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しおりを挟むラクスミは、人妻となってからも変わりはなかった。
「ラクスミ様のおかげで、留学生が増えました」
「それは、喜んでいいのでしょうか?」
「喜んでいただいて大丈夫ですよ。あなたに会いたくて勉強を頑張っている令嬢が、隣国では増えていますし、この国でも成績の良さや貢献度によって相談に乗ってもらえるとなって勉強を頑張っていますから」
ラクスミは、学園の理事長に呼び出されて、そんな話をしていた。
アクシェイも、周りから凄い嫁を手にしたとばかりにされていて、嬉しそうにしていた。
それこそ、何か困っていたら、サポートするからと色んな人たちの結婚式の相談に乗って奔走して新婚だというのに嫌な顔一つしなかった。できた夫すぎる。
そんな時に王太子が、ラクスミに会いにこちらの国に来ると各方面から情報を得ることになり、それに合わせてラクスミは実家に里帰りすることになった。
「ラクスミ様」
「久しぶりね。ディピカ」
元婚約者の妹や支払いに奔走している兄から跡継ぎとなったディピカの兄が、それぞれ結婚すると聞いて、2組の結婚式の相談に乗るのに丁度よかった。
(それにしても、王太子がわざわざ留学してまで何をする気なんだか)
ラクスミは、夫や周りにこの際だからと実家に戻ることをすすめてくれていたが、アクシェイたちが迷惑していないかが気になって仕方がなかった。
それでも、ずっとこっちにはいられないのだ。ラクスミが、来ていると知ってちょっとしたパニックになりかけたが、一番相談に乗りたい人たちのことは抜かりなく手伝えたから、よかった。
夫の側に戻って来たラクスミは……。
「旦那様?」
「……予想以上だった」
「?」
アクシェイだけでなくて、学園でも似たりよったりで生徒たちも先生たちも、みんな疲れ果てていた。
どうやら王太子はラクスミが隠れていると思ったようで、探し回るのを止めることもできずに大変だったようだ。
それこそ、側近もやめてしまい、使える側近もできなくて、国王からも色々と言われて余裕が何もなくなっていたようだ。
でも、ラクスミがいないとわかると仕方がないとばかりに王女に婚約してくれと言い出して、それに腹を立てた王女が、こっぴどく振ったことで憤慨して王女が怪我をしたようだ。
「大丈夫なんですか?」
「怪我は、大したことない」
その後、王女を怪我させたと知った国王と王妃が激怒することになり、王太子がしでかしたことを知って連れ戻すことにしたようだが、色々と手遅れになっていたようだ。
(使えない側近以前に使えない王太子になっていることに気づいていなかったみたいね)
前は、そこまでではなかったのに。余裕がなくなりすぎて、そんなことになったようだ。
元婚約者も酷かったが、こうして聞いていると王太子も余裕がなくなると残念になっていくのが止まらなくなるとは思いもしなかった。
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