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しおりを挟むアデライードが何があったかを知ったのはかなり経ってからだった。
第2王女が生まれた知らせと共に王妃と共にしばらく健やかに過ごしていると聞いて喜んでいた。
「どんな子かしら。早く会ってみたいわ」
「なら、もっと元気にならないといけませんね」
「えぇ、そうね」
乳母やメイドたちも知らなかったため、腹違いの妹が生まれた知らせに元気になっていくアデライードを微笑ましそうに見ていた。
でも、しばらくして母娘が亡くなったと言う知らせにアデライードは、実母の時のような深い悲しみはなかった。
その前に何があったかを父とバスティアンに聞いていたからだ。
「毒……?」
「そうだ」
「それを王妃様が?」
「あぁ、お前たちだけでなくて、私の命も狙っていた」
「……」
しかも、第2王女の父親は、国王ではないことも知ってアデライードは、絶句した。
腹違いの妹酒が生まれたと思っていたら血の繋がりがなかったことに何とも言えないかった。
生まれてきた子供に罪はない。その子から両親を取り上げられないとして、死んだことにして実父と共に平民として暮らす選択をさせたようだ。
母を殺し、父や弟、自分までも殺そうとしていた王妃にアデライードは、生ぬるいと言うことはなかった。
「母が、この場にいたら、良い判断だとおっしゃるはずです。私も、そう思います」
「そうか」
「はい。子に罪はありません。生きて償わせるべきです」
アデライードは、毒を盛られていたと聞いても、自分だけのことなら、何とも思わなかったが、母がそのせいで死んだことには色々とあったが、それでも親子で生きることになったことにホッとしていた。
アデライードは、取り込んだ毒を体外に出すのが体質的に大変だったようだ。毒のせいで、喜怒哀楽もなくなっていたようだ。本来なら、致死量を超えていたはずが、食欲不振となったこととと当たり散らされたストレスで倒れて寝込むことになったようだ。
それが、ジェルメーヌがアデライードのためにと奔走しているのを知った隣国の王弟であり、婚約者がもしかしてと思ったようで、それをすすめてくれたのが、毒出しに良かったようだ。
王弟も、幼い頃に同じような症状になったことがあるらしく、アデライードの症状を聞いて命を狙われているのではないかと思ったようだが、婚約者にはその話をしなかったようだ。
そのため、元気になったアデライードも、ジェルメーヌにその話をすることはなかった。ただ、ジェルメーヌの送ってくれていたものを食べて元気に慣れたと手紙を出して、大喜びしたジェルメーヌが婚約者を連れ立って会いに来てくれた時にジェルメーヌのいないところで、そんな話になっただけだ。
「大変でしたね」
「それは、お互い様では?」
「そうですね」
あれこれ語らずとも、同じように殺意を向けられたことがある者同士でわかり合えた。
「ジェルメーヌを泣かせたら、黙ってませんから」
「……肝に銘じておきます」
王弟は、アデライードの言葉に引きつった顔をしていた。
「あら、内緒話ですか?」
「まさか。ジェルメーヌを泣かせたら黙ってないと言っただけよ」
「ふふっ、それでこそ、アデライード様だわ」
ジェルメーヌは、陽だまりのような笑顔でアデライードが完全復活したことを大喜びしていたが、王弟とアデライードの弟はそれを見ていて……。
「……あれが、本来のアデライード王女なのか?」
「あー、前より調子いいかもしれません」
「……」
「気をつけた方がいいですよ。姉上は、本気です」
それを聞いて、王弟は顔色があまり良くないまま、機嫌のよいジェルメーヌを残して帰って行った。
留学期間が終わったので、卒業するまではヴィルジ国にいると言うのをその時になって聞いたらしく、色んなショックを受けたまま戻ることになった。
「ジェルメーヌと離れるのが、よほどショックだったみたいね」
アデライードは、そんなことをジェルメーヌに言っているのをバスティアンは何とも言えない顔をして聞いていたが、何か言うことはなかった。
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