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第2章
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しおりを挟む元婚約者は、あのまま自分の才能のなさに気づくことなく邁進したのではないかと思った。
(邁進というか。暴走? 人のやることなすこと駄目にしていくしかできないんだもの。あれは、ある意味、真逆なことをしていたら上手くいくこともたまにはあったりするのよね。極たまにだけど。そもそも、言葉も自分が難しいと思っている単語を使って話すだけで、忌がわかって使ってないのよね。そこに問題があるのに気づかないというか。気づいてくれなかったことが、一番苦労したのよね)
そのせいで、ウィスタリアはどれだけフォローさせられてきたことか。悪意はない。妹と同じなのだ。でも、破棄を言った後の言葉は、悪意しかなかった。
(やっぱり、往復ビンタくらいしとけばよかった)
ウィスタリアは、思い出して拳を握りしめた。ビンタと言いながら、顔面にパンチしてもよかった。
(いや、でも、パンチしたら、私の手が駄目になりそうだわ。鼻をへし折るのが見られたら、スッキリしただろうけど、私の力じゃ無理そうだし。やっぱり、往復ビンタね。隣に並ぶのに見劣りするとか。私の身体つきに不満があったとしても、あれは最低だった。あれを理由に破棄されたと言ったら、もう完全に誰も彼と婚約したいと思わないでしょうね。……まぁ、しなくとも、婚約者が見つかるとは思えないけど)
そこまで、考えて無駄にポジティブだから、破棄されても、めぼしい令嬢にアタックしていそうだとは思った。
でも、婚約者が見つからずとも、止めるなんて誰にもできないだろう。ウィスタリアとて、止められなかったのだ。事業の才能は欠片もないのは、証明していたのだから、彼の両親もそんなのを跡継ぎにするなんて、恐ろしいことをするわけがない。
ウィスタリア以上の才女を見つけて、上手いことソレムの婚約者にできたとしても……。
(そんなの見つけたら暴走するのは目に見えているから、跡継ぎを彼以外にすることに奔走するでしょうね。……そうでないと事業を立て直した意味がなくなってしまうもの)
あれだけ騒ぎになったのだ。婚約したがる令嬢なんて、プリムローズくらいしかいないはずだとウィスタリアは思った。
(……2人が婚約したら、最凶そうね。その時点で、家からは縁を切られるでしょうね)
そうでなければ、家まで道連れにされるだけだ。
まさか、自棄を起こしたジュニパーが、ソレムと婚約することにしたとまでは、流石のウィスタリアも思い至ることはなかった。
そもそも、王太子が婚約破棄をすると言うのが想像できなかった。そんなことしたら、次の婚約者を見つけて、お妃教育にどれだけかかることか。
まぁ、どちらにしろ。ソレムは、散々な目にあうことを自分が招いていることに気づくことなく終わりそうだと思って、ウィスタリアは苦笑するしかなかった。
そこは、何をしでかすかの予期は難しくて、中々できないが、結末だけはブレないだろうと思った。
彼が思い描いている未来には、絶対にならない。それだけは、間違いようがない。
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