初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第3章

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「リーリエちゃん、森で採れる木苺やら、食べられるのを色々採って来たんだ。お菓子作りを教えてくれんかね? 若夫婦が、遊びに来た時に食わせてやりてぇんだ」
「いいですよ」


ここまで来たのだからと了承した。

それが聞こえた旅行者は、不思議そうにした。


「お菓子?」
「この人、街で評判の喫茶店をやってんだと」
「そうなんですか?! あの、よければ見学させてださい」
「なら、あんた味見しとくれ」
「それ、得意です! あ、手伝えることあったら、手伝います」


彼は、旅行しながら色々見るのが楽しいようだ。手伝えることにお菓子以外のことでもいいと言えば、できることは何でも本当にやった。

ここに合うことを教えたりして、物知りな旅行者に色々聞きに来る者も日に日に増えて行った。

そんな旅行者は、お菓子を作るのを見て楽しそうにしていた。その間に色んなところで食べたお菓子や食事の話やらをしてくれて、それがリーリエはとても楽しかった。


「あんた、本当に色んなとこ行ってるんだねぇ」
「しかも、全部を記憶してるって言うのが凄いよ」
「覚えるのは得意なので」


そう、その旅行者はメモなんて見ることなく、ついさっき見てきたかのように話すのだ。

レシピも完璧に覚えて、作り方も言えるが……。


「そこまで覚えてるのに料理ができないんですか?」
「えぇ、なぜか台無しにしてしまうんですよね」


旅行者は、そう言いながら苦笑していた。リーリエは、他の者に修理の話やらをしているが……。


「兄ちゃんは、実践に向いてねぇな」
「そうだな。すげぇ不器用すぎる」


どうやら、見たものを覚えることに特化しているが、手先がいまいちなようだ。

それでも知識は豊富だ。手先が不器用すぎても図解を描くのは上手いため、聞いているだけでも重宝がられた。

リーリエは、そんな彼を不思議そうに眺めていた。とても、懐かしい気持ちになるのだ。


(誰に似ているんだろう……?)


どうしても思い出せないまま、リーリエはジャムから、パイやクッキーなどをそこに住む人たちに教えて、その美味しさにみんなが笑顔になっていた。


(そう言えば、あの人たちは、どうしてるんだろ?)


意識するようにしても、次の日とその次の日になっても、祖父母を見かけることはなかった。リーリエが、家の中でお菓子作りに没頭している間に大変なことになっていたようだ。

腹痛により、出歩くことができなかったようだ。だというのにたまたまだと言って、知らない人をカモにして売りつけようとするのは変わりなかった。

リーリエは、元気そうだと思って知り合った人たちとの別れを惜しみながら戻ったが、ウィスタリアの祖父母たちのことを名残惜しいと思うことはなかった。

そんな人たちに騙された人が現れたのは、翌年だった。

街で評判の店の人が見に来たと言い、そちらを断ってもいいから融通していいと言葉巧みに言い、街でリーリエが勤めている喫茶店のライバル店を開こうとしていたのが、その言葉にまんまと騙された。

開店記念だからと安く売ったせいもあり、それを大勢が食べてしまうことになって大変なことになるとは思いもしなかった。


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