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しおりを挟むポリアンサが婚約者のゼインのところに花嫁修業に行って、1週間どころか従妹は、5日目には花嫁修業が厳しすぎると泣きじゃくって戻って来た。
「ゼイン様ったら、酷いのよ! お前みたいなバカな女みたことないって、言うのよ!」
(その通りじゃない)
怒られるようなことをしている自覚がないポリアンサの愚痴を聞き飽きている家族は、一切取り合うものがいなかった。
そうこうしていると逃げ出したことに気づいたゼインがお仕掛けて来て、こんなバカだと思わなかったと怒鳴るのにヴェロニカだけでなく、家族みんなが呆れてしまった。
「また、バカって言った!」
「本当のことではないか!」
「……」
ぎゃーぎゃー騒ぐ2人をもう赤の他人だからと追い出した。
「赤の他人とは、酷いのではないか?」
「誕生日をすぎて成人した時点で、他人です。かわした書類にも書いてあったはずですが?」
「は?」
「詳しいことは、ポリアンサに聞いてください」
「っ、」
わけがわからない顔をしていたが、ポリアンサは誕生日が過ぎたことにようやく気づいたような顔をしていた。
「おい、どういうことだ?」
「あー、えーっと、ほら、戻って勉強するんでしょ? 私、大人しく戻りますから、行きましょう?」
ゼインは眉を顰めたまま、ポリアンサを連れて出て行った。
「次に来たら入れるな」
「畏まりました」
父の言葉に執事は深く頷いた。
そこから、何事もなかったようにヴェロニカの婚約者は誰がいいかと両親と釣書を見ることを再開させた。
鳥頭というべきか。ポリアンサは、またも逃げ出して、ヴェロニカたちの家に逃げこもうとして入れてもらえず、ポリアンサの花嫁修業は一向に進まなかったようだ。ゼインは、そんなポリアンサのせいで中々結婚できずに、いつもイライラしていた。
(それこそ、今のポリアンサと婚約破棄したら、身寄りのないポリアンサを見捨てたって思われるから、それもできないのよね)
あの書類にポリアンサとの婚約を絶対に破棄せずにゼインの家で一生かけて面倒を見ることに同意するのにサインしたのだ。
中々、結婚できないこととポリアンサの出来の悪さのせいで、ゼインは跡継ぎを外されることとなり、それでも勘当されることはなかったが、ポリアンサと婚約破棄できるなら、勘当された方がマシだったかもしれない。
ヴェロニカはというと、新しい婚約者を早々に見つけることができた。その相手が王太子だったことに本人が未だにびっくりしていたりする。
(それも、これも、ポリアンサが厄介だと思われていただけで、いなくなった途端に婚約するのに支障がなくなったんだから、凄い迷惑な話よね)
ヴェロニカは、王太子に溺愛され、仲睦まじい姿を至るところで目撃されるようになるまで、そんなに時間はかからなかった。
それこそ、どこで見かけても幸せいっぱいの二人のことを理想にしている令嬢は多かった。
真逆にポリアンサたちのようには、絶対になりたくないと思われているようだが、二人は周りを気にする余裕もなさそうだ。
そんなポリアンサたちなど、気にすることなく、ヴェロニカは笑顔溢れる人生を送ることが出来たのだった。
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