高校生の頃に同じ場所にいたことを僕だけが知っている

珠宮さくら

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二学期の期末の結果も良好で、文化祭も盛り上がったのを見て僕は無理したつもりはなくとも、関わってよかったと思っていた。

テンションあがった園芸部の1年生に作品を見せてもらい、それを購入したら物凄く喜ばれた。


「それ、私の一番なんです」
「あ、そうなんだ」


どうやら、直感でいいなと思った作品が、彼女の一番だったことで更にテンションをあげることになったようだ。その気持ち、よくわかるよ。

だが、彼女は人見知りらしく、他の生徒に話しかけられても固まってしまっていて、他の部員は休憩中のようなので、仕方なく戻って来るまで、中継ぎに間に入ってお客の相手をした。

すると知ってる僕がいることに安心したのか。変な緊張もせずに接客できていて結構売れていた。


「あれ? 凪?」
「どうも」


そこに部長が現れた。口元に青のりとソースがついている。お好み焼きか。たこ焼きを食べて来たようだ。

あー、僕も腹減ったな。


「来てたのか。てか、何で、そっちにいるんだ?」
「中々に繁盛してたので、助っ人してました」
「え? マジか。もう、こんなに売れたの?」
「あ、はい。でも、殆ど先輩のおかげですけど」


部長をちょいちょい呼んで、冷やかしも来ていたから女子部員だけを残すのは、いかがなものかと伝えておいた。

去年も、同じことを言ったはずだ。それが、なっていないことにちょっと怒っていた。


「あー、悪い。この時間、1年の男子もいたはずなんだが……」
「は? 見なかったですよ?」
「すみません! 時間、間違えてました!!」
「……来たな」
「ですね」


まぁ、間違えたんなら仕方がない。全力疾走してきたらしく、ぜーはーしていたのを見たら、怒れない。

なんだ。去年と同じことをしたのかと思ってしまったが、違っていたのは良かった。

陽葵さんも謝罪されても、僕がいたからと言えば、1年男子は土下座する勢いで謝罪してきて、それはそれで大変だった。

園芸部の1年は、いい子たちがそろってるようだ。2年がいないのが残念だ。


「あの、お詫びになるか。わかりませんが、うちのクラスのタダ券です。よかったら、どうぞ」
「え? いいの?」


焼きそばのタダ券だったのに僕は目を輝かせた。いやでも、僕だけもらうのも……。

ちらっと陽葵さんを見ると、慌てて鞄をあさっていた。


「あ、先輩。よかったら、私のとこのタダ券も、どうぞ」
「……クレープ。いいの?」


どちらも、腹が尋常でなく減っている僕にはありがたいものでしかなかった。

マジでなんか食わないと倒れる。朝飯を軽めにして、文化祭を満喫しようとしたのが、まずかったようだ。


「凪。俺のも、使ってくれ!」
「あ、それは、結構です」
「は?! 何でだよ!」
「お化け屋敷は、腹がふくれない」


そう言いながら、同意するように僕の腹が鳴いた。

グゥ~。

かなりの音量で、何気に恥ずかしい。


「……昼、まだなのか?」
「そうですね。何なら朝もあんま食ってなくて」


そんなこんなで、1年の園芸部員からもらったタダ券で腹を満たした。美味かった。でも、足りない。


「凪! 出来立てあるぞ!」
「あー、冷めてる方がいい。すぐ食える」
「お前、猫舌か? 毎度~」


声をかけられて、そんなことを言ったが、冷めてる方がどう見ても残りを全部入れたみたいに大盛りだったのだ。


「ごめん。ここ、いいかな?」
「は、はい。もちろんです」
「ありがと」


買ったらすぐに食べれるところがあって、そこでたむろっていた女子に声をかけて座って食べ始めた。

まぁ、大盛りなのを通常料金で買えたのだから、売り上げに貢献してやろう。


「あれ、美味そうだな」
「そうだな」


めっちゃ美味しそうに食ってやったら、案の定、つられた面々が買って行った。

さて、そろそろ、クラスの交代の時間だ。戻るか。


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