私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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ルシアは、いつぶりになるかもわからないおめかしを母親に手伝ってもらって、幸せな1日の始まりを満喫していた。

それこそ、母親に世話をやかれることになり、お喋りもできた。母が楽しそうにしていて、それを見ていたルシアのテンションはあがる一方だった。これ以上、あがらないかと思っていたが、そんなことはなかった。

そこから、父親に会って褒められることになり、ルシアは更に嬉しそうにして照れたりもしていたが、姉が現れてからピリついたものを感じることになった。その意味するところが、ルシアには欠片もわかってはいなかったため、どうしたのだろうかと首を傾げていた。

両親と姉が、何の話をしているのかがよくわかっていなかったことと、周りがバレリアのことを意味ありげに見ていることに気づいていなかったのだ。特に周りにいる使用人たちの目はできることなら、睨みたいが、そんなことをして目の敵にされてしまえば厄介なことになるからとかなり控えめな顔をして、複雑な表情になってしまっていた。

確かにルシアのいうところの楽しくなさそうな顔そのものだった。

姉が来るまでは、家族のみならず、使用人たちも、みんなほのぼのとした雰囲気しかなかったのだ。それが、かき消えてしまっていることにルシアは気づいてはいなかった。

ただ、両親と姉が自分にはわからないような難しい話をしていて、どうにも楽しそうには見えないことを不思議に思って見ていた。

せっかく、おめかししたのに何かあったのだろうかと思って見ていたが、予定が変わったようなことを言われることはなかったことにルシアはホッとしてもいた。

もっとも、肝心の今日の予定について誰もルシアにしてはくれていなかったが、何が始まるのだろうかとルシアは気になっていたが、聞くに聞けずにいたことで、すっかりタイミングを逃してしまったようだ


(どうしたんだろう?? おでかけじゃないのかな? でかけないのにおめかしをなんでしたんだろ?)


頭の中に疑問が生まれ始めていたが、そんなことをルシアが口にして尋ねることはなかった。

使用人が、お客様がおみえになったようですと呼びに来たことで、ルシアの興味がそちらへと移ることになったのだ。


(? おみえ……?)


ルシアは、誰か来るなんて聞いていなかったこともあり、言葉の意味が理解できずに不思議な顔をしていた。

するとバレリアが、すぐさま反応した。落ち着きがないとルシアを言えるような動きではなかったが、それを咎めることを両親は珍しくしなかったのだ。

ただ、眉をこれでもかと顰めているのにバレリアは全く気づいてはいなかった。

それこそ、いつもなら何度も言われていることも、今日は言わないことにも気づいていないようだ。

もっとも、散々なまでに言われていても、バレリアは両親に言われることを直したことは一度もなかったが。


「っ、髪、乱れてない?」
「乱れてないわ」


バレリアは身だしなみを気にしながら、そんな娘に母は呆れた顔をして、ぞんざいに答えていた。

それを聞いておいて聞いてなさそうにバレリアは足早に移動していて、他の家族も客人を出迎えるべく玄関に向かった。慌てすぎていて、はしたない動きをしていたが、バレリアはそれも気にしていなかった。

両親は、眉をこれでもかと顰めていたが、注意したいように見えたが、その日はバレリアを咎めるようなことをしなかったのだ。


(いつも、おこられるのに。どうしたんだろ? きょうは、まんてんなのかな?)


おめかししていて、いい子にするように約束したルシアよりも、いい子には見えない動きをしていても、何も言われないことに首を傾げずにはいられなかった。

疑問はあれど、ルシアもみんなに着いて移動をし始めていたが、何が起こるのかを全くわかってはいなかった。


(なにがあるんだろう?)


この時のルシアは、何もわからないまま、周りにあわせているだけだった。それこそ、姉がいなければ、すぐにでも誰かしらに尋ねていたが、バレリアがテンパっているのが珍しく思えたのと両親も、いつもと違うように見えてならなかった。


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