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しおりを挟むボリスは、ゲラーシーがシーラと婚約したいからと留学期間をかなり早く切り上げて戻って来たことに眉を顰めていた。
「問題ばかりを起こすから留学したはずだが、それを終えずに戻って来た理由が、そんなこととはな。しかも、喪があけるまでまだあるのに解消させようと段取りを取ろうとするために戻って来ていたとは……」
その考え方が、ボリスは何より気に入らなかった。元々、やることなすことがボリスには理解できないが、今回のは義娘のシーラのことであり、愛してやまない妻の姪であり、念願かなった義娘だ。二人を悲しませて泣かせるようなことになれば、だれであろうとただでは許さない。それに息子が聞いていながら、その辺のことに無反応なことにも頭が痛かった。
「その上、解消となったからと婚約しようとするのにいっぱいになって、シーラのことを心配などしていないように聞こえる。それを聞いていながら、おかしいと思わないとは……」
ボリスは、ゲラーシーが息子同様に自分のことしか考えていない気がしてならなかった。
まぁ、何はともあれ、シーラがそういうのを選ぶなら協力はするが、真っ当になるように教育し直して根性を叩き直すことも、ボリスは忘れずにやるだろう。
「もっと、相応しい子息がいいんだがな。シーラが、そういうのがいいと言わないといいが……」
打算から、シーラの母親の葬儀に参列したのが見え見えで、ボリスもそれすら気に入らなかった。しかも、あちらで喪服を新調したと耳にしていた。それを聞いていたが、世話になった先生あたりだと思っていた。
だが、違うとわかって、それにも眉を顰めずにいられなかった。
ヴァジムは、長期休暇の中盤だけで、物凄くぐったりしていた。それこそ、父親にしごかれている時よりも、くたびれて見えるほどだった。せっかくの美形が台無しだ。
両親は、そんな息子を毎日、見ていた。それこそ、最初の数日はあの手この手で話していたが、それも出し尽くしてしまったようで、せめて庭を散歩しようとするも、シーラが好みそうな花を植えさせているところで、まだ済んでいなかった。それすらかなわないのだ。
どんよりとした重苦しい雰囲気を醸し出す息子にエルヴィーラは……。
「今日も、外に連れ出せなかったようね」
「っ、」
そんなことを毎日のように言われて、ヴァジムはとても悔しそうにしていた。
エルヴィーラも、散々苦労したのだ。簡単に息子が連れ出せたら、それはそれで悔しがっていただろう。
そんなことまでヴァジムは考えていないようで、母上だってできていないとまで言わないのは悔しすぎて、そこまで頭が回っていないからにすぎなかった。
インガは、どちらも上手くいっていないのによくやると思っていたが、言葉にすることはなかった。
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