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「……ご無沙汰しております、アローナ公爵閣下」
約二年ぶりに顔を合わせる伯父――アローナ公爵の仏頂面に出迎えられた私は、困惑しつつも儀礼的に挨拶を述べる。
すると公爵は無言のまま座れと顎で示した。
普段交流もない上、先ぶれもない突然の訪問だ、これはどうやらただ事ではない。
私がおずおずと対面に座るや否や、公爵は心底億劫そうに口を開いた。
「……単刀直入に言おう。クロエ・オルラド女伯、早急に後継を作れ」
思わず出かかった「は?」という言葉をすんでのところで飲み込む。
「それはまた……唐突なお話ですね」
「相手は誰でもいい、婚姻の必要もない。早急にオルラドの次代を生むことこそがお前の役割だろう」
『オルラドの次代』という皮肉な言葉につい苦笑してしまう。
何の力も持たずに生まれてしまった私の使い道など、それしかないことくらいよく分かっている。
しかしいくら伯父とはいえ、こんなことにまで口を挟むのは流石におかしい。
これは……公爵を動かすほどの大きな力が働いたとしか思えない。
だとしたら、それは皇帝の意向という可能性が高い。
これまで交流もなかったというのに、何故今になって?
ふと黙り込む私を今度は諭すように、公爵は若干声を和らげた。
「もうあれから二年が経ったのだ。お前もそろそろ社交を再開してもいい頃合いだろう」
二年……もうあれから二年が経ったのか。
その時の記憶、感情が俄かに蘇りかけ、無理やり振り払うよう頭を振ってこめかみを押さえる。
今日に至るまで外の情報を遮断していたので、オルラド家の外聞など知りようがないし、知りたくもない。
「一つだけ教えてください」
「なんだ」
「それは……陛下のご意向という認識で相違ありませんか」
厳ついアローナ公爵の顔を正面から見据えると、彼は渋々といった体で小さく頷いた。
「分かりました……早急に対応するようにいたします」
「ああ、困ったことがあればいつでも相談に来るといい」
「はい、そうするようにいたします」
公爵は満足げに微笑んだ。
けれど……私にはその笑みに隠れ潜む感情が透けて見える。
どれだけ表面を取り繕おうと、父の実家であるアローナ公爵家の人々は、私という存在を心の底から嫌悪している。
父を取り巻く環境を思えば、その心情も分からなくはないのだけれど。
私ことクロエ・オルラドは伯爵家の一人娘だ。
母が亡くなった五歳の時に爵位を継ぎ、今年で十五年目を迎える。
ここソルヴェイユ帝国において、爵位は通常男系血族に引き継がれるのだが、オルラド家は存在自体が特異な家柄だ。
初代当主となった祖母ヴィヴィアンは、希少な癒しの力を持つ異国の舞姫で、先帝にその才と類稀な美貌を見初められた。
一躍寵姫へと上り詰めたヴィヴィアンに対し、先帝は惜しみない愛と栄華、そして伯爵位を授けた。その爵位と財産は、必ずヴィヴィアンの直系血族にのみ受け継がれるものと勅命まで下して。
それだけ先帝の愛が深かった……そう捉えるなら純愛のようにも見えるが、希少な癒しの力を皇家で独占したいのが本音だったのだろう。
ヴィヴィアン亡き後、オルラド家の全ては私の母――アリア・オルラドに受け継がれることとなった。
アリアは先帝の庶子であり皇族とは見做されないが、ヴィヴィアンから優れた治癒能力を受け継いだアリアを、先帝は実子の中で最も溺愛した。
更には自ら選びに選び抜いて、名門アローナ公爵家次男だった父を母の婿にあてがった。
そうして生まれたのが私だ。
母は私が五歳の時に亡くなったのだが、私には母が亡くなるより以前の記憶が欠落している。
喪失のショックがあまりに深かったせいなのだと乳母は慰めてくれるのだけれど。
その後一人娘であった私が強制的にオルラド家当主となり、実務全般は皇家が指名した執政官が一時的に監督することとなった。
通常なら当主業務は父が代行するのだろうが、先帝がそれを許さなかった。
つまりオルラド家においての父の役割は種馬――それ以上でも以下でもないということが対外的に示されたことになる。
高位貴族に生まれた父にとって、それはあまりに侮辱的で耐え難い現実であったに違いない。
更に父を追い込んだのは、娘の私に治癒能力が受け継がれなかったことだ。
誰のせいでもないであろうに、先帝は失望の矛先を父に向け、酷く冷遇した。
追い詰められた父は次第に私という存在を邪険にし、憎悪するようになっていったのだが、先帝はオルラド家の存続を強く望み、その意向は現皇帝にも受け継がれた。
私のことは消したいほど憎いが、皇家がそれを許さない――このジレンマは父を負の連鎖に陥れるに十分だった。
そしてついに私が十歳を迎えた頃から、父は放蕩の限りを尽くし屋敷へは寄り付かなくなった。
オルラド家の影として生きることを強いられた自身の運命を呪い、現実から目を背けるかのように。
突如ひとり屋敷に取り残される形となった私は、幼いながらも執政官や使用人達の力を借り、領地経営や屋敷の管理業務に忙殺されることとなった。
その結果屋敷に篭りがちとなり、社交活動に時間を費やす余裕もないまま現在に至ることとなってしまったのだけれど。
そんな中、父が突如逝去したのが二年前のこと。
その死に様があまりに衝撃的だったことにより、オルラド家は一躍醜聞に塗れた。
もしかしたら、それこそが父の復讐だったのではと思われるほどに。
しかしそんな醜聞もどこ吹く風、財産目当てと思われる求婚状は絶えることなく、日々山のように届けられる。
――結婚、か。
執務机に頬杖をついて小さな溜め息をひとつ。
正直自分の代でオルラド家が潰えようと私自身は構わないのだが、皇家が存続を望む以上それも許されない。
ひとまずの急務は後継者問題だ。
父の犠牲と苦悩を知る身としては結婚など望まないし、たとえ私に治癒能力がなかろうと、ヴィヴィアンの直系血族であるクロエ・オルラドが生んだ子さえいれば皇家は満足する。
そこで必要となるのが種となる相手なのだけれど、私の性格上、手あたり次第は向いていないので、できれば一人の人と割り切った関係を築くことが望ましい。
だとしたらどんな人物が良いだろう。
今現在独身で特別な相手がいない男性――これは絶対条件だ。
私のせいで誰かを悲しませるようなことがあってはならないのだから。
あとは効率よく排卵日を狙って性交に及ぶにしても、一度や二度ではできない可能性のほうが高い。ここは健康な性豪であることは外せないか。
そして私と私の財産に興味を抱かず、割り切った関係を築けるほどの人間的、財産的余裕があればなおいい。
まとめると、「裕福でそこそこ遊び慣れた性豪の独身男性」となりそうだけれど……果たしてそんな都合のいい男性が居るのだろうか。
私は情報ギルドに依頼をして、可能な限り条件に近い人物を探ってみることにした。
すぐに依頼書を書き、執事のベンに届けさせると、数刻ほどでベンは報告書を携え戻ってきた。
彼の退室を見届けてから封を開き、受け取った報告書に目を通す。
「はぁ……」
そしてすぐに深い失望を覚えた。
やはり条件が厳しすぎたのか、リストにはたった一人の名しか記されていなかった。
ルーク・エル・ベリア――大公家の三男に生まれながら爵位を継いだ、稀有な存在として有名な人物だ。
人柄は冷酷かつ残忍で、前大公の妾や兄達も彼の凶手に倒れたと巷ではまことしやかに囁かれている。
その残虐性からさぞ恐ろしい風貌かと思いきや、大公は大層妖艶な美貌の持ち主で、『魔性の大公殿下』などという二つ名をお持ちだ。
私は残念ながら一度もお目にかかったことはないのだけれど。
血縁的には従兄にあたる方とはいえ、皇家に次ぐ権勢を誇る大公殿下を種馬扱いとは……あまりに非現実的な話ではないか。
「そう上手くはいかないか……」
ガッカリしながら報告書を袖机にしまう。
人脈もない私にとって情報屋が頼りにならない以上、直に選んで交渉するよりほかない。
気は進まないものの、いくつか招待状も届いていることだし、手始めに夜会に参加してみることにしよう……
そうやってどうにか腰を上げようとしてはみたものの、ずんと気分は重たい。
私は華やかな場が苦手だ。
そのため社交の場に出るのはデビュー以降片手で数えるほどで、ろくに顔見知りも居ない。
けれど早急に動かなければ、伯父の切迫した様子を見るに、強制的に相手をあてがわれる可能性が高い。
そんなことをされるくらいなら、自分で相手を選んだほうが遥かにましだ。
「まったく……厄介な家系ね……」
いつもの何倍も重く感じられる鈴を摘まみ上げ、侍女長のレミを呼ぶ。
そして明日夜会へ出席する旨を告げ、準備の一切を任せることにした。
レミは久方ぶりのことと大喜びし、早速侍女達を衣装室に集めてうきうきとコーディネートをはじめた。
レミに任せれば間違いはない。
色めき立つ侍女達を尻目に、私は埃を被った貴族名鑑にざっと目を通すのだった。
約二年ぶりに顔を合わせる伯父――アローナ公爵の仏頂面に出迎えられた私は、困惑しつつも儀礼的に挨拶を述べる。
すると公爵は無言のまま座れと顎で示した。
普段交流もない上、先ぶれもない突然の訪問だ、これはどうやらただ事ではない。
私がおずおずと対面に座るや否や、公爵は心底億劫そうに口を開いた。
「……単刀直入に言おう。クロエ・オルラド女伯、早急に後継を作れ」
思わず出かかった「は?」という言葉をすんでのところで飲み込む。
「それはまた……唐突なお話ですね」
「相手は誰でもいい、婚姻の必要もない。早急にオルラドの次代を生むことこそがお前の役割だろう」
『オルラドの次代』という皮肉な言葉につい苦笑してしまう。
何の力も持たずに生まれてしまった私の使い道など、それしかないことくらいよく分かっている。
しかしいくら伯父とはいえ、こんなことにまで口を挟むのは流石におかしい。
これは……公爵を動かすほどの大きな力が働いたとしか思えない。
だとしたら、それは皇帝の意向という可能性が高い。
これまで交流もなかったというのに、何故今になって?
ふと黙り込む私を今度は諭すように、公爵は若干声を和らげた。
「もうあれから二年が経ったのだ。お前もそろそろ社交を再開してもいい頃合いだろう」
二年……もうあれから二年が経ったのか。
その時の記憶、感情が俄かに蘇りかけ、無理やり振り払うよう頭を振ってこめかみを押さえる。
今日に至るまで外の情報を遮断していたので、オルラド家の外聞など知りようがないし、知りたくもない。
「一つだけ教えてください」
「なんだ」
「それは……陛下のご意向という認識で相違ありませんか」
厳ついアローナ公爵の顔を正面から見据えると、彼は渋々といった体で小さく頷いた。
「分かりました……早急に対応するようにいたします」
「ああ、困ったことがあればいつでも相談に来るといい」
「はい、そうするようにいたします」
公爵は満足げに微笑んだ。
けれど……私にはその笑みに隠れ潜む感情が透けて見える。
どれだけ表面を取り繕おうと、父の実家であるアローナ公爵家の人々は、私という存在を心の底から嫌悪している。
父を取り巻く環境を思えば、その心情も分からなくはないのだけれど。
私ことクロエ・オルラドは伯爵家の一人娘だ。
母が亡くなった五歳の時に爵位を継ぎ、今年で十五年目を迎える。
ここソルヴェイユ帝国において、爵位は通常男系血族に引き継がれるのだが、オルラド家は存在自体が特異な家柄だ。
初代当主となった祖母ヴィヴィアンは、希少な癒しの力を持つ異国の舞姫で、先帝にその才と類稀な美貌を見初められた。
一躍寵姫へと上り詰めたヴィヴィアンに対し、先帝は惜しみない愛と栄華、そして伯爵位を授けた。その爵位と財産は、必ずヴィヴィアンの直系血族にのみ受け継がれるものと勅命まで下して。
それだけ先帝の愛が深かった……そう捉えるなら純愛のようにも見えるが、希少な癒しの力を皇家で独占したいのが本音だったのだろう。
ヴィヴィアン亡き後、オルラド家の全ては私の母――アリア・オルラドに受け継がれることとなった。
アリアは先帝の庶子であり皇族とは見做されないが、ヴィヴィアンから優れた治癒能力を受け継いだアリアを、先帝は実子の中で最も溺愛した。
更には自ら選びに選び抜いて、名門アローナ公爵家次男だった父を母の婿にあてがった。
そうして生まれたのが私だ。
母は私が五歳の時に亡くなったのだが、私には母が亡くなるより以前の記憶が欠落している。
喪失のショックがあまりに深かったせいなのだと乳母は慰めてくれるのだけれど。
その後一人娘であった私が強制的にオルラド家当主となり、実務全般は皇家が指名した執政官が一時的に監督することとなった。
通常なら当主業務は父が代行するのだろうが、先帝がそれを許さなかった。
つまりオルラド家においての父の役割は種馬――それ以上でも以下でもないということが対外的に示されたことになる。
高位貴族に生まれた父にとって、それはあまりに侮辱的で耐え難い現実であったに違いない。
更に父を追い込んだのは、娘の私に治癒能力が受け継がれなかったことだ。
誰のせいでもないであろうに、先帝は失望の矛先を父に向け、酷く冷遇した。
追い詰められた父は次第に私という存在を邪険にし、憎悪するようになっていったのだが、先帝はオルラド家の存続を強く望み、その意向は現皇帝にも受け継がれた。
私のことは消したいほど憎いが、皇家がそれを許さない――このジレンマは父を負の連鎖に陥れるに十分だった。
そしてついに私が十歳を迎えた頃から、父は放蕩の限りを尽くし屋敷へは寄り付かなくなった。
オルラド家の影として生きることを強いられた自身の運命を呪い、現実から目を背けるかのように。
突如ひとり屋敷に取り残される形となった私は、幼いながらも執政官や使用人達の力を借り、領地経営や屋敷の管理業務に忙殺されることとなった。
その結果屋敷に篭りがちとなり、社交活動に時間を費やす余裕もないまま現在に至ることとなってしまったのだけれど。
そんな中、父が突如逝去したのが二年前のこと。
その死に様があまりに衝撃的だったことにより、オルラド家は一躍醜聞に塗れた。
もしかしたら、それこそが父の復讐だったのではと思われるほどに。
しかしそんな醜聞もどこ吹く風、財産目当てと思われる求婚状は絶えることなく、日々山のように届けられる。
――結婚、か。
執務机に頬杖をついて小さな溜め息をひとつ。
正直自分の代でオルラド家が潰えようと私自身は構わないのだが、皇家が存続を望む以上それも許されない。
ひとまずの急務は後継者問題だ。
父の犠牲と苦悩を知る身としては結婚など望まないし、たとえ私に治癒能力がなかろうと、ヴィヴィアンの直系血族であるクロエ・オルラドが生んだ子さえいれば皇家は満足する。
そこで必要となるのが種となる相手なのだけれど、私の性格上、手あたり次第は向いていないので、できれば一人の人と割り切った関係を築くことが望ましい。
だとしたらどんな人物が良いだろう。
今現在独身で特別な相手がいない男性――これは絶対条件だ。
私のせいで誰かを悲しませるようなことがあってはならないのだから。
あとは効率よく排卵日を狙って性交に及ぶにしても、一度や二度ではできない可能性のほうが高い。ここは健康な性豪であることは外せないか。
そして私と私の財産に興味を抱かず、割り切った関係を築けるほどの人間的、財産的余裕があればなおいい。
まとめると、「裕福でそこそこ遊び慣れた性豪の独身男性」となりそうだけれど……果たしてそんな都合のいい男性が居るのだろうか。
私は情報ギルドに依頼をして、可能な限り条件に近い人物を探ってみることにした。
すぐに依頼書を書き、執事のベンに届けさせると、数刻ほどでベンは報告書を携え戻ってきた。
彼の退室を見届けてから封を開き、受け取った報告書に目を通す。
「はぁ……」
そしてすぐに深い失望を覚えた。
やはり条件が厳しすぎたのか、リストにはたった一人の名しか記されていなかった。
ルーク・エル・ベリア――大公家の三男に生まれながら爵位を継いだ、稀有な存在として有名な人物だ。
人柄は冷酷かつ残忍で、前大公の妾や兄達も彼の凶手に倒れたと巷ではまことしやかに囁かれている。
その残虐性からさぞ恐ろしい風貌かと思いきや、大公は大層妖艶な美貌の持ち主で、『魔性の大公殿下』などという二つ名をお持ちだ。
私は残念ながら一度もお目にかかったことはないのだけれど。
血縁的には従兄にあたる方とはいえ、皇家に次ぐ権勢を誇る大公殿下を種馬扱いとは……あまりに非現実的な話ではないか。
「そう上手くはいかないか……」
ガッカリしながら報告書を袖机にしまう。
人脈もない私にとって情報屋が頼りにならない以上、直に選んで交渉するよりほかない。
気は進まないものの、いくつか招待状も届いていることだし、手始めに夜会に参加してみることにしよう……
そうやってどうにか腰を上げようとしてはみたものの、ずんと気分は重たい。
私は華やかな場が苦手だ。
そのため社交の場に出るのはデビュー以降片手で数えるほどで、ろくに顔見知りも居ない。
けれど早急に動かなければ、伯父の切迫した様子を見るに、強制的に相手をあてがわれる可能性が高い。
そんなことをされるくらいなら、自分で相手を選んだほうが遥かにましだ。
「まったく……厄介な家系ね……」
いつもの何倍も重く感じられる鈴を摘まみ上げ、侍女長のレミを呼ぶ。
そして明日夜会へ出席する旨を告げ、準備の一切を任せることにした。
レミは久方ぶりのことと大喜びし、早速侍女達を衣装室に集めてうきうきとコーディネートをはじめた。
レミに任せれば間違いはない。
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