幼なじみで私の友達だと主張してお茶会やパーティーに紛れ込む令嬢に困っていたら、他にも私を利用する気満々な方々がいたようです

珠宮さくら

文字の大きさ
7 / 10

しおりを挟む

それだけではなかった。王女は、アンリエットのことを本当に心から心配してくれていると思っていた。王太子も、そうだ。

心配してくれているから、家から出そうとしていると思っていた。お茶やら、出かけようとあれこれ誘われていたが、留学してからは、それがどうも違う気がし始めていた。


「まだ、手紙が来ているの?」
「ううん。これは、友達からよ」


その手紙が、どうにも引っかかっていた。


「友達? 何か、あちらで面白いことでも?」
「ううん。私に早く帰って来てほしいみたい。私がいないと退屈で、いつ帰って来るかって、そればっかり」


そう、家に閉じこもっていた時ならわかるが、留学先にまで、戻って来て出かけようと誘われると首を傾げたくなる。


「……その方、他に友達いないの?」
「そんなことないはずなんだけど」
「アンリエット。こっちがつまらないとか書いた?」
「え? まさか、凄く楽しいって書いてるわ。何なら、留学期間を延ばそうかと思っているって、書いたら……」
「手紙が増えたの?」
「うん。物凄く」
「アンリエット、やっぱりこっちで婚約者見つけちゃいましょう」
「え?」


アンリエットに良さげな子息をと令嬢たちは、あれやこれやと話すが、最初は自分たちの身近な身内を紹介しようとした。


「みんな、身内ばっかりで、見え見えじゃない」
「だって、アンリエットと義理でも家族になれるチャンスなんだもの」
「……」


アンリエットは好かれているのは嬉しいが、げんなりしてしまった。

友達の手紙をどうしたものかと相談したかったのに婚約者を見つけようとしてくれているのだ。

アンリエットは、そこまで必死になって探していないのだが、どうしたものか。


「何だか、面白そうな話をしているね」
「これは、殿下」


全員が綺麗なカーテシーをした。


「かしこまらないでいいよ 。それより、婚約者を探しているのなら、私はどうだ? それか、従弟も、婚約者がいないんだが」
「殿下。私を巻き込まないでください」


ふと、そこで令嬢たちの1人が声をあげた。


「あ、大事なことを失念していたわ」
「大事なこと?」


アンリエットは、何があったかと首を傾げた。


「この国に嫁いで来てもらわなきゃならないってことよ」
「あら、そういえば、そうね」
「この国をそんなに気に入ってくれたのか?」


王太子は、嬉しそうにして会話にまじったが、のっぴきならない事情を聞いて、茶化すことはなく納得してくれた。


「それなら、私たちは条件にぴったりだな」
「……」
「そうですわね」
「私たちのオススメは全滅ね」
「悔しいわ」
「……」


何だろうか。アンリエットは、ハメられた気がしてならなかった。

それを見かねて、王太子の従弟が助けてくれた。王太子は、アンリエットに婚約者候補になりたいと言いながら、彼の従弟とアンリエットが婚約するなり、王太子は別の令嬢と婚約した。

元からアンリエットと婚約する気はなかったようだ。

どうやら、アンリエットに気がある従弟のリシャール・ネールを一生懸命にくっつけようとしていたようだ。王太子の婚約者もそれを知っていて、アンリエットはそんな王太子と婚約した令嬢に色々聞いて苦笑してしまった。


「殿下はひとりっ子だけど、リシャール様のことを本当の弟のように可愛がっておられるのよ」
「それにあなたの祖国の王女のしつこさも知っていたから」
「王女のしつこさ??」
「あなたが、戻って来ないとわかって、殿下と婚約しようとして、ずっと頑張っていたのよ」
「……」
「あなたをあちらの王太子とくっつこるのは、無理だとわかって、そうしたみたい」


それを聞いて、なおさらアンリエットが帰ったら大変だと心配してくれたようだ。

それは、アンリエットの友達となった令嬢たちもそうだ。リシャールのことも心配して、アンリエットのことも心配して動いてくれたのだ。

それを知ってアンリエットは、苦笑しながらも嬉しそうにしていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?

チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。 そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。 約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。 しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。 もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。 リディアは知らなかった。 自分の立場が自国でどうなっているのかを。

【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜

珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」 「……え?」 幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。 うっとりと相手について語るモニカ。 でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……? ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

婚約破棄?から大公様に見初められて~誤解だと今更いっても知りません!~

琴葉悠
恋愛
ストーリャ国の王子エピカ・ストーリャの婚約者ペルラ・ジェンマは彼が大嫌いだった。 自由が欲しい、妃教育はもううんざり、笑顔を取り繕うのも嫌! しかし周囲が婚約破棄を許してくれない中、ペルラは、エピカが見知らぬ女性と一緒に夜会の別室に入るのを見かけた。 「婚約破棄」の文字が浮かび、別室に飛び込み、エピカをただせば言葉を濁す。 ペルラは思いの丈をぶちまけ、夜会から飛び出すとそこで運命の出会いをする──

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです

白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」 国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。 目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。 ※2話完結。

婚約破棄した王子は年下の幼馴染を溺愛「彼女を本気で愛してる結婚したい」国王「許さん!一緒に国外追放する」

佐藤 美奈
恋愛
「僕はアンジェラと婚約破棄する!本当は幼馴染のニーナを愛しているんだ」 アンジェラ・グラール公爵令嬢とロバート・エヴァンス王子との婚約発表および、お披露目イベントが行われていたが突然のロバートの主張で会場から大きなどよめきが起きた。 「お前は何を言っているんだ!頭がおかしくなったのか?」 アンドレア国王の怒鳴り声が響いて静まった会場。その舞台で親子喧嘩が始まって収拾のつかぬ混乱ぶりは目を覆わんばかりでした。 気まずい雰囲気が漂っている中、婚約披露パーティーは早々に切り上げられることになった。アンジェラの一生一度の晴れ舞台は、婚約者のロバートに台なしにされてしまった。

処理中です...