95 / 112
第3章
3
しおりを挟む(そこまで、1人にしとけないんだ)
ウィスタリアは、その話を聞いて、何とも言えない顔をして、即座にそんなことを思ってしまった。それを見ず知らずの人間に話すのも中々だ。
だが、すぐに想像できた。ウィスタリアの時の勘違いしまくっていた元婚約者のようなのがいるのだ。目を離すとろくなことをしないのは、どこにでもいるのかも知れない。
それこそ、本人にその自覚があるのなら、ちょっとはマシかも知れない。あったからといって、駄目ならあまり意味はなさそうに思えるが、元婚約者に比べたらかなりマシに思えるのは、ウィスタリアの頃の記憶があるせいだろう。
空腹の限界から脱した途端、それだったがウィスタリアの時の無茶な日々もあって精神面はかなり強かった。
そうじゃなければ、話に付き合うなんてできずにホッとして、眠りこけていた。
そんな話をしてくれる彼女も、中々なことをしているが、話したかったのだろう。
「息子は、旦那の若い頃によく似てるんだよ。旦那のほうが器量も良けりゃ中身もしっかりした人だったけど、息子は図体と顔立ちがいいだけで、中身はてんでシャンとしてないんだよ。だから、妻子と離れて仕事なんてしたら、図に乗ってはめ外すに決まってる」
「……」
こんなに息子に会ったこともない人間に言っていいのか。正解がウィスタリアにはわからなくて黙っていた。
きっと、実際に会ったら、まんまだなと思うような男性なのだろうことは、ウィスタリアにはよくわかった。言葉の重みが違うのだ。語る方が、しみじみと話していた。
それこそ、そんなことないと彼女の息子のことを擁護する人間を探す方が大変な気がしていた。
そもそも、目の前の女性にそれを聞いていたら、誰もいないと即答されそうではあったが、流石に聞くことはなかった。
「相手の女にまんまと騙されて、子供がデキたから別れてくれとか言い出すのが目に見えていたんだよ。その辺、嫁もしっかり息子をわかってたが、孫娘はもっとしっかりしててね。ばぁばより、父ちゃんは目を離したらろくなことしないって、まだ5つになったばかりなのに。そんな事言われるような駄目な父親でも、あの子らには大事な夫であり、父親だからね。ここに残ってほしいなんて言えやしなくてね」
「……」
それが、つい最近のことらしい。息子夫妻がいなくなって、寂しい思いをしていたようだ。寂しさのあまり語られても、この場合、大変ですねというのも変な話しだ。
特に息子よりも、嫁と孫娘がしっかりしていて、店も手伝ってくれていたが、それもなくなり新しい人を雇おうとしていた。できる嫁といるだけで店の看板娘になっていた孫娘の2人がいっぺんにいなくなったのだ。同じような人なんているわけがない。見つかるはずもない。
24
あなたにおすすめの小説
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
恋人が聖女のものになりました
キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」
聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。
それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。
聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。
多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。
ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……?
慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。
従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。
菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる