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『隠された皇女』
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しおりを挟む見透かす目と本当の歴史を語るリーシーに皇帝は、いたたまれなくなったのは割とすぐだった。必死に皇帝の座にいるが、そんな器でも何でもないのだ。
邪魔なのをみんな排除して、この大国の皇帝となっているだけなのだ。
「この娘を連れ出して首をはねよ!」
「っ、陛下。それは……」
「こんな戯言が聞けるものか! 皇女が国を壊すなどありえん!! 皇女は、1人だ! 2人の皇女など存在しない!」
その言葉にリーシーは……。
「陛下は、皇女も、この国も、お見捨てになられる。それが、この国を治める者の答えなのですね」
「まだ、言うか! 剣を貸せ! 余が殺してやる!」
「陛下!」
流石に皇帝に街の娘を斬り殺させられないと護衛長は陛下を呼ぶが、殺してやると言われている方は、そんなのちっとも怖くないようにしていた。
まるで、その姿はディェリンがいるかのようだった。着飾っていつも凛としていたが、服装も庶民のもので、化粧っ気もないのに品格がにじみ出ていた。
その姿に侍従長や女官長は、誰かを彷彿とさせた。皇帝がいる時といない時とで、態度が違う元側妃だ。
普通なら、皇帝がいる時に気に入られようとするものだが、その女性は真逆のことをしていた。ちゃんとしていれば、ズーウェイ側妃と張り合えるほどの器量と美貌を持ち合わせていたのに。それを皇帝に見せようとすらしなかった。
まるで、そこまでの男ではないかのようにしているようにすら見えた。
埒が明かないとばかりに凛とした声が、この場に響いた。
「私の言葉を信じる者は、この場にいるか?」
リーシーは、涼やかな声音で、まるでこれが最後のチャンスかのように尋ねた。
それに即答したのは……。
「ここにおります」
「私も、信じます」
「同じく」
それは、ハオランと皇太子だった。そして、ジュンユーも名を連ねた。
護衛長は、そんなジュンユーのことを眉を顰めて見ていたが、今回ばかりは何を考えているのだと馬鹿に
できなかった。
むしろ、羨ましいと思ってしまっていた。もう1人の息子は、何を馬鹿なことをしているとばかりにしていた。目をかけて期待していた方を間違えたと思っていたのを認めたのは、その時だった。
そこに駆けつけたのは、息も絶え絶えのハオランの兄だった。騒ぎを聞きつけ、リーシーが駆け抜けて行くのを追いかけて来たのだが、彼は文官。やっと追いついたのだ。
「わ、私も、おります」
「兄上。大丈夫か?」
「い、一生分、走った」
「……」
兄が慌てて走るなんて姿を見たことはなかった。遅れて、兄弟の父親も来た。護衛兵の若いのにおぶられてやって来たのに兄弟は、ぎょっとした。
「わ、儂も、信じておりますぞ!」
「父上」
「ごほっ、ごほっ、」
「おぶられてきたのに何で、父上まで、息も絶え絶えなんですか?」
「煩いぞ。歳を考えろ」
「「……」」
兄弟は揃って、父につかまった護衛兵に礼を言っていた。この兄弟の心を射止めたのが、庶民の娘ではなく、元側妃と元武官の娘と聞いて、是が非でもどちらかの嫁にほしいとこの父は思っていた。
何よりリーシーのことを気に入ったのは、街の子供たちを支援する案だ。上の息子ですら、中々苦戦していたのにあんなにも見頃な案を持ち出したのだ。
文官でも、武官の嫁でも、我が家の嫁にほしいのだ。どちらの子供でも、我が家は安泰間違いなしだと思っているのとやはり一部始終を見たくて駆けつけたのだ。
何より女っ気のない息子たちが惚れ込んだ娘を気に入ったからにほかならなかった。
それが誰であっても、どうでもよかった。
それにリーシーは、それを微笑み、羨ましそうに親子を見ていた。
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