婚約者と親友が浮気をしているのを知ったので死んで抗議しようと思っていましたが、運命の人と出会えたことで幸せな未来を引き寄せられたようです

珠宮さくら

文字の大きさ
18 / 31

18

しおりを挟む

王太子に婚約者ができたことは、瞬く間に知れ渡っていた。

だが、中々お披露目されないこともあり、王妃が気に入らないと思っている者が多かった。

それでも、王宮の庭を仲良さげに散策しているとも噂されていたが、それを鵜呑みにする者は少なかったのは、紹介されないからだった。

それが、王妃主催の女性だけのお茶会にジャスミンを連れて来たのだ。それに会場の中が、ざわついた。


「本来なら、もっと早く紹介したかったのですが、遅れたことは私の落ち度です。彼女には何の落ち度もありません。私は、このジャスミン姫が王太子と婚約したことを心から喜ばしく思っています。皆さんも、ジャスミン姫をよく知れば同じように思うことでしょう」


王妃が、そんなことを言ったことに益々ざわついた。王妃が小娘を褒めることなどなかったのだ。それどころか、落ち度があったのは自分だとまで言ってジャスミンをたてたのだ。


「王妃様が気に入らないって話だったのに」
「そんな情報、古いわ。すっかり気に入って、王太子様とジャスミンを取り合って仲良くなさっているそうよ」


そんな会話がなされ、ならばジャスミンに媚を売ろうとする者は多かった。

王妃は、丁寧に招待客をジャスミンに紹介した。その多さに表情筋を総動員することになった。


(こんな目立ち方をしたら、絶対に一人や二人は現れそうよね)


案の定、紹介が終わり挨拶が済むとジャスミンは年の頃の近しい面々と談笑することになった。その中にジャスミンをよく思わない令嬢がいた。

居たというか。ジャスミンが親の敵を見つけたような顔をしないようにするのが大変だった。


(こんなところで会うとは思わなかったわ。ミアにそっくりな令嬢。もう、ここには居ないものと思っていたのに)


その令嬢は、ジャスミンに何かと言って来ていた。隣国から来たから、言葉が通じないとでも思ったのかも知れない。もっぱら王妃が話していて、ジャスミンは大したことを言わなかったから勘違いしたのかも知れない。

更には、ジャスミンがブチ切れてアーロのそっくりな姿形だけでなく、中身までもそっくりな元婚約者に当たり散らしたのだ。その後、寝ている間に制裁が加えられていて、ジャスミンは殆どやることはなかったのだ。


(このお茶会は、王妃殿下の主催なのよ。ぶち壊すわけにはいかないわ。中身もそっくりな嫌な女だろうとも、ここはわからない顔をしてやり過ごすのよ)


ジャスミンは、そんなことに一生懸命になっていたとも知らず、ミアは王太子の婚約者には自分のようなのが選ばれるべきだと言いたいようだ。


「ちょっと、ミア。そんなこと言って、婚約しているじゃない」
「そうよ。あなたにメロメロな婚約者が、そんなこと聞いたら幻滅するわよ?」
「平気よ」


どうやら、ここの彼女も婚約者に惚れられているから何をしてもいいと思っているようだ。

そんな彼女が、他に呼ばれて、そちらに行くと残った令嬢たちは、ため息をついていた。ジャスミンも付きたかったが、言葉が通じないふりを続行するのにきょとんとした顔をしていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので

ふわふわ
恋愛
「婚約破棄? ……そうですか。では、私の役目は終わりですね」 王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、 国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢 マルグリット・フォン・ルーヴェン。 感情を表に出さず、 功績を誇らず、 ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは―― 偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。 だが、マルグリットは嘆かない。 怒りもしない。 復讐すら、望まない。 彼女が選んだのは、 すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。 彼女がいなくなっても、領地は回る。 判断は滞らず、人々は困らない。 それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。 一方で、 彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、 「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。 ――必要とされない価値。 ――前に出ない強さ。 ――名前を呼ばれない完成。 これは、 騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、 最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。 ざまぁは静かに、 恋は後半に、 そして物語は、凛と終わる。 アルファポリス女子読者向け 「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?

柚木ゆず
恋愛
「すでに気付いているんですのよ。わたくしやお父様やお母様に隠れて、交際を行っていることに」 「ダーファルズ伯爵家のエドモン様は、雄々しく素敵な御方。お顔も財力も最上級な方で、興味を持ちましたの。好きに、なってしまいましたの」  私のものを何でも欲しがる、妹のニネット。今度は物ではなく人を欲しがり始め、エドモン様をもらうと言い出しました。  確かに私は、家族に隠れて交際を行っているのですが――。その方は、私にしつこく言い寄ってきていた人。恋人はエドモン様ではなく、エズラル侯爵家のフレデリク様なのです。  どうやらニネットは大きな勘違いをしているらしく、自身を溺愛するお父様とお母様の力を借りて、そんなエドモン様にアプローチをしてゆくみたいです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。 刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。 可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。 無事完結しました。

申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。

芹澤©️
恋愛
王太子の元へ側室として嫁いだ伯爵令嬢は、初夜の晩に宣言した。 「申し訳ありませんが、貴方様との子供は欲しくありません。」

妹と再婚約?殿下ありがとうございます!

八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。 第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。 「彼女のことは私に任せろ」 殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします! 令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。

初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように

ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』  運命の日。  ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。 (私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)  今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。  ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。  もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。  そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。  ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。  ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。  でも、帰ってきたのは護衛のみ。  その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。 《登場人物》  ☆ルキナ(16) 公爵令嬢。  ☆ジークレイン(24) ルキナの兄。  ☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。  ★ブリトニー(18) パン屋の娘。

処理中です...