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しおりを挟むオルテンシアが、彼女の兄のオルランド・アロイージのいるところに留学しに行った。
ミケーレは兄のフィエロが色々やったと思われていて、あれこれ言われたが、実際はステファニアと一緒になるために貶めたことだったこともあり、周りに何を言われても全く気にもしていなかった。
悪いと思ってすらいなかった。ミケーレの兄はともかくとして、オルテンシアは解消ではなくて破棄となったのだ。傷物となったことに心を痛めてもいいところのはずだが、それは仕方がないことのように思うだけで親身になることはなかった。
ミケーレにとっては所詮は他人事でしかなかった。ステファニアの姉だと思って考慮なんてすることもなかった。
侯爵家の跡継ぎにもなれたことに加え、色々行ってくる面々のこともあまり気にしていなかった。むしろ、跡継ぎになったことで鼻を高くしていた。
それこそ、ミケーレの兄のフィエロにそっくりになっていっていたことに本人は全く気づいていなかった。
「ステファニア。そろそろ、婚約しないか?」
「この状況でできると思っておられるのですか?」
「もう、問題はないだろ?」
「……」
ステファニアが気にすることは何もないかのようにミケーレは首を傾げながら、そう言った。
すると何もわかっていないかのように冷めた目を向けられた。そんな目をステファニアから向けられたことはないため、ミケーレは眉を顰めずにはいられなかった。
彼女が、とっくに姉に謝罪していて何をしたかを伝えているとも知らないため、ミケーレは怪訝な顔をしていた。
「なんだ。気でも変わったのか?」
「私たちだけ幸せになるのは、難しいと思いますよ」
「そんなことないだろ」
ミケーレは、もう何の障害もないかのように言うのにステファニアは何とも言えない顔をしていた。障害だらけなことに気づいていなかった。だが、ミケーレはそんな顔をなぜするのかがわからなかった。
もう既にステファニアが彼と婚約して自分たちだけ幸せになることをする気がないことも、やることなすことで愛が冷めてしまっていることにも気づくことなく、ミケーレは王太子よりも恐ろしい存在を怒らせてしまっていて謝罪したところで許してはもらえない状況になっていることにも全く気づいていなかった。
ミケーレは、それでもステファニアと婚約する気でいた。だが、両親にそのことを伝える前に婚約の話が来ていると言われて、どうせ大した相手ではないだろうと思って、すぐに断ってくれと言おうとした。
でも、思っていたのとは違っていた。
「え、王女と婚約……?」
「そうだ。お前が、この家の跡継ぎになったから、婚約したいと言って来ているんだ」
突然、玉の輿に乗れる話が舞い込んできた。それにミケーレは、思い悩むことになった。いや、悩んだのは王女との婚約をどう断るかではなかった。
王女との婚約だ。それを断れば将来にも関わる。そこをステファニアに話した。
ミケーレの中で断る相手は、そちらしかなくなっていた。
「ステファニア。君と婚約したいのは今も変わらない。でも、王女との婚約の話を断るのは、家にも迷惑をかけることになるんだ」
「……」
「兄のこともあったし、これ以上、家に迷惑をかけたら、今度こそ、姉上の婚約も台無しになるかもしれない」
さも、自分はその気はないがと含みつつ、そんな話をしてステファニアは益々、彼と婚約する気が失せてしまうことになったとも知らずにミケーレは納得してくれたと思って王女と婚約をした。
それにステファニアが、白けた顔をしていたことに気づくことはなかった。
彼は、何を差し置いても婚約したかったステファニアのことをあっさりと捨てた。将来が安泰となる王女を選んだことで、これまで何をしても上手くいかなかったことがなかったのが、嘘のように何もかも上手くいかなくなるとは思いもしなかった。
この婚約で将来の出世うんねんよりも、ステファニアを選ぶ選択をしなかったことで何もかも失うことになるとは思いもせずに自分が誰よりも幸せになると思って浮かれていた。
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