初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第3章

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(そこまで、1人にしとけないんだ)


ウィスタリアは、その話を聞いて、何とも言えない顔をして、即座にそんなことを思ってしまった。それを見ず知らずの人間に話すのも中々だ。

だが、すぐに想像できた。ウィスタリアの時の勘違いしまくっていた元婚約者のようなのがいるのだ。目を離すとろくなことをしないのは、どこにでもいるのかも知れない。

それこそ、本人にその自覚があるのなら、ちょっとはマシかも知れない。あったからといって、駄目ならあまり意味はなさそうに思えるが、元婚約者に比べたらかなりマシに思えるのは、ウィスタリアの頃の記憶があるせいだろう。

空腹の限界から脱した途端、それだったがウィスタリアの時の無茶な日々もあって精神面はかなり強かった。

そうじゃなければ、話に付き合うなんてできずにホッとして、眠りこけていた。

そんな話をしてくれる彼女も、中々なことをしているが、話したかったのだろう。


「息子は、旦那の若い頃によく似てるんだよ。旦那のほうが器量も良けりゃ中身もしっかりした人だったけど、息子は図体と顔立ちがいいだけで、中身はてんでシャンとしてないんだよ。だから、妻子と離れて仕事なんてしたら、図に乗ってはめ外すに決まってる」
「……」 
 

こんなに息子に会ったこともない人間に言っていいのか。正解がウィスタリアにはわからなくて黙っていた。

きっと、実際に会ったら、まんまだなと思うような男性なのだろうことは、ウィスタリアにはよくわかった。言葉の重みが違うのだ。語る方が、しみじみと話していた。

それこそ、そんなことないと彼女の息子のことを擁護する人間を探す方が大変な気がしていた。

そもそも、目の前の女性にそれを聞いていたら、誰もいないと即答されそうではあったが、流石に聞くことはなかった。


「相手の女にまんまと騙されて、子供がデキたから別れてくれとか言い出すのが目に見えていたんだよ。その辺、嫁もしっかり息子をわかってたが、孫娘はもっとしっかりしててね。ばぁばより、父ちゃんは目を離したらろくなことしないって、まだ5つになったばかりなのに。そんな事言われるような駄目な父親でも、あの子らには大事な夫であり、父親だからね。ここに残ってほしいなんて言えやしなくてね」
「……」


それが、つい最近のことらしい。息子夫妻がいなくなって、寂しい思いをしていたようだ。寂しさのあまり語られても、この場合、大変ですねというのも変な話しだ。

特に息子よりも、嫁と孫娘がしっかりしていて、店も手伝ってくれていたが、それもなくなり新しい人を雇おうとしていた。できる嫁といるだけで店の看板娘になっていた孫娘の2人がいっぺんにいなくなったのだ。同じような人なんているわけがない。見つかるはずもない。


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