13 / 14
13
そんなこんなで、フランソワーズは留学してから父や兄の期待するような日々を送れていなかった。全く楽しくない日々を送っていた。
それこそ、幼なじみ2人がいた頃のような日々に逆戻りしたかのようになっていて、エディットのこじらせっぷりにげんなりしてしまって楽しむ余裕なんてなくなっていた。
それは、婚約した子息も同じだった。
「フランソワーズ嬢、申し訳ないが、もう疲れた」
「そう、ですね。私も、疲れました」
「もう、ここまでにしようと思う」
「わかりました。私、そうします」
何を言っても聞く耳持たず、自分は相応しくないと言い続けるエディットにげんなりしていた。フランソワーズだけでなく、彼も同じく留学を楽しむとか。留学期間に勉強を頑張るとか、そんなことをする余裕などどこにもなかった。
そのため、留学期間中に2人で頑張ってしていたのは、エディットの説得だけだった。留学を終える間際になって子息はエディットと婚約を解消することにした。
彼女の両親は、それも仕方がないようにしていたが、エディットは……。
「え?」
何やら物凄く驚いていた。それにフランソワーズは、なぜ驚くのかがわからなかった。
子息も、そうだ。だが、気づかないふりをした。もう面倒にこれ以上関わりたくなかった。
フランソワーズも、エディットからすがりつくような視線を感じたが、何も言わなかった。もう、関わりたくなかった。
フランソワーズは、疲れた顔をして実家に帰った。それは、留学する前、幼なじみを相手にしていた頃より疲れているように見えた。
「フランソワーズ?」
「……ただいま戻りました」
「お帰り。大丈夫じゃなさそうだな」
兄は、くたびれた妹を見て驚いていた。それこそ、エディットのところにいれば楽しく過ごせていると思っていたが、そんなことなかったのは一目瞭然だった。
「フランソワーズ……? どうした?」
「お父様、お兄様」
「「ん?」」
「エディットは、幼なじみ2人を相手にするより面倒でした」
「「……」」
フランソワーズは、それだけ言ってぶっ倒れた。
その後、留学中に何があったかをエディットの元婚約者から聞いたらしく、3日ほど眠り続けていたフランソワーズは、兄と父親に物凄く心配された。更には、一緒に留学から戻って来た子息にも心配された。
「フランソワーズ。すまない。留学した方が楽しめると思っていたんだが……」
「……私もです。あんなに素敵な令嬢だと思っていたのに留学を終えて戻る時には、婚約解消にならないようにしてくれると思っていたと言われて、留学期間中、どれだけそれをやっていたかを話して、付き合いきれないと絶縁してきました」
「元婚約者となった子息からも聞いた。あんな性格だと知って幻滅したと」
「……そうでしょうね」
兄のせいで申し訳ないと言い続け、相応しくないと言われ続け、婚約解消してもらわないと恥をかかせるみたいなことを永遠と言っていた。
それを元婚約者となった子息とフランソワーズと彼女の両親が、そんなことないと数ヶ月に渡り言い続けて来たのだが、留学期間を終えそうになっても周りに何か言われている気がし始めると同じことを言い出すのだ。
それに付き合わされるみんながげんなりしていたし、周りも……。
「まぁ、始まったわ」
「お2人共、大変よね」
「あんなに面倒くさい方だとは思わなかったわ」
「あぁしていると兄の方にそっくりね」
エディットは、それが自分のことではなく、兄のせいで色々言われていると思っていたのも大きかった。
前まではそんなことはなかったのだが、こじらせると駄目だったようだ。
そんなエディットの相手をしていたのもあり、留学期間中にフランソワーズは友達も作れなかった。関われば、面倒に巻き込まれると思われたようだ。
それは、幼なじみがいた頃より酷かった。素敵な友達ができたと思っていた分、反動が大きかったようだ。そのショックは、元婚約者よりも大きかった。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
ど天然で超ドジなドアマットヒロインが斜め上の行動をしまくった結果
宝月 蓮
ファンタジー
アリスはルシヨン伯爵家の長女で両親から愛されて育った。しかし両親が事故で亡くなり叔父一家がルシヨン伯爵家にやって来た。叔父デュドネ、義叔母ジスレーヌ、義妹ユゲットから使用人のように扱われるようになったアリス。しかし彼女は何かと斜め上の行動をするので、逆に叔父達の方が疲れ切ってしまうのである。そしてその結果は……?
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
表紙に素敵なFAいただきました!
ありがとうございます!
追放悪役令嬢のスローライフは止まらない!~辺境で野菜を育てていたら、いつの間にか国家運営する羽目になりました~
緋村ルナ
ファンタジー
「計画通り!」――王太子からの婚約破棄は、窮屈な妃教育から逃れ、自由な農業ライフを手に入れるための完璧な計画だった!
前世が農家の娘だった公爵令嬢セレスティーナは、追放先の辺境で、前世の知識と魔法を組み合わせた「魔法農業」をスタートさせる。彼女が作る奇跡の野菜と心温まる料理は、痩せた土地と人々の心を豊かにし、やがて小さな村に起こした奇跡は、国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく。
これは、自分の居場所を自分の手で作り出した、一人の令嬢の痛快サクセスストーリー! 悪役の仮面を脱ぎ捨てた彼女が、個人の幸せの先に掴んだものとは――。
妹よりも劣っていると指摘され、ついでに婚約破棄までされた私は修行の旅に出ます
キョウキョウ
恋愛
回復魔法を得意としている、姉妹の貴族令嬢が居た。
姉のマリアンヌと、妹のルイーゼ。
マクシミリアン王子は、姉のマリアンヌと婚約関係を結んでおり、妹のルイーゼとも面識があった。
ある日、妹のルイーゼが回復魔法で怪我人を治療している場面に遭遇したマクシミリアン王子。それを見て、姉のマリアンヌよりも能力が高いと思った彼は、今の婚約関係を破棄しようと思い立った。
優秀な妹の方が、婚約者に相応しいと考えたから。自分のパートナーは優秀な人物であるべきだと、そう思っていた。
マクシミリアン王子は、大きな勘違いをしていた。見た目が派手な魔法を扱っていたから、ルイーゼの事を優秀な魔法使いだと思い込んでいたのだ。それに比べて、マリアンヌの魔法は地味だった。
しかし実際は、マリアンヌの回復魔法のほうが効果が高い。それは、見た目では分からない実力。回復魔法についての知識がなければ、分からないこと。ルイーゼよりもマリアンヌに任せたほうが確実で、完璧に治る。
だが、それを知らないマクシミリアン王子は、マリアンヌではなくルイーゼを選んだ。
婚約を破棄されたマリアンヌは、もっと魔法の腕を磨くため修行の旅に出ることにした。国を離れて、まだ見ぬ世界へ飛び込んでいく。
マリアンヌが居なくなってから、マクシミリアン王子は後悔することになる。その事実に気付くのは、マリアンヌが居なくなってしばらく経ってから。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
婚約破棄を申し込むも、殿下の説得がガチすぎて詰む?
ちゅんりー
恋愛
公爵令嬢リペは、厳しい王妃教育と窮屈な未来から逃れるため、ある画期的な計画を思いつく。それは、世にも恐ろしい「悪役令嬢」になりきって、完璧な第一王子カイルに婚約破棄を叩きつけること!
さっそくリペは、高笑いと共に「不敬な態度」「無駄遣い」「嫌がらせ」といった悪行の数々を繰り出すが……。
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
一途な令嬢は悪役になり王子の幸福を望む
紫月
恋愛
似たタイトルがあったため、ご迷惑にならないよう「悪役令嬢はじめました」からタイトルを変更しました。
お気に入り登録をされてる方はご了承ください。
奇跡の血を持つ公爵令嬢、アリア・マクシミリア。
彼女はただ一途に婚約者の王太子セフィル・ブランドルを思う。
愛しているからこそ他の女性に好意を寄せるセフィルのために悪役令嬢を演じ始める。
婚約破棄をし、好きな女性と結ばれてもらうために……。