姉に問題があると思ったら、母や私にも駄目なところがあったようです。世話になった野良猫に恩返しがてら貢いだら、さらなる幸せを得られました

珠宮さくら

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伯父に聞いたとかならわかるが……。いや、伯父がそんな話をしていたら嫌かも知れない。美穂には、息子としか言っていなかったのに実の息子には、事細かに話しているのだとしたら……。


(凄く嫌だな。仲間外れにされた気分。そんなことされてたら、やっぱり血の繋がりが濃くないと駄目なのかと思ってしまう)


ついつい、そんなことまで考えてしまう自分が嫌だった。

でも、そうではなかった。大輔に昨日友達と話したと言っていた。美穂は、意味がわからなくなっていた。


(そんなタイムリーなことある? というか、私って、そんなに猫のこと語ってた? ……してたかも。恥ずかしいな。だからって、どうして私の話題が出るの? 何年も経ってるのに。意味がわからないな)


「あー、僕ら従姉弟同士とか知らずによく意気投合してたから、誤解されてたみたいなんだ」
「誤解って?」
「周りに付き合ってると思われてた」
「は? え?」
「ごめん。合コンの時に僕が女の子どうのこうのより、猫の話題でお酒とかご飯食べる方が楽しくて、栗原さんを独占してたから、周りに誤解されてたみたいで、昨日そいつに言われて知ったんだ」
「あー、通りで何か変なこと周りに言われてたんですよね。彼氏とは、どうなんだって。留学してると大変だろうとかも言われましたけど。でも、彼氏なんていないのに誰かと間違えてると思ってたんですけど、そっか。あれは、そういう意味だったんだ」


(大輔に女の子に私はカウントされてなかったみたいだけど、そこは突っ込まないでおこう。私も、同じように猫好き仲間としか見てはなかったわけだし、お互いさま。……で、いいのよね?)


そんなこんなで、美穂は大輔の友達と会うことになった。大輔の友達の中で、これだけ経っても話題にするほど、思い込んでいる人物らしい。大輔は、その彼とは小学生からの付き合いで、一番古い友達だと聞いて、そんな彼に誤解されているのも大変だろうと思った。

全ては、誤解を解くためだとそう思っていたのだが……。


「……やっぱり、付き合ってたのか」
「いや、そうじゃなくて」
「いいよ。別に。俺にまで隠すことないって」
「いや、だから、話を……」


大輔の友達は、美穂が一緒にいるのを見るなり、そんなことを言って自己紹介させてはくれずにいた。

向こうは、美穂のことを良く知っているようだが、美穂には会った記憶が全くなかった。


(やっぱりって、そんなに付き合ってるように見えるってこと? あの合コンの後で、留学して帰って来てからは会ってすらいなかったのに。……もしかして、合コンに参加しなくなったから、付き合い始めたと思われてたとか? なんか、この人、凄く苦手かも)


来るなり大輔と揉めに揉めていて、埒が明かないことに痺れを切らしたのは、美穂だった。というか、人の話を最後まで聞かないで、悟ってるみたいに言うのに我慢ならなくなったとも言える。


「こんにちは。大輔さんの従姉の栗原美穂です」
「……は? 従姉……?」
「えぇ、それが、先日わかったんですけど、母と彼のお父さんが兄妹だったんです。世間って狭いですよね。でも、猫好き仲間が親族だったとは思わなくて、びっくりしてます」
「マジで?」
「マジだ。それがわかったから、お前に紹介しようと思ったんだよ」


大輔の友達の馬場和彦は、それにあり得ないだろと言っていたが、美穂としては……。


(人の話を最後まで聞かないで、付き合ってると思い込むような人って、苦手だわ。訂正してるのに聞く気もないし、ずっと疑っているような人を紹介されても、困るんだけど。私にどうしろって言うのよ)


そんなことを思ってしまった。顔には出さないようにしているが、既に美穂はさっさと帰りたくなっていた。

大輔は、誤解を解きたいからと美穂を連れ出した。でも、解けるどころか。深まっているようにすら思える状況にイライラが、いつまで隠せるかと思い始めていた。


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