私より婚約者に詳しい男爵令嬢に同じ物を贈っているのに浮気を認めないまま婚約破棄となりまましたが、彼はその後も認めていません

珠宮さくら

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(カルロッタ視点)


その手紙が届くようになったのは、数カ月前からだった。


「また、届いてる」


最初は気味悪く思ったかというとそんなことはなかった。私の好みをよくわかっている花束と手紙が届くのだ。

私のことをわけあって話しかけることはできないが、とても素敵な令嬢として一目惚れしたというようなものだった。

一目惚れしたのに婚約者が自分にはいるから、話しかけることもできないが、それでも想いが溢れてこうして花束と手紙を送ってしまっているようなことが書かれていた。

花束が枯れるくらいに新しいのが届いて、そのうち届けてくれる人が手紙を届けてくれることになった。

それでやり取りするようになって、彼のことを一番理解しているのは婚約者の令嬢よりも私になった。

婚約破棄したがっているのもわかった。だって、私に特別な贈り物をしてくれたのだから。


「嘘!? これ、オーダーメイドのアクセサリーじゃない」


眺めているばかりで、オーダーメイドなんて夢のまた夢だと思っていた。街に出るたび眺めていたのをどこかで見ていたのかもしれない。


「こんな高いものを贈ってくれたのだから、私も行動しなきゃ駄目よね」


手紙の指示通りにして、手紙を処分した。本当は、浮気していることを知られずに動けばよかったのだが、あの女があまりにも幸せそうにしていて自分の方が本命のようにしているのに腹が立って仕方がなくなって現実を突きつけてやることにした。

それなのに彼は私のことを知らないかのように言った。きっと、こんな風にしてほしくなかったのだろうが、それでも破棄になった。上手くいったのだから、いい加減演技なんてしなくていいのにおかしな話だ。

でも、あまりにも自分は嘘をついていないと言うのに腹が立って、私が証拠になると思って手紙のやり取りをしていたことを両親に話した。

両親は、侯爵家から色々言われていて、厄介なことをしでかしたかのように私のことを言うのにムカついたからだ。

少なくとも、彼は私の味方のはずなのにあんまりだと思って言った。でも、色々と面倒になるから処分しているかもしれないと思っていたら……。


「お前の言う通りだったらしい」
「え?」
「お前の婚約者となった子息の部屋から、お前の手紙が見つかった」
「っ、!?」


処分していると思っていたが残していたようだ。


「しかも、お前が出したであろうものをほとんど取っていたらしい」
「っ、」


それに私は喜んでしまった。私とて処分する時には泣く泣くしたのだ。あちらは、それができなかったとわかって嬉しかった。

でも、同時にそれでも認めようとしていない彼に腹が立って仕方がなかった。

それどころか。彼は……。


「どういうつもりだ! あんなものを私の部屋に紛れ込ませてまで証拠をでっち上げるなんて、お前、どうかしているぞ!」
「は?」


信じられない。あんなにやり取りしたことをなかったことにして、全てを私のせいにしたのだ。

侯爵家では、こんなのを跡継ぎにしておけないと跡継ぎが弟に変えられたことに腹が立って私のせいにしたかったのかもしれないがあんまりすぎる。

せっかく婚約できたのに婚約できないと言われていた頃の方が幸せだと思えてならなかった。

周りは、婚約していたのを奪った女として友達も友人もみんな私から離れて行ってしまっていて、それでも彼がいればいいと思っていたのに。こんなのがいてもちっとも嬉しくない。

顔を合わせれば怒鳴り散らされ、前の婚約者と比較され、私がいかに駄目なのかを言われるのだ。


「……婚約したら幸せになれると思っていたのに真逆なことになるなんて思わなかったわ」


跡継ぎから外されたことで、嫁ぐのではなくて、あちらが婿入りすることになった。

散々なことをして迷惑なことをしてきたのだからと解消も、破棄もさせてもらえなくなっていた。

それが、お互いストレスになってしまうことになるとは思いもしなかった。

彼の姉と弟からは無視され、彼の両親からは嫌味を言われ、学園でも居場所がなくなった私は、家で婚約者の愚痴を言うこともできなかった。

そんなことを両親が許してくれなかったのだ。ただですら、家に迷惑をかけたのに無理やり婚約することにしておいて今更、泣きつくなと言われるだけだった。


「花束と手紙が届いていた頃が懐かしいわ」


処分してしまった手紙を残しておけばよかった。そもそも、浮気している処分があると後々大変だと言っていたが、あれはもしかするとあと関係を終わらせたかったのかもしれない。

それなのに私が婚約したら幸せになれると思って破棄させようとしたことで、腹を立てたままになっているのだとしたら……。


「あの女に破棄しろって言う前から、もう既に終わっていたってこと……?」


ふとそこに行き着いた私は、泣きそうになった。

でも、私の心情なんて誰もわかってはくれなかった。


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