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しおりを挟むヴィクトワールは、みんなが妹を祝福しているのが許せなかった。
「笑わせないで。私が、婚約破棄されたのに。それなのに何で妹のあなたが、プロポーズを受けているのよ! 信じられないわ!」
それを聞いて、リュシエンヌはすぐさまこう言って頭を下げた。
「お姉様、ごめんなさい。でも」
「絶対に許さないわ」
「っ、」
ヴィクトワールは、お父様に言いつけてやると帰ってしまった。
ドスドスと歩く姿と鬼の形相をしているヴィクトワールの行く手をわざわざ邪魔する者はいなかった。
「……」
「リュシエンヌ」
テオドールは、リュシエンヌがショックを受けたのではないかと心配した。
でも、リュシエンヌは姉の言葉に……。
「……言いつけて、どうかするつもりでしょう?」
わけがわからない顔をしていた。ショックな顔をしていないのはいいが、テオドールはそれに言葉が出て来なかった、
「あー、それは……」
「リュシエンヌ嬢。テオドール、おめでとう。その、悪いが、付き合ってもらえるか?」
リシャールは、申し訳なさそうに声をかけてきた。それにリュシエンヌは、こてんと首を傾げた。
「? えっと、どこにでしょう?」
「君の家だ。今あったことをきちんとサヴィニー伯爵夫妻に私が話す」
リシャールは、その方がいいと思ったようだ。それにリュシエンヌは、にっこりとした。
「あ、はい。それは、私が説明するよりよいかと。……私、いつもうまくできなくて」
ヴィクトワールが、言いように話すせいだったりする。それをリシャールは、よく知っていた。
テオドールは、それをよく知っていて、リュシエンヌがいつも通りになったのに安堵しつつ、苦笑していた。
「テオドールも、今日の話はサヴィニー伯爵夫妻にしてあるんだろ?」
「あぁ、してる」
リシャールの言葉にもちろんと言う顔をした。
「え? そうなんですか?」
「求婚するのに君の両親の了承なくできないだろ」
リュシエンヌは目をパチクリさせて、コンスタンスを見た。
「そういうものよ。おじ様たちも、どうなったか気にしているはずよ。それにおば様、きっとそわそわしてるわよ」
そう言うのを聞いてリュシエンヌの目が輝いた。
「お母様も、あなたのお母様も、そういうお話、大好きだものね」
「えぇ、明日には、おば様のところに母が入り浸っていそうだわ」
リュシエンヌたちは、母親同士が仲良くて幼なじみとなった。だから、母親同士がどんな人たちなのかよくわかっていた。
「お姉さんのことは、リュシエンヌがどうこう考えなくてもいいのよ。あっちが、年上なんだし。大体、浮気されたり、心移りされたら、潔く諦めるしかないとか。そんなこと言ってるんだから、自分でどうにかするわよ」
それを聞いて、リュシエンヌは確かにと思ってしまった。そう、リュシエンヌも聞いていた。なのにいざ自分がとなるとそれが全くないのにリュシエンヌは不思議でならなかった。
それを不思議がっているのが、リュシエンヌだけなのにも気づいていなかった。
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