幼なじみは、私に何を求めているのでしょう?自己中な彼女の頑張りどころが全くわかりませんが、私は強くなれているようです

珠宮さくら

文字の大きさ
13 / 14

13

しおりを挟む

ヴィディヤは、トリシュナによって捻挫した後、サントスと婚約した王女とは意気投合した。


「凄く仲が良いですね」
「……そうだな」
「? どうかされましたか?」
「いや、ちょっと気になってな」
「何がですか?」
「いや、何でもない」
「??」


王太子は、従兄の婚約者と仲良くするヴィディヤを見てにこにことしていたが、サントスがじーっと見つめているのを不思議そうにした。

彼が気になっていたのは、どちらが怒らせると怖いかだったりする。王女と婚約する気になったのも、怒らせたら怖かったからだ。

流石に王太子である従弟の婚約者を取り上げられないと留学した先にはっきり物申す王女がいたのだ。

ヴィディヤのような令嬢はいないと思っていたら、この王女がいたのだ。口説き倒して、ようやく婚約することになった。

サントスのそんな内心に気づいたのは、ヴィディヤの従兄のラジェンドラだ。


「お前、馬鹿なことするなよ」
「……」
「するなよ」
「お前は、どっちだと思う?」
「んなの知りたくない」
「つまんねぇーな」
「つまらなくていい。お前は、その性格を直せ。愛卒化されるぞ」


だが、サントスは悪友であるラジェンドラが忠告したというのが気になって仕方がなかったようだ。いつも、止めても聞かないのだが、流石にやらないとラジェンドラは思っていたことをやったのだ。

全くこりていなかったようだ。盛大に怒らせて謝罪したが、それで終わらなかったのだ。


「謝罪したのに破棄するのか?」
「謝って許すか、許さないかを決めるのは、あなたではないわ。大体、怒らせたら、どちらが怖いかでわざと怒らせるような方と婚約なんてしていたくない。そんな男、こっちから願い下げよ!」
「っ、」


サントスは、怖いもの知らずだが、婚約者は自分を好いているから何をしても、許してくれるものと思っていた。

だが、そんなことはなかった。口説き倒したと思っていたが、そこまで好かれていなかったようだ。わざとやったことに対するツケを払うことになったのだ。

それこそ、王弟である父がいなければ、彼はとっくに王女のように色んな方面の令嬢たちから、言われていたはずだった。それを言われずにここまで来ていたのを思い知ることになったようなものだった。

何を言っても、許してはもらえないことを通り越した。王女との婚約を破棄することになるのも、すぐのことだった。

そして、ヴィディヤどころか。従弟の王太子も、激怒してしまいサントスは、必要最低限の会話しか、ヴィディヤたちとできなくなった。それを後悔しても、あとの祭りでしかない。


「尊敬していたのに。あんな方だったとは思わなかった」
「……」


散々からかわれていたが、王太子はその辺のことに気づいていなかったし、そのことで怒ることはなかった。

そんな王太子にヴィディヤは、何とも言えない顔をしてしまったが、そこがたまらなく愛おしく思えてならなかった。

彼は、自分のことより、他人のことで怒るのだ。彼が大事にしていたりする者には、特にだ。

王女のことも気に入っていて、従兄が無礼なことをしたことが許せなかったようだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

お前との婚約は、ここで破棄する!

ねむたん
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」  華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。  一瞬の静寂の後、会場がどよめく。  私は心の中でため息をついた。

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい

木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」 私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。 アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。 これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。 だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。 もういい加減、妹から離れたい。 そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。 だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。

彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢イブリン・キュスティーヌは男爵令息のホーク・ウィンベルドと婚約した。 好きな人と結ばれる喜びに震え幸せの絶頂を感じ、周りの景色も明るく見え笑顔が輝く。 彼には妹のフランソワがいる。兄のホークのことが異常に好き過ぎて婚約したイブリンに嫌がらせをしてくる。 最初はホークもフランソワを説教していたが、この頃は妹の肩を持つようになって彼だけは味方だと思っていたのに助けてくれない。 実はずっと前から二人はできていたことを知り衝撃を受ける。

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。

完 これが何か、お分かりになりますか?〜リスカ令嬢の華麗なる復讐劇〜

水鳥楓椛
恋愛
 バージンロード、それは花嫁が通る美しき華道。  しかし、本日行われる王太子夫妻の結婚式は、どうやら少し異なっている様子。 「ジュリアンヌ・ネモフィエラ!王太子妃にあるまじき陰湿な女め!今この瞬間を以て、僕、いいや、王太子レアンドル・ハイリーの名に誓い、貴様との婚約を破棄する!!」  不穏な言葉から始まる結婚式の行き着く先は———?

【完結】赤い薔薇なんて、いらない。

花草青依
恋愛
婚約者であるニコラスに婚約の解消を促されたレイチェル。彼女はニコラスを愛しているがゆえに、それを拒否した。自己嫌悪に苛まれながらもレイチェルは、彼に想いを伝えようとするが・・・・・・。 ■《夢見る乙女のメモリアルシリーズ》1作目の外伝 ■拙作『捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る』のスピンオフ作品。続編ではありません。 ■「第18回恋愛小説大賞」の参加作品です ■画像は生成AI(ChatGPT)

処理中です...