大切な死人に祈る~過去の思い出に浸りながら手を合わせる~

黒金 影輝

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大切な死人に祈る~過去の思い出に浸りながら手を合わせる~

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 私、印道導いんどうみちびきは、人と死人の伝達役としてこの天国道に祈りを捧げている。
 今日は、特にお客さんが多くて沢山の人の合掌が見られた。
 これは、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、自分の仕事が増えたと言うことならいいが、人が亡くなったのに楽しむことなど、あってはならない。
 死人を至らしめるのは、我々みたいな職業ではご法度でむしろ悲哀の感情でことに挑む必要がある。

「お父さん……ごめん……私、本当は嬉しかった……心配してくれて……あの後、結局彼氏とは上手くいかなくて……別れたの……だから……ここで、お礼を言うわ……ありがとう……」

「いや……私も、意固地だった……ちゃんと、話せば良かったな……すまない……」

 その、おじいさんらしき人の謝罪の声と、姿は女性の人からは見えてないし聞こえない。
 私は、改めてそのおじいさんの言葉を、女性の人に教えてそれを聞いたら、目から涙を滝のように流して、ニコニコ笑っているように見えた。

「おじいちゃん……ごめんね! 私が怒られないように、するためにお皿を割ったことを自分が割ったことにしてくれて。ごめんね……ごめんね……」

 少女は、どうやら自分のおじいさんに、失敗を庇ってもらい代わりに、おじいさんが怒られたことを後悔しているようだった。
 おじいさんらしき霊は、全然怒っておらず笑顔少女を見ていた。

「いいんじゃよ……ワシも、孫が元気でいてくれてよかったわ。また、ここに来て一緒に話たいと言ってくださいや」

 おじいさんが言っていたことを、少女に話すとありがとうと言って幸せそうに祈る。

「おやじ……お袋……俺……約束守ったよ……妹と弟を守れたんだ……ちゃんとした、大学にも行ったし……二人とも、今はもう自立していないけど……これで、良かったよな……」

 スーツと短髪の姿の青年は、そう手を合わせながら何かから解き放たれた顔をしていた。
 上から、よくいるおばさんとおじさんみたいな人が、ゆっくり落ちてきて泣いていた。

「良いんだ……もう、お前は立派に役目を果たした」

「そうですよね……そうに決まってますもの……お父さん……」

 私は、青年に役目を果たしたんだと言うことを、伝えそれから「そうだよな、頑張ったんだよ」と言い涙を流しやっと荷物が下ろされて、顔が緩む。

「アイカ……俺……やっぱり、忘れられないよ。君は、病気で早く死んでしまったけど……だから……もう一度……その声を聞きたくて、ここまで来たんだ……だけど、君とはもう話せないんだな……君の笑顔を見れないんだよな」

「すみません……残念ながら、私もそれ以上の力はないので……申し訳ない」

「いえいえ……先生の性ではないので」

 青年は、恋人が不治の病で死んだことを思っているのだろう、未だに忘れられず新しい彼女を作ることは出来ないと言っていた。
 彼女は、幸せ者で羨ましくも感じた。
 ここまで、相思相愛のカップルは今まで見たことないからだ。
 

 私が、微笑ましくにこやくかにしていると、女性の声が聞こえてきた。
 後ろを振り向くと、そこには艶やかな髪をしたロングカット、二重まぶたの美人が立っていた。
 それは、絵に描いたような美女で、笑顔がとても素敵ないかにも性格も明るい人だった。

「先生! 私に、体を貸して貰えないでしょうか!?」

「はい!? 私はそのような、力は全くありませんよ? 分かってます?」

「先生……あなたは、もう既に出来るんですよ。そういうことが」

 彼女の話いわく、この前私の体をすり抜けられると思い、ぶつかってきたらたまたま憑依できたと言うのだ。
 信じられないと思ったが、彼女がどうしてもと聞かないので、私の体を彼女に預けることにした。

「タケル……」

「アイカ!?」

 私は、信じられない光景を目の辺りにする。
 何と、憑依している時にだけ彼女の容姿になっていたのだ。
 これは、彼氏の方も目を見開き口を開けて唖然としいた。

「本当に、アイカなのか!?」

「そう言ってるじゃないの? 忘れたの?」

「忘れるもんか……俺は、君とまたこうやって話すことをずっと望んでいた!」

「ありがとう……愛してくれて……」

「俺の方こそ……君が、今までいてくれて感謝しているよ!」

 そう言いながら、私の体を使って彼氏と抱き合っていて、嫌ではあったが仕方ない。
 彼らにとって、今日は特別な日だから。
 盆は、死人にあえる日。
 

 それから、テントみたいな物の中に死人達が入っていく、漸く祈りを捧げていた人達がその姿を見えたのか、歓声を上げてありがとうとかのお礼を各々伝えてる為に叫ぶ。
 その後、テントは徐々にエレベーターみたいに上を目指して上がっていく、途中見えなくなったと思ったら消えてしまった。
 暫く、皆はその余韻に浸っていた。
 私も、こう言う職業をやってよかったと思うことは、この日ばかりは思うしかなかった。
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