存在感と取り柄のない私のことを必要ないと思っている人は、母だけではないはずです。でも、兄たちに大事にされているのに気づきませんでした

珠宮さくら

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姉のジュリエッタが、隣国で王太子に見初められて幸せになっている。

手紙のやり取りは続いているが、惚気ているつもりはないのだろうが、婚約者どころか。好きな人ができたことのない私には、羨ましいものばかりが書かれていた。

そんな時に姉の想い人だった王太子が、私の幼なじみとの婚約が破棄になって、しばらくしてから視界をうろちょろして気になって仕方がなかったが、そこから私は父の無茶振りに久々に付き合うことになった。

碌な物を食べていない時だから、私の手料理は丁度良いのだろう。そう思うと虚しくなってくる。

弟妹たちは、私の作るものを喜んでくれる。誕生日の服やらも気に入ったらしく、私の作った服だと大人しくしていることがわかって、やんちゃしすぎないようにと私服を増やすことになったが、それも家庭教師の教えてくれることをきちんと覚えてテストに合格するのが、条件となると双子は勉強を頑張るようになった。


「ルクレツィアねぇの料理、狡い!」
「狡い!」


弟妹たちが、そう言うのでおかずだけは多めに作ったので、夕食に出してもらうことにして、父のところに行くのに気が引けてならなかった。

そこで、兄に着いて来てもらうことにして、訓練中のところにお邪魔することになった。


「あ? 誰だ?」
「団長んとこの娘さんだ」
「すっげぇ美人って聞いたが……」
「そりゃ、1番上のお嬢さんだ。あの方は、2番目のお嬢さんだ」


そんな声があちらこちらで聞こえる。ガタイがいい人ばかりだ。

父は身長が高くてガタイがいい。兄は身長が高くてガタイは父とは似ていないし、騎士になる気は兄にはないようだ。

頭が良すぎるから、武官より、文官に向いていると父も思っているから、好きにさせているようだ。


「ルクレツィア、よく来たな。……オスカルも、いたのか」
「父上。こんなところに可愛い妹を1人でやるわけがないだろ」
「こんなところってなんだ」
「ここに来るまでにルクレツィアのことをあれこれ、好き勝手に話してるのばっかりでしたよ」
「あ?」


父は、兄の言葉に急に殺気だって、設営されている天幕から出て行って暴れる声と野太い悲鳴が聞こえた。


「あの、お兄様」
「父上が、呼びに来るまで待ってればいい」
「俺の娘に変な目向けてんじゃねぇぞ!!」
「……」


普段の父からは想像つかない声が聞こえた気がするが、聞こえなかったことにした。


「やれやれ、団長にも困ったものだ。オスカル、ルクレツィア嬢。模擬戦をやるのですが、見て行きますか?」


そこに現れたのは副団長だった。


「あの、副団長も参加されるんですか?」
「そのつもりです。なにせ、あなたの手料理ですから」
「?」
「作り手も一緒なら、みんな殺る気になるでしょう」


ん? 今、殺る気って聞こえた気がする。でも、気のせいだろう。

それから、模擬戦を兄と一緒に見ることになった。そんな中で、目を奪われる人がいた。

副団長相手に一歩も引かない若者に心を奪われたのも、初めてだった。


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