさん、奥様の調子はいかがですか?」
「そうですね、体力の方も大分回復されたようで、最近は大層健やかにお過ごしですよ。ああでも……その、できれば旦那様の寵愛をもう少し加減して頂ければ、と……」
クルスさんは途端に苦笑します。
「私の口からは申し上げられない……というより言っても聞かないでしょうね」
「ですよねぇ」
二人同時に、はあっとため息が零れます。主人の身は心配ですが、どうしても越えられない壁があるのです。
「旦那様はとても良い方に変わられました。奥様にはどうか末長く側に居て頂きたいものです」
クルスさんの瞳が優しく細められました。可愛い弟を見守る兄のような柔らかい眼差しです。
「そうですね、これまでがどうであれ、お二人は思い合っていらっしゃいますから」
「まあ、ジョエル様本人に自覚がなさそうなのが一番の問題ですけどね」
「ホントに……早く気付いて欲しいものですね。奥様に愛想を尽かされる前に……」
「やめて下さい、縁起でもない……」
クルスさんが渋面したので思わず笑ってしまいました。
「まあ、今は初々しいお二人を見守って差し上げましょう。それとなく奥様には旦那様のこと褒めちぎっておきますから」
「それはありがたいですね。それでは私は適度に煽っておきましょう。旦那様にはきっと効果テキメンでしょうから」
浮かんだクルスさんの笑みにゾクッとしましたが、ささっと目を逸らして見なかったことにしました。熱い紅茶を啜りながら、今頃しっかり愛を深めていらっしゃると良いな、と私はお二人に思いを馳せるのでした。
「旦那様、奥様お帰りなさいませ」
夕食前にお戻りになったジョエル様とエマ様を、クルスさんと共に出迎えます。
「出迎えありがとう」
にっこりとお美しく微笑むエマ様。そしてそんなエマ様を優しく見つめるジョエル様……お二人を包む空気の濃密さと、今日の戦利品であるらしきそれぞれのピアスとにわたくしはすぐ気が付きました。
さっと素早くクルスさんと視線を交えます。
『デートは大成功のようですね』
『ええ、安心しました』
言葉にすればこんなところでしょうか。
お着替えのため、ここでジョエル様とは一旦お別れです。
「ジョエル、また後で」
「ああ」
エマ様を見つめるジョエル様の目が切なく寂しげで、何だか見ているこちらの方が胸を締め付けられてしまいます。ほんの僅かな時間すら離れたくないとは、どこまでエマ様がお好きなのでしょうね。
「奥様、デートは如何でしたか?」
「とても楽しかったわ。今日は丁度月に一度の青空市で、珍しい品を沢山見て回れたの」
ふふっと思い出し笑いをするエマ様、余程楽しかったのでしょうね。碧のピアスも楽しげに揺れています。
「でもジョエルはあんな地味に装っても、目立ってしまうのよね……」
はあっと物憂げにため息を零されるエマ様。ええと……それはそのままエマ様にも当てはまると思うのですが……エマ様はご自身の美しさには何処か無頓着でいらっしゃいます。
「そうですね、老若男女問わず昔からジョエル様は人目を引いていらっしゃいましたから」
「そう、よね……」
何処か自嘲的なエマ様の笑みが気になりました。ですが立ち入って良い類のものか判断に迷います。
「ねえ、マーサ。仮によ? 気になる男性が可愛らしい女性に優しく微笑みかけていたら……どう思う?」
そんなことがあったのか、と密か驚きつつわたくしは想像を巡らせました。
「そうですね……状況にもよりますが、愛されている自信があるのなら気持ちは揺るぎません。ですが相手の気持ちが分からないままなら……不安になると思います」
エマ様は大きな瞳を更に大きく見開きました。
「そう……ありがとうマーサ」
何処か吹っ切れたような晴れやかな笑みにつられるよう、わたくしも思わず微笑んでいました。
エマ様にヤキモチを焼かせるだなんて、ジョエル様もやりますね。計算のできる方ではないので、きっと無自覚にでしょうけれど。
お二人の気持ちは少し先へ進んだかに見受けられますし、今日のデートは大成功のようですね。
女心に疎いジョエル様の成長ぶりに内心拍手を送りつつ、わたくしはいそいそとエマ様のお化粧を整えはじめました。
今度はエマ様がお心を奪う番です。ジョエル様が言葉をなくすほどお美しく整えて差し上げねば!
密かに闘志を燃やして意気込むわたくしなのでありました。
……その結果どうなったかは、ご想像にお任せすることに致します──
「いいえ、奥様そのようなお気遣いは不要です」
むしろ反省すべきはジョエル様の方だ、と鬱血痕まみれのエマ様の首筋やデコルテを見ながら内心密かにため息を零します。
わたくしはマーサ。エマ様専属の侍女を致しております。十六で縁あってヴァルク家に雇われ早十年。大変名誉なことに身一つで嫁がれてきたエマ様の侍女に抜擢され、三月程になります。
婚約者時代のエマ様は、ジョエル様を大層嫌っていらして、ツンケンと人を人とも思わない高飛車な印象がありましたが、ご結婚されてからは何か心境に変化でもあったのでしょうか。とても落ち着いた気さくで快活な女性になられました。
不仲だったお二人を、はじめは皆大層心配しておりましたが、どうやら杞憂だったようですね。
お母様の出自もあるせいか、異常なまでに女性に潔癖なジョエル様が、初夜から毎日欠かさずエマ様の元へ通われているのです。真面目な方なので閨事も義務のように感じているのかと思ったものでしたが、どうやらそうではないようです。
ある時期からどうかしたのではないか、と心配になる程大量の執着の痕……ジョエル様はどうやらエマ様に溺れていらっしゃるようです。
エマ様はイマイチ分かっていらっしゃらないようですが、日に日に増えていくキスマークの有様には目眩を覚えるほどです。
全く少しは手加減をして頂きたい、と呆れてしまうのは許して欲しいですね。わたくしも人間ですから。
濃紺のシンプルなハイネックドレスに着替えて頂き、お髪を整え終えた所でコンコン、とノックの音。
「どうぞ」
エマ様はありがとう、と美しく微笑みながら立ち上がりました。
「エマ」
内心噂をすればジョエル様です。
エマ様の病が癒えてから、ジョエル様は大層表情豊かになられました。
今エマ様に向けられている、誰も見たこともないような甘い微笑はきっと無意識のものでしょう。大好きで大好きで堪らない! 感が溢れ出しております。
何だか見ているこちらが恥ずかしくなってしまいますね。
「ごめんなさい、待たせてしまったかしら? 行きましょうか」
優しく微笑み返すエマ様。ああ、眼福! お二人はかくもお美しく尊い!
見慣れているはずなのに、やはり何度見てもお似合いなお二人だと見惚れてしまうのです。
今日はジョエル様の休日で、街へ買い物に行かれるというお二人。無事に送り出してほっと安堵のため息をひとつ。メイク道具を片付けながら、どうか素敵なデートになりますように、と祈ります。
誰がどう見ても相愛のお二人なのですが、何がどう拗れているのかお互い愛の言葉だけは避けあっているように見受けられます。
婚約者時代の不仲が尾を引いているのでしょうか。でも、過去がどうあれ今は憎からず思い合っているように見えるのですが……きっとお二人なりの愛の深め方があるのでしょうね。
とはいえ両片思いのような焦ったいお二人の様子に、早くお互い素直になれば良いのに、などと不敬なことを考えていた所、わたくしを呼ぶ声がしました。
「マーサさん、今少し時間取れますか?」
「まあクルスさん、どうされました?」
「旦那様も奥様もお出かけになられたので、休憩がてらお茶にでもしませんか?」
「ええ、喜んで」
休憩といえば使用人控室。いつもは誰かがいるのですが、今日は珍しくわたくし達だけのようですね。
紅茶を差し出すと、クルスさんはありがとう、と優しく微笑みました。
三十半ばという若さで公爵家の筆頭家令を務めるクルスさんは、普段クールで近寄りがたい方なのですが、オフの際はこうしてとても優しく気さくなナイスミドルなのです。
「マーサさん、奥様の調子はいかがですか?」
「そうですね、体力の方も大分回復されたようで、最近は大層健やかにお過ごしですよ。ああでも……その、できれば旦那様の寵愛をもう少し加減して頂ければ、と……」
クルスさんは途端に苦笑します。
「私の口からは申し上げられない……というより言っても聞かないでしょうね」
「ですよねぇ」
二人同時に、はあっとため息が零れます。主人の身は心配ですが、どうしても越えられない壁があるのです。
「旦那様はとても良い方に変わられました。奥様にはどうか末長く側に居て頂きたいものです」
クルスさんの瞳が優しく細められました。可愛い弟を見守る兄のような柔らかい眼差しです。
「そうですね、これまでがどうであれ、お二人は思い合っていらっしゃいますから」
「まあ、ジョエル様本人に自覚がなさそうなのが一番の問題ですけどね」
「ホントに……早く気付いて欲しいものですね。奥様に愛想を尽かされる前に……」
「やめて下さい、縁起でもない……」
クルスさんが渋面したので思わず笑ってしまいました。
「まあ、今は初々しいお二人を見守って差し上げましょう。それとなく奥様には旦那様のこと褒めちぎっておきますから」
「それはありがたいですね。それでは私は適度に煽っておきましょう。旦那様にはきっと効果テキメンでしょうから」
浮かんだクルスさんの笑みにゾクッとしましたが、ささっと目を逸らして見なかったことにしました。熱い紅茶を啜りながら、今頃しっかり愛を深めていらっしゃると良いな、と私はお二人に思いを馳せるのでした。
「旦那様、奥様お帰りなさいませ」
夕食前にお戻りになったジョエル様とエマ様を、クルスさんと共に出迎えます。
「出迎えありがとう」
にっこりとお美しく微笑むエマ様。そしてそんなエマ様を優しく見つめるジョエル様……お二人を包む空気の濃密さと、今日の戦利品であるらしきそれぞれのピアスとにわたくしはすぐ気が付きました。
さっと素早くクルスさんと視線を交えます。
『デートは大成功のようですね』
『ええ、安心しました』
言葉にすればこんなところでしょうか。
お着替えのため、ここでジョエル様とは一旦お別れです。
「ジョエル、また後で」
「ああ」
エマ様を見つめるジョエル様の目が切なく寂しげで、何だか見ているこちらの方が胸を締め付けられてしまいます。ほんの僅かな時間すら離れたくないとは、どこまでエマ様がお好きなのでしょうね。
「奥様、デートは如何でしたか?」
「とても楽しかったわ。今日は丁度月に一度の青空市で、珍しい品を沢山見て回れたの」
ふふっと思い出し笑いをするエマ様、余程楽しかったのでしょうね。碧のピアスも楽しげに揺れています。
「でもジョエルはあんな地味に装っても、目立ってしまうのよね……」
はあっと物憂げにため息を零されるエマ様。ええと……それはそのままエマ様にも当てはまると思うのですが……エマ様はご自身の美しさには何処か無頓着でいらっしゃいます。
「そうですね、老若男女問わず昔からジョエル様は人目を引いていらっしゃいましたから」
「そう、よね……」
何処か自嘲的なエマ様の笑みが気になりました。ですが立ち入って良い類のものか判断に迷います。
「ねえ、マーサ。仮によ? 気になる男性が可愛らしい女性に優しく微笑みかけていたら……どう思う?」
そんなことがあったのか、と密か驚きつつわたくしは想像を巡らせました。
「そうですね……状況にもよりますが、愛されている自信があるのなら気持ちは揺るぎません。ですが相手の気持ちが分からないままなら……不安になると思います」
エマ様は大きな瞳を更に大きく見開きました。
「そう……ありがとうマーサ」
何処か吹っ切れたような晴れやかな笑みにつられるよう、わたくしも思わず微笑んでいました。
エマ様にヤキモチを焼かせるだなんて、ジョエル様もやりますね。計算のできる方ではないので、きっと無自覚にでしょうけれど。
お二人の気持ちは少し先へ進んだかに見受けられますし、今日のデートは大成功のようですね。
女心に疎いジョエル様の成長ぶりに内心拍手を送りつつ、わたくしはいそいそとエマ様のお化粧を整えはじめました。
今度はエマ様がお心を奪う番です。ジョエル様が言葉をなくすほどお美しく整えて差し上げねば!
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