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『隠された皇女』
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しおりを挟む皇帝は、皇女の父として名を残すことより、2人の皇女を見捨て、国を見捨てた者として名を残すことになった。
すぐに退位をすることになり、皇太子が王位に就くことになった。
暴れて騒ぐ元皇帝は、元皇妃と共に今回のことで責任を感じて、具合を悪くしたとして、療養が必要ということにして幽閉されることになった。
ディェリンのことをとんでもない言葉で罵倒した子息は、殺されることなく、苦情と抗議と共に帰国して勘当されただけではなく、彼の父親は爵位を返上したようだ。。
それだけではない。ガンラシュ国は皇女のことを深く傷つけ、子息の言葉のみならず、皇妃だった者とその親族によって、ガンラシュ国の王太子との縁談をせっつかれ、心労が祟って暴走したのをそれでも、どうにかしようとして、その身を犠牲にしたとした。皇女が、ファバン国を天変地異から守るために命を賭したことを知った国民は嘆き悲しんだ。
元皇妃の親族や皇太子は、責任逃れをするのに必死になっていたようだが、その後はあの国には天変地異が多発して天罰だと言われているが、本当のところ、どうなのかを誰も知らない。
そして、隠されていたもう1人の皇女のリーシーは、ファバン大国を救うためとディェリンを救うために力を使って、後宮の皇女の与えられた部屋でずっと眠ることになった。
ディェリンのように息を引き取ることはなかった。ただ、眠り続けていた。
それまで、ディェリンの部屋だったが、母であるズーウェイ側妃の遺言を守るためとこの大国を守るために自らを封じ込めてまで守ろうとした彼女をリーシーは、そこで花影と幸せな時間を過ごさせるために命を使った。
それを知らない面々は、ディェリンたちは犠牲になったと伝えることになった。そこは間違ってはいない。
でも、リーシーは2人には幸せになってほしくて、力を使った。そこで2人は納得いくまで、2人っきりの世界を満喫した。
それを知っているのは、眠り続けて2人が一緒に長くいられるようにサポートしていたリーシーだけだったはずだが、そこに気づく者がいた。
周りは、そんなこと知らず、ディェリンの国葬をして、その側に花影の墓を築いて祀った。2人が来世で幸せになれることを祈って建てられたものは、皇女のために誂えた豪華なものと違って、ディェリンと花影が静かに旅立てるものとなっていた。
そして、月日は流れた。
「リーシー皇女は?」
「眠ったままだ」
「……」
ハオランは武官となり、リーシーの側で護衛として側にいた。彼の兄も、文官の仕事をしながら会いに来ていた。
あれから数ヶ月。リーシーが目を覚ますのを皇帝となった兄も、国民も何があったかを知っていて、リーシーが目覚めるのをひたすら祈って願っていた。
この兄弟は、街のリーシーの両親の料理屋にも顔を出していた。
2人は、いつもと変わらなかった。ジンリーは一時体調を悪くしていたが、今は元気になった。2人はいつも通りだが、ハオランたちを見ると街の面々にリーシーのことを取り囲まれて聞かれるため、人目がない時に立ち寄ってばかりいた。
「私たちは、大丈夫よ。それより、リーシーの側にいてあげて」
「ですが」
「私は、側にいてあげれないから」
「……」
皇女の存在をどんなことがあっても隠したのだ。守るためとは言え、ジンリーがリーシーの母として後宮に戻ることは叶わない。
そもそも、夫を置いてどこにも行く気はない。
「それより、2人の親父さんは、元気なのか?」
「益々元気になってます」
「あの人、目標あると違うので」
目下、息子が嫁を取るまでどころか。孫が何人か生まれるまでは、死なない気でいる。
ハオランたちとしては、どちらの嫁でも父親に良さげにされてしまい、母にまでリーシーがいいなら、それでも構わないようなことを言った。
今回のことでも、幸せになってもらうのに夫が2人でも足りないみたいに言うほどだ。
「息子2人でも足りないくらいだ。皇女には、絶対に幸せになってもらわねば」
これ以上、ライバルが増えるのは勘弁してほしいところだが、どうなるかはわからない。兄弟の父親が、息子たちでは足りないと思っているのだ。
そもそも、起きてくれるのかも分からない。各地の天変地異は、再びなくなった。リーシーが鎮めたのは間違いない。
その代わりのようにガンラシュ国では、天変地異が多発していて、天罰だと言う者が後を絶たなかった。
それでも、ハオランたちは日々のやるべきことを淡々とこなした。
そんな中で、リーシーの幸せを願わずにはいられなかった。
特にハオランの兄は、幸せにしたいから戻って来いと願っていた。
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