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しおりを挟むオルテンシアは、あんなことがあって婚約破棄することになった。あまりにも色々あって学園を休んでいたが、いつまでも休んでいられなくて、再び学園に通うことになったが、元婚約者のフィエロにどうにかして会おうとしていることに気づいていた。
でも、それを彼の姉や弟、オルテンシアの妹や周りが阻止していることに嫌気がさしてならなかった。
今更、会ってどうするつもりかなんてわかりきっている。あれだけ浮気を認めなかった子息だ。それにあの令嬢がさっさと婚約を破棄しろと言って来た時も、オルテンシアに違うのだと誤解を解こうと必死になっていたのだ。
誤解ではないことはオルテンシアも両親から聞いていた
。全部が嘘だったのだ。
一点ものでもなければ、わざわざオーダーメイドでもう一つ頼んだのも、フィエロだった。2つ分の料金を支払い、彼女にはまめに花束を贈っていて手紙のやり取りもしていた。
その証拠を彼は捨てずに取っていたことも後から聞いた。それを聞いた時に泣いていたのが馬鹿らしくなった。
それでも会おうと必死になる男から離れるために留学することにしたのは、周りに迷惑をかけているのを見ているのも嫌になったからだ。
それに侯爵家から、今回のことで慰謝料を多く貰ったこともあり、それで留学して気分転換をすることにしたのは、その国に来て見てはどうかと兄が手紙をくれたからに他ならなかった。
それこそ、いつもの兄ならば我先にと帰国して来てくれるところのはずが、兄が戻って来る気配がないことにオルテンシアは気になっていた。
もっとも、兄が戻って来たら、フィエロのことを血祭りにあげていそうで、それを見たかったような、見たくなかったような複雑な気分をオルテンシアは味わうことになった。
ただ、兄がこちらに来て見れば気分も良くなると書いてあるのを見て、これまで兄が言うことなすことで間違えていたことはなかったから、その通りにすることにした。
両親も、妹も、オルテンシアのしたいことに賛同してくれて留学することになるまであっという間のことだった。
「お兄様」
「オルテンシア。大変だったな」
「っ、」
久しぶりに兄に会った。短期間の留学から、急に長期の留学にしたところから、妙だとオルテンシアは思っていた。
兄は、全く変わっていなかった。本当に心配していたのは、抱きしめられて痛いくらいわかった。
なのに帰って来てくれなかったことにオルテンシアは、何があったのかと思っていた。
「お兄様は、ご存じなのですよね?」
「……」
抱きしめられながら、それが確信に変わった。だから、伯爵家に戻って来てくれなかったのだ。あの国にというか。我が家に帰って来たくない理由があるのだ。
「……オルテンシア。本当のことを知りたいか?」
「あの方が、ずっと同じことを言い続けています。婚約破棄になって、あの令嬢と婚約してからも、証拠が彼の部屋で見つかっても誤解を解こうと必死になっていた。本当にただの誤解だったとしたら、誰がそんなことをしたのかと考えなかったわけではありません」
オルテンシアは、ありえないと思いたいことに行き着いていた。
だから、兄は伯爵家に帰って来てくれなかったのだと思い始めた。オルテンシアも大事な妹だが、兄にはもう1人大事な妹がいるのだ。
「あの子が、関わっているのですか?」
伯爵家の末娘。オルテンシアの妹でもあるステファニア・アロイージ。オルテンシアがこんなことになって母と一緒にずっと側にいて寄り添ってくれていたが、婚約破棄させるためにこんなことをした理由が思いつかなかった。
オルテンシアが嫌われているとは思っていなかった。今も思い至っても、オルテンシアの婚約をこんな風に破棄させるほどの何かが検討もつかなかった。
「オルテンシア。元婚約者の弟とステファニアはオルテンシアたちが婚約する前から付き合っていたんだ」
「え?」
兄から、オルテンシアはそんなことを聞いて驚かずにはいられなかった。そんなこと知りもしなかった。
オルテンシアとフィエロの婚約の時にステファニアは、祝福してくれていた。でも、フィエロの弟のミケーレ・ヴァルブーザと付き合っていたのだとしたら、いずれは2人が婚約したかったはずなのに姉と兄が婚約してしまったら……。
「……だから、あんなことをしたと?」
「あいつには、お前は勿体ない。だから、破棄させたかったのもある」
「なら、話してくれればよかったのに」
それだけで済んだはずだ。それをこんな手の込んだことをして、男爵令嬢を貶めて、周りを多く巻き込んでいる。そこまですることはなかったはずだ。
「そうだな。でも、2人に仕向けたのは、王太子だ」
「え……?」
オルテンシアは思いもよらない人物が黒幕と聞いて驚かずにはいられなかった。
あの修羅場の時から、ずっと気にかけてくれていたのが王太子だ。そんな人物が、仕向けたことであぁなったと言われたら、誰だって驚かないわけがない。
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