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しおりを挟む見える範囲の周りを基準にしていたのが、間違いだったのだが、その辺のことには未だに気づいていない。
更には、ここでの家族や周りも、異常とまではいかないがみんな元気だった。アンジェリーカは元気な人たちに囲まれ続けているせいで、当たり前になっているが、アンジェリーカに近ければ近いほど元気が有り余っているのが、アンジェリーカが無意識に使っている祝福のせいだとは思ってはいなかった。
そう祝福として見えるようになっていたが、それは元からアンジェリーカに備わっていたことをアンジェリーカは知らずにいた。他の祝福も、可視化できるようになっているだけで、元々あったものだとしたら……?
それをほんの少し強化してくれているだけだったとしたら、全てがアンジェリーカの勘違いだったことになるのだが、そのことにまで行き着いてはいなかった。
そう、ここでも、無意識のうちにしていた。エジェオが家庭教師となってから、彼のことも心配していてメンフィスよりも元気そうに見えるのは、クォーターだからではない。アンジェリーカが無意識にしていることにしっかり巻き込まれていたからだが、そのことに誰も気づいてはいなかった。
アンジェリーカが思っていたのは、別のことだった。
(何であんなに毎回早く出戻ることになったのやら。頑張れば、頑張るほどに空回りしていくなんて誰も思わないわよね。そもそも、頑張り方が間違っていたんだろうけど)
そんなことを思っていた。頑張らずに休んでいたら早く戻ることにならなかった場面が、ちらほらと浮かんできて複雑なものがあったが、それも過ぎたことだ。そう、頑張り方を間違えていた自分に問題があると思っていた。
そんなことを考えているとも知らず、メンフィスたちは益々いたたまれない顔をして、アンジェリーカを見ていることに全く気づいてはいなかった。
ここで、とんでもない勘違いが起こっていたのだが、誰もそのことには気づいてはいなかった。
「わかった。なら、約束する。君が、成人を迎えるまでに祝福と魔力を返す。そうすれば、君のことを勘違いする人間たちの誤解も解けるのに間に合うはずだ。そうすれば、卒業してからは困らない」
「私のことは、気になさらないで。こう見えて、物凄くタフですから。誰に何を言われようとも平気です。そんなことより、エルフの皆さんが、無理なさらずに元気になってくだされば、それでいいんです。必ず、皆さんが元気になってください。そうなるために無理を決してなさらないでください」
アンジェリーカは、自分のことよりエルフのことを心から心配していた。特に魔力が大きすぎるから、扱い辛いということを説明しておくかで悩んでもいたが、あえて言わなかった。
(やっぱり、君も来てくれと言われかねないもの。黙っておこう。エルフなら、扱いに失敗することはないでしょ)
そのことにメンフィスとエジェオは泣きそうな顔をして、アンジェリーカを見ていた。アンジェリーカがやろうとしていることは、善意100%ではないことに彼らは全く気づいていない。むしろ、持て余しすぎているものをどうぞ、ご自由に煮るなり焼くなりして使いきっちゃってくださいと言っていることも伝わってはいなかった。そう、勘違いとすれ違いしか起こってはいないのだが、メンフィスたちにはいいように捉えられていた。
「……なぜ? なぜ、君は、そこまでしてくれるんだ? エジェオとは、前からの知り合いだとしても私とは初対面なんだぞ? 他のエルフ族たちとも会ったことすらないのに。どうして……」
「大切な人を守りたい気持ちが、よくわかるからですかね」
「っ、!?」
(私には過ぎたるモノを貸すだけのこと。ここに生まれ変わる前の他人から見たら散々すぎる人生を覚えているのだから大丈夫。私の経験値は伊達じゃないわ)
凄くシリアスな場面で、アンジェリーカはそんなことを思っていたが、それが伝わることはなかった。
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