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第2章
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しおりを挟む(天姫とやらが、彼女だと思っているのがまるわかりね)
ウィスタリアの側にいる女官や神官たちと違って、ジュニパーの側に控えている女官と神官は明らかに違っていた。やることなすことに無駄が全くなかった。
(こうして見ていると寝ている時につけられていたマリカという女官で、察するものがあったのは正解みたいね。仕える人物の重要性によって、女官たちの質が違っていた。最初から、私は偽物だと思われていたってことよね)
それが、女官長の指示なのか。それとも、もっと上の者が命じているのかはわからないが、明らかに平等さに欠けているのは明らかだ。
ジュニパーは、慣れたように指示を出していた。それを見ていたウィスタリアは、早く帰りたくて仕方がなかった。
(こんな帰りたくなるお茶会も久しぶりだわ。帰りたくなったお茶会の時は、側に無理やりくっついて来たプリムローズがいた。懐かしいわ。姉として、恥ずかしくてたまらなかったけど、それでもプリムローズは楽しそうにしていた。……あの子も普通にしていたら、とても可愛いかったのに)
プリムローズは張り切ると派手な格好や化粧をしたがるのだ。そのせいで、一緒にいると他人のふりをしたくなるのだが、そんなこと言ってられず他の人に失礼を働くたび、姉として平謝りしたりしていた。
元婚約者のソレムも、同じようにウィスタリアは油断できなかった。パーティーに一緒に行くのが嫌で仕方がなかった。それでも、ここまでではなかった。
(……変なの。全く楽しくもない思い出なのに今も鮮明に覚えている)
それなのに想い人のことは、昔の姿形しか思い出せないことに思い至って、悲しくなってしまった。
マリカが話してくれたことを一語一句覚えているように王太子が、ウィスタリアが会いたいと思っている方の彼の話したことを覚えている。声も思い出せるというのに顔だけが思い出せないことにウィスタリアは、何とも言えない顔をしたくなった。
もう、どうにもならないことなのにおかしな話だ。
それよりも、親友だった令嬢とそっくりで名前も一緒で、本物だと誰もが思っている人物とかたや偽物だと勝手に決めつけられて針の筵のようで、さっさと本性を表して出て行ってほしいと言わんばかりの態度をされるウィスタリア。
そんな人物とお茶会をして、楽しいわけがない。楽しいどころか。殺意を押し殺すのが大変だった。
(ただの他人の空似だとしても、あの女とそっくりなのと仲良くなんてしたくない)
ウィスタリアは、そんなことを思ってしまっていた。わけがわからないところに来て、勝手に天姫だとか。偽物だとか思われていたことに段々とイライラして仕方がなかった。
それでも、ジュニパーの方が上手く立ち回っていて、多くの味方を得ていた。
ウィスタリアは味方がほぼ居ないような状態で、味方よりもここから出て行く方向に向かっていたウィスタリアは、頑張りどころを間違えていたかも知れないと思い始めていた。
(ここは、我慢よ。この女に負けたくないからって、天姫だと思われるようなことはしたくない)
そう思いながらも、ウィスタリアは葛藤することになった。
それこそ、再びジュニパーに負けるのが許せないようだ。だが、あちらはウィスタリアのことなど知らないかのようにしていた。そっくりなだけで、彼女ではないのは明らかだ。
他人の空似のはずなのに。ウィスタリアは、目の前の彼女が心から嫌いだと思えてならなかった。
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