親しい友達が、みんな幼なじみみたいな厄介さをしっかり持っていたようです。私の安らげる場所は、あの方の側しかなくなりました

珠宮さくら

文字の大きさ
5 / 16

しおりを挟む

男爵令嬢でディリッパの再従妹の方は、クオーラのようなことはなかった。何があったかを知ってすぐに帰国させて、彼女をすぐに修道院にいれたようだ。

ディリッパは、面倒を頼まれていたのに申し訳ないと彼女の両親に謝罪していたようだが、彼女の両親は……。


「面倒も何も語学は堪能だから、面倒を見なくとも問題なかったはずだが?」
「え?」


どうやら、従姉を頼まれていたため、再従妹のこともそうしなければならないとディリッパは勝手に思い込んだようだ。

それを再従妹は利用して、ディリッパと一緒にいたようだ。言葉に疎いとなれば、みんなが優しくしてくれることに味をしめたようでもあった。

あちらから、すっ飛んできた両親は、公爵夫妻とヴィリディアンに丁寧に詫びてくれ、ヴィリディアンがディリッパのことを気にしていると……。


「ヴィリディアン嬢は、優しいのだな」
「ディリッパも、自分が見ていて申し訳ないと言ってくれたのよ。面倒なんてみなくても、語学は堪能だから問題ないのに。まさか、わからないふりをしているとは思わなかったわ」


シャルマ伯爵一家のあとのこともあり、まともな人たちに驚いてしまった。

それこそ、留学させたのも、その辺を直してほしかったようだ。

それに知り合いの婚約が続いて、自分に婚約者ができないことに心が荒んでしまったようで、羨んで婚約者ができるように努力してくれたら、親としては婚約者を見つけようと頑張れるところだが
あの令嬢は、知り合いの婚約をどうにかして駄目にしようとしたようだ。

知り合いもいなければ、流石にしないと思っていたら、クオーラの言い分に共感してこんなことになったようだ。

それを聞いてヴィリディアンは、遠い目をしてしまった。

ハーサン公爵夫妻も、何とも言えない顔をしていた。

そんなのを今度は修道院にいれたのだ。そこが、困ることになるだけのような気がしてならなかったが、目の前の良識人に見える人たちにはその未来が見えていないようだ。

きっと、これだとほとぼりが冷めたら、娘を修道院から呼び戻して同じことを繰り返しそうだ。

修道院の方から、しばらくしたらどうにかしてくれと言われるのではなかろうか。

まぁ、そんなことは簡単に想像ついたが、ヴィリディアンは何も気づかなかったふりをしてやり過ごした。関わりたくないと思ったのは、ハーサン公爵も同じだった。

だが、ハーサン公爵夫人は……。


「あら、修道院なら、とても良いところを知っていますわ」
「?」


ヴィリディアンは、養母がにっこりと輝かんばかりの笑顔で男爵夫妻にすすめたのは、入ったら早々に出て来られないようなところだった。


「何なら、紹介しましょうか?」
「いいのですか?」
「えぇ、とても良いところですから、安心して娘さんを面倒見てくれますよ」


男爵夫妻は、ハーサン公爵夫人自らの紹介に嬉しそうにしていた。

その横にいるハーサン公爵とヴィリディアンは、もう二度と修道院から出て来れないようにしようとしていることに気づいたが、何食わぬ顔をしておいた。

こうして、男爵夫妻は嬉しそうに帰って行くのを見送った。

あちらも、ほとぼりが過ぎたら娘を修道院から出そうとしても、それができないことに気づいても、ハーサン公爵家に何か言ってくることはなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

悪役令嬢は断罪されない

竜鳴躍
恋愛
卒業パーティの日。 王太子マクシミリアン=フォン=レッドキングダムは、婚約者である公爵令嬢のミレニア=ブルー=メロディア公爵令嬢の前に立つ。 私は、ミレニア様とお友達の地味で平凡な伯爵令嬢。ミレニアさまが悪役令嬢ですって?ひどいわ、ミレニアさまはそんな方ではないのに!! だが彼は、悪役令嬢を断罪ーーーーーーーーーーしなかった。 おや?王太子と悪役令嬢の様子がおかしいようです。 2021.8.14 順位が上がってきて驚いでいます。うれしいです。ありがとうございます! →続編作りました。ミレニアと騎士団長の娘と王太子とマリーの息子のお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/mypage/content/detail/114529751 →王太子とマリーの息子とミレニアと騎士団長の娘の話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/449536459

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

【完結済】監視される悪役令嬢、自滅するヒロイン

curosu
恋愛
【書きたい場面だけシリーズ】 タイトル通り

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

処理中です...