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第3章
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しおりを挟むそんなことがあって、リーリエはそれなりに忙しい日々を送っていた。
そんなことになっている間にジュニパーが、ソレルに愛想を尽かしていなくなった。
婚約者もいなくなり、ようやくソレルは自分のできなさすぎなところを自覚したようだ。
それでも、ほんの少ししかできないと思っていたようだが。それでも、彼には大きな前進ではあった。蟻の一歩のようなものでも、彼には難しい一歩だったのを理解できたのは、リーリエくらいだろう。
そんなことがあって、王太子の結婚に街の人たちはすっかり浮かれていた。
「王太子は、やっと想い人を見つけたみたいね」
ふと、店の外を覗いたら、そんな話をしている人がいた。
「あら、私は想い人が亡くなって、やっと諦めがついたって聞いたわ」
「私も、そう聞いたわ。その想い人って、ウィスタリア様のことだったらしいわよ」
「……」
それを聞いてもリーリエは、無反応だった。そんなわけがあるわけないと思っていた。
「あら、でも、ウィスタリア様の想い人は元婚約者だと聞いたわ」
「え? それはないでしょ」
「私も聞いたわ。そうでなければ、あんなに何もできない子息のために尽くしに尽くしてなんていなかったはずだって」
「確かに凄い尽くされていたって話よね。私も聞いたわ」
「……」
(そんなことを今、聞くことになるとは思わなかったわ。噂って、怖いものね。ウィスタリアの本命が誰だったかなんて、誰も知らないのよね。誰かに言ったことはなかったことだし)
そんなことをリーリエはしみじみと思っていた。
「リーリエ」
「え? どうしたの?」
パレードを見に行った友達がいたのに驚いてしまった。
(もう、戻って来たの……? 何で??)
これから、パレードになるはずだ。それが、どうしてなのかリーリエには、さっぱりわからなかった。混雑しすぎて見えそうもないから戻って来たなんてことはないはずだ。
不思議そうにしていると友達が、こう言った。
「パレードが中止になったわ」
「中止に? どうして?」
雨の予報なら、もっと早く中止になってるはずだが、天気は崩れそうもない天気だ。不思議に思っていると……。
「王太子の結婚相手が、結婚式に来なかったらしいわ」
「え……?」
どうやら婚約していた令嬢の方に想い人がいたようだ。王太子との結婚よりも、その想い人と添い遂げたくて結婚式の日に逃避行を図ったようだ。
そこにリーリエは、半年で王太子妃となる教育を詰め込まれたストレスもあるのではないかと推察せずにはいられなかった。
(流石に無理がありすぎよね。王太子妃の教育のみならず、この準備も同時にされたら、プレッシャーも凄かったでしょうね。婚約した途端、結婚式の準備を周りがして、勉強三昧になるんだもの。それで、少しでも遅れれば色々言われたでしょうし。何より、王妃の古代語の試験に王太子は役に立つことはなかっただろうから、お妃教育より、そちらがメインになってそうよね)
リーリエには、手に取るようにそんなことを思ってしまった。
想い人と逃げた令嬢のことを悪く言う者も多かったが、想い人がそもそもいたのに無理やり婚約することになって逃げ場を取り上げられたのだと噂が広まれば、同情するのは逃げた令嬢に一気に傾いた。
とんだ赤っ恥をかくことになった王太子だが、逃避行を選んだ元婚約者を責めることはしなかった。
リーリエは、そこが不思議でならなかった。
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