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しおりを挟むラフールたちが、そんな風に身を滅ぼすことになったのを王太子は馬鹿にしていた。
「全く、使えない側近しかいないのに優秀だと言っただけで、勘違いされるとは思わなかった」
それを他の側近たちも聞いていて眉を顰めていたが、王太子は気づいていなかった。
ラフールのことだけでなく、王太子が他の側近たちもそんな風に思っていたのは薄々気づいていた。だが、ラフールと同じように思われていたことを知って、他の側近たちは……。
「使えないって思われていたとはな」
「あんなこと言われて、側近でいる意味あるのか?」
「……あるかも知れないぞ」
そこで、側近の1人がラクスミのことを他の側近たちに話した。みんな、身内や知り合いの令嬢が結婚式のことで世話になった面々で、側近たちの婚約もラクスミが戻って来たら結婚式の話を聞いてほしいと常々言っていた。
「隣国で、婚約……?」
「そんな話、初めて聞いたぞ。本当なのか?」
「それが、殿下が密かにラクスミ嬢と婚約したがっているらしくて戻って来るより、結婚してあちらにずっといさせたいと王弟の子息が思っているようなんだ」
側近たちは、それを聞いて驚いていた。
「婚約は無理でも、あの調子なら利用しそうだよな」
「確かに。彼女に心配そうに話しかけていたのは見かけたが、ラフールができないのをわかっていて色々頼んでいたからな」
王太子が、他の人と婚約していようとも、戻って来たら手伝わせようとしているのは明らかだとして、そんな彼女が結婚するのなら、王太子にバレないように隠してほしいと言う頼みに乗ることにした。
「そろそろ、ラクスミ嬢が戻って来るはずなんだが」
王太子は、優秀な人材がいない状況が長らく続いていて、イライラしていた。側近たちは、それに気づきながらも、あの手この手でラクスミの話題から、近況にたどり着かないようにはぐらかし続けた。
そして、無事に結婚したと聞いてから行動に移した。
「は? やめる?」
「そうです。殿下には、使えない側近より、使えなる側近を探してもらった方が良いと思うので」
「我々がやめたら、その子息を側近にしてください」
王太子は、そんなことをまくしたてられて呆然としているうちに側近たちはやめることになった。
その後、ラクスミが結婚して戻って来ないとわかるやいなや激怒していたが、それを周りは……。
「今更だな」
「あの怒りっぷりからすると戻って来てたら大変だったな」
「だが、ラクスミ嬢がこっちに戻って来ないと知って婚約者が留学しに行くと騒いでいて困る」
「私は、妹たちが留学してラクスミ嬢に会いに行くと勉強を頑張っていて両親が喜んでいる」
王太子だけが、周りと違う感情をあらわにしていた。
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