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27.ゴール間近
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6月23日、月曜日。
季節が早足で駆け抜けていく。
真っ白な積乱雲は、濃い青空にくっきりとしたコントラストを作っている。
もう季節は夏だった。
あれから僕は掟を徹底的に守ったため、謹慎直後こそあまり大きな利益も損も出なかったが、次第に結果がついてくるようになっていた。
魔獣『ルネハス』。価格はよく上下に動くが、負けるときは凄く負ける。いわゆるボラがある奴だ。
僕の集中力が加速すると、没入感はもはや魔獣使いの呼吸すらわかるようになっていた。そろそろ引きそうだ。
「5MAを割るよ」
「OK」
パプルの声が遠くで合図してくるが、僕には魔獣使いが見えているのだからまず間違いようがない。
「エグジット」
ピンポーン
僕が売った後、価格はズルズルと下がっていった。僕の売値はほぼ最高値だった。
「やったね」
パプルがモニターを観ながらつぶやいた。
僕達3人の利益は10万を超える日も珍しくなくなって、壁のグラフは右肩上がりに上昇していた。今日の時点で、目標に対して107,900エネのプラスとなっていた。
「ねえ、タイムリミットまで何日ある?」
僕はパプルに聞いた。…最近はこの賢い相棒に聞くことが増えた気がする。
「理事長との約束の日まであと28日だけど、トレード可能日数は18日だね」
「あと18日しかないの?!後がないよ…」
「そうだね。現在プラス320万で元の資金100万を合計して420万エネ。残り約80万エネだね」
「18日で80万って、一日平均にしたら?」
「4万4千4百4十4.444…エネだよ」
「それだけ聞くと、何とかなりそうな気もするけど…44444か。…嫌な数字。いや、絶対クリアしてみせるよ!」
最初、100日もないのに400万エネを取り返すなんて、到底無謀だと思っていた。
だけど、一か八かのギャンブルをすることもなく、徹底したルール管理だけで僕達はここまでやってきた。優れた先輩達と偉大な教授のおかげで、僕もここまで引っ張ってきてもらえたのだ。
シモン教授の教えは、もはや疑う余地はなく優れたものだった。
僕達のゴールは、もう手の届くところまで近づいて来ていた。
16:00。下校のチャイムが鳴って、生徒が一斉に帰宅し始める。
薄れゆく青空に、薄いヴェールのような雲が広がっていくが、日は延びてまだ夕暮れまでには時間がある。
ジョエルとサンドラは、ここのところ毎日一緒に帰るようになっていた。
この日も2人して教室を出たのだが、下駄箱で忘れ物に気がついたジョエルとサンドラは、魔導医療科の教室に戻って来たのだった。
「あれ、誰かいるのかな」
ジョエルが教室の前でサンドラを見た。
教室の中から、声が聞こえたのだ。
ノルマの声だった。
「…お願いだ。できるだけのことはする」
「…あんたみたいな人が借金で首がまわらないとはな」
相手の声には聞き覚えがあった気もするが、いまいち判断がつかなかった。
ただ、ここで教室に入るべきではないことが分かった2人は、顔を見合わせた。
ノルマの個人的な事情に聞き耳を立てることに罪悪感を感じて、2人は教室から離れようとして歩き始めた。
「何をする!」
「お前から言い出したんだろ」
「いや」
「ちょっと付き合ってくれたら、ちゃんと金貸してやるよ。お前金がいるんだろ!」
「………」
「そうそう。大人しくしてりゃ金はやるよ」
ジョエルとサンドラはノルマの危機を察知して、ドアから教室に飛び込んだ。
「ノルマ先輩!」
机に押さえつけられたノルマと、覆いかぶさったルシアノがいた。
その光景を見たサンドラは、髪の毛が逆立つ怒りを抑えきれず、近くのビーカーを投げつけた。
「この!離れろっ!!」
ガチャン!!
派手な音が教室に響き渡り、ルシアノはノルマから飛び退いてジョエルとサンドラを睨んで教室から出ていった。
そして廊下から大声が聞こえた。
「ふん!金の件は無しだ」
ジョエルとサンドラがノルマに駆け寄ると、彼女は震えていた。
季節が早足で駆け抜けていく。
真っ白な積乱雲は、濃い青空にくっきりとしたコントラストを作っている。
もう季節は夏だった。
あれから僕は掟を徹底的に守ったため、謹慎直後こそあまり大きな利益も損も出なかったが、次第に結果がついてくるようになっていた。
魔獣『ルネハス』。価格はよく上下に動くが、負けるときは凄く負ける。いわゆるボラがある奴だ。
僕の集中力が加速すると、没入感はもはや魔獣使いの呼吸すらわかるようになっていた。そろそろ引きそうだ。
「5MAを割るよ」
「OK」
パプルの声が遠くで合図してくるが、僕には魔獣使いが見えているのだからまず間違いようがない。
「エグジット」
ピンポーン
僕が売った後、価格はズルズルと下がっていった。僕の売値はほぼ最高値だった。
「やったね」
パプルがモニターを観ながらつぶやいた。
僕達3人の利益は10万を超える日も珍しくなくなって、壁のグラフは右肩上がりに上昇していた。今日の時点で、目標に対して107,900エネのプラスとなっていた。
「ねえ、タイムリミットまで何日ある?」
僕はパプルに聞いた。…最近はこの賢い相棒に聞くことが増えた気がする。
「理事長との約束の日まであと28日だけど、トレード可能日数は18日だね」
「あと18日しかないの?!後がないよ…」
「そうだね。現在プラス320万で元の資金100万を合計して420万エネ。残り約80万エネだね」
「18日で80万って、一日平均にしたら?」
「4万4千4百4十4.444…エネだよ」
「それだけ聞くと、何とかなりそうな気もするけど…44444か。…嫌な数字。いや、絶対クリアしてみせるよ!」
最初、100日もないのに400万エネを取り返すなんて、到底無謀だと思っていた。
だけど、一か八かのギャンブルをすることもなく、徹底したルール管理だけで僕達はここまでやってきた。優れた先輩達と偉大な教授のおかげで、僕もここまで引っ張ってきてもらえたのだ。
シモン教授の教えは、もはや疑う余地はなく優れたものだった。
僕達のゴールは、もう手の届くところまで近づいて来ていた。
16:00。下校のチャイムが鳴って、生徒が一斉に帰宅し始める。
薄れゆく青空に、薄いヴェールのような雲が広がっていくが、日は延びてまだ夕暮れまでには時間がある。
ジョエルとサンドラは、ここのところ毎日一緒に帰るようになっていた。
この日も2人して教室を出たのだが、下駄箱で忘れ物に気がついたジョエルとサンドラは、魔導医療科の教室に戻って来たのだった。
「あれ、誰かいるのかな」
ジョエルが教室の前でサンドラを見た。
教室の中から、声が聞こえたのだ。
ノルマの声だった。
「…お願いだ。できるだけのことはする」
「…あんたみたいな人が借金で首がまわらないとはな」
相手の声には聞き覚えがあった気もするが、いまいち判断がつかなかった。
ただ、ここで教室に入るべきではないことが分かった2人は、顔を見合わせた。
ノルマの個人的な事情に聞き耳を立てることに罪悪感を感じて、2人は教室から離れようとして歩き始めた。
「何をする!」
「お前から言い出したんだろ」
「いや」
「ちょっと付き合ってくれたら、ちゃんと金貸してやるよ。お前金がいるんだろ!」
「………」
「そうそう。大人しくしてりゃ金はやるよ」
ジョエルとサンドラはノルマの危機を察知して、ドアから教室に飛び込んだ。
「ノルマ先輩!」
机に押さえつけられたノルマと、覆いかぶさったルシアノがいた。
その光景を見たサンドラは、髪の毛が逆立つ怒りを抑えきれず、近くのビーカーを投げつけた。
「この!離れろっ!!」
ガチャン!!
派手な音が教室に響き渡り、ルシアノはノルマから飛び退いてジョエルとサンドラを睨んで教室から出ていった。
そして廊下から大声が聞こえた。
「ふん!金の件は無しだ」
ジョエルとサンドラがノルマに駆け寄ると、彼女は震えていた。
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