6 / 12
6
しおりを挟むサンジャイは、ラージが落ち込むのに苦笑して見ていた。彼は何にそこまで落ち込んでいたかもよくわかったが、それをわざわざ説明する気はなかった。
プリシャが、おろおろしているが慰めようとして更にラージのメンタルをえぐっていることにも気づいていない。
それに笑いたくなったが、それもサンジャイはやめた。ラージに激怒されてしまったら、この後が面倒になるだけだ。そのため、目の前のことは口にしなかった
「それがあったから、その後、お互いに本当に浮気しているように見せて騒ぎをわざと大きくさせたのか」
「え? 浮気しているように見せたかったのですか?」
「あぁ、その2人は婚約を解消したかったようだ」
それを聞いて、あっという顔をプリシャはした。解消しようとしたのは、2人の方だ。
「そういえば、カルニカたちはお互いに話し合って婚約を解消してほしいと言ったようですが、お互いのご両親が相思相愛なのをよく知っているからと、そんなことしなくていいと婚約をそのままにしたようですが……。え、解消したかったんですか?」
「お互い、本命が別にいるんだ」
「本命……?」
ジテンドラの本命は、サンジャイの婚約者だったらしい。
それを聞いて、プリシャは他に本命ができたからと言われるような子息にサンジャイは全く見えなくて驚いてしまった。
世の中、本当に好きな人がいるとその人と添い遂げられなければ意味がないと思うのは、プリシャにもわかる。
婚約を白紙にしてくれと散々言っていたが、それをする気がなかった彼は、なぜそこまでしたがっているのかを不思議に思いつつも、あまりにもしつこく言うため、婚約を解消したそうだ。
そこまで言うので、何があるのかと思えば、好きな子息がいるらしく、その子息もまた婚約を解消できそうなことから、焦っていたようだとわかり、そういうことかと思ったようだ。
それならばとそう言ってくれれば、婚約解消をしぶるなんてしなかったが、解消をした途端、ジテンドラの婚約解消が頓挫してしまったのだ。
そのため、ジテンドラたちの方が円満に解消することが難しくなってしまって、サンジャイの元婚約者も待っていても、婚期を逃しそうだと思ったようだ。
元の鞘に収まるのが一番いいとばかりにすり寄って来たので怪しいと思い、更に詳しく調べたら、本命の方が婚約を解消するのが難しいとわかって、すり寄って来たとわかったのだとか。
それがわかったから、調べあげたのを相手の家にそのまま知らせた。彼女は、それですぐに一番厳しい修道院に行くことが決まってしまった。そのため、本命だったはずの子息には、連絡ができていないはずだ。
元鞘に戻ろうなんてしなければ、サンジャイもそこまで詳しく調べ上げたりしなかった。
本命との婚約が難しくなってあっさり戻って来るようなのとよりを戻したがる子息なんて、どこにいると言うのか。
それ以上にそんなことをしても戻れるほど、好かれていると自負していたのにも驚きだったようだ。白紙にしたいと言っても、中々そうしなかったから、そう思われたのかも知れない。
子息が、なぜ婚約解消を渋っていたかに全く気づかなかったようだ。彼は、モテすぎるから解消したくなかったらしい。また、婚約者がいない状況に戻ってしまったら、令嬢たちに追いかけ回されると思っていたら、元婚約者に追いかけ回されることになってしまったようだ。
何にせよ。令嬢は勘違いしっぱなしのまま、修道院に入ることになったらしく、サンジャイが何やら疲れた顔をしている理由がプリシャにもわかった。
108
あなたにおすすめの小説
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる