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gulu

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~いちがっき!~厳冬のキリギリス

7話目:ダンジョン踏破と響の真の力(偽)

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「ヒビキ、このメンバーでクリアできるって言ってたけど、具体的にどうするの?」
「一応、このメンバーでもボスのところまでは行けたよね? ただ、消耗しすぎたけど」

 仲間を呼び寄せる虫がいるせいで連戦となり、体力や術の使用回数や減らされる。
 かといって戦わず逃げ続ければ、大量の虫モンスターがやってきて、一度でも足止めされれば虫の波にに飲み込まれる。
 戦うべき時と、戦わざる時を選ぶ判断が試されるというわけだ。

 そんなんやってられるか!
 俺はもっと楽にクリアするぞ!

 というわけで、先ずは宝箱を見つけます。
 開けます。
 罠があったらヤバイですが構いません。
 なにせ序盤のダンジョンです、そこまで危険なものはありません。

 ……と思っていたら死んだことがあったので耐久力があるホルンに任せます。
 種族として貧相すぎるのよワイ。
 宝箱からはゴミが出ますが構いません、頭のマップに印をつけて進みます。

 次に仲間を呼ぶタイプの虫モンスターを探します。
 でも倒しません、宝箱の場所まで逃げます。

「準備、ヨシ! 任せたホルン!」
「はっ、ハイッ!」

 ホルンは攻撃が来たらつい避けてしまうクセがある。
 だが、この回避性能が飛びぬけて高かった。
 それこそ回避タンクとして機能するほどに。

 ホルンに突撃するも、躱された虫モンスターは哀れ宝箱の中に追突!
 そのまま即座に宝箱を閉めて鍵もかけて監禁成功!

「鍵かけ、ヨシ! 撤退!」

 宝箱の中で虫モンスターは宝箱の中を壊そうと暴れつつ、助けを求めるように他の虫を呼び寄せる。
 その鳴き声を聞きたかった!

 案の定、大量の虫がやってきて宝箱を攻撃する。
 とはいえ宝箱はそう簡単には壊れない。
 それならばとドンドンと仲間を呼ぶが、それが狙いだ。

 奴らが仲間を呼べば呼ぶほど、他のエリアが手薄になる。
 そこを一気に走り抜ければ、消耗なしでボスエリアまで到達できるというわけだ!
 これで万全の状態で戦えるぜゲヘヘヘヘ!

 ―――――思うっていた時期が、俺にもありました。

「ぜぇ……ずぇ…………ぉぇっ……」
「お、おい……大丈夫か?」

 種族として貧相などころか貧弱なせいで、既に俺の体力は限界だった。
 見栄を張って大丈夫だと教える為、手を叩き、指を二本立て、丸を作り―――――。

「拍手……に……まる……?」

 しまった、あの有名なハンドサインは異世界じゃ通じなかった。
 教えればセクハラになるし、教えなかったら無知シチュを楽しむゲス野郎になってしまう!
 俺はどうしたらいいんだ!?

 ……まぁそんなどうでもいいことは、エリアの中央に鎮座しているデカい食虫植物みたいなボスを倒してから考えよう。

「よーし、ここまで来れば勝ったも同然! ヨグさん、やっちゃって!」

 俺の合図と共に、ヨグさんが色術を連発する。
 ヨグさんは術の詠唱ができない。
 逆に言えば、そんなことをせず短時間で火力を叩き込めるというわけだ。

 とはいえ、たった一人でボスを倒すのは難しいだろう。

「ヒビキ、やばい! この匂い……仲間を呼ぶつもりだぞ!」

 そう……こいつ、追い込まれたらフェロモンを出して他の虫モンスターを呼ぶのだ。
 しかも厄介なことに、ボスは生きた虫を食べるとめっちゃ回復する。
 倒された虫を食べられてもちょっと回復する。
 卑怯にもほどがある!

 クラスメイトの皆も大体ここを突破できず、鬼門となっていた。
 だが今は違う!

「トゥラ、出番! とにかく雑魚を撃て! 倒さないように!」
「えっ! た、倒さなくていいのか!?」
「性に奔放で美女を見れば必ず口説くタイプの無法者が言う"何もしないから"と同じくらい信じて!」
「信じられねぇよそんなの!!」

 とか言いながら、しっかりと的確に各色の色術を使って虫を撃ち落としてくれている。
 俺はギリギリ生きている虫モンスターにナイフで傷をつけつつ、すぐさま後退した。

「あ、あの! ボスがモンスターを食べて回復していってます!」

 ホルンが叫ぶが……とんでもねぇ、それを待ってたんだ。
 傷が癒えたはずのボスが苦しみだすのを見て、俺は満足げに頷いた。

「あれは……何をしたんですか!?」
「うん、毒」
「…………毒?」
「も・う・ど・く☆」

 唖然とした三人に説明する。

「あいつ、ボスのくせに状態異常が効くのよ。普通に切って毒にしてもいいけど、触手を自分で切られたら効果なくなりそうだからさ、食べ物に異物混入させたってわけ」
「待った! 待った! なんでそんなの知ってるんだ!?」
「そりゃあ食堂でパイセン達から聞いたからよ」

 まぁ大体の先輩達はレベルを上げてゴリ押せば倒せるとか言ってたけど。
 二年生のあんたらはそれでいいだろうけどさぁ!
 貧弱脆弱な俺には無理なのよそれぇ!

「毒って……そんなの、どこから!?」
「俺が無駄にダンジョンで演奏しては殺されてると思ったか!? すっげぇ運が良かったら脱出できるから、その時に手に入れたアイテム売って買ったんだよ!!」

 プライドも何もかもを投げ捨てて逃げるあの日々はつらかったぜぇー!
 しかも入学早々で毒を買うような奴はいないから購買員さんにめっちゃ疑われたりなぁ!
 俺の土下座をコストにエトルリア先生を召喚して、お願いしてもらったおかげでなんとか買えてよかった。

 そんなことをしている間も、毒は徐々にボスの体を蝕んでいく。

「フゥーハッハッハァ! そこからでは、文字通り手も足も出まい! 滑稽だったぜぇ、毒餌を食べるお前のすがt……ぶへぁ!?」

 意外! それは触手!
 普通に細長い触手が俺の顔面をぶったたいてきた!

 でも死なないということは威力が弱いということ!
 それなら何も怖くない!

「ホルンさん! こっちに攻撃こないように、ちょっとあいつ殴ってきて!」
「は、ハイ! 任せてください!」

 そう言ってホルンはボスへと突撃してくれた。
 まだ怖いのか腰が引けてるようにも見えるが、攻撃は見えているようでしっかり回避できている。

 じゃあ、あとはこのまま放置で……と思っていたが、ヨグさんは何かできないかという視線をこちらに投げかけている。
 ……流石にホルンにだけ戦わせるのも体裁が悪いか。
 とはいえ、ヨグさんは詠唱できないので普通に色術を使ったらフレンドリーファイアーでホルンが死ぬ。
 それすら回避しそうな気はするけど、ぶっつけ本番でやることじゃないな。

「ちょい待ち。何とかするから」

 ホルンとボスの戦いをしっかり観察してみた。
 無秩序な流れにも見えるが、必ず"合う"瞬間があることに気付いた。

「オッケーィ! 俺とヨグさんのデュエットだァー!」

 ホルンとボスの戦いによって生み出されるリズム……それに一番近い曲を選び、俺は楽器を手に取った。

 ボスの攻撃するリズム、ホルンが回避するリズム、それに合わせて曲を弾く。

「ふ~ん、ふんふん♪ <青の牙>!」

 俺の合図で氷の牙がボスに突き刺さる。
 もちろんホルンの回避のタイミングに合わせたので誤射にはならず、ボスにだけダメージが入った。

「ふんふんふ~ん♪ ふんふん♪ <赤の爪>!」

 ホルンを四方から囲もうとしていた触手を、炎が切り裂く。
 あっちはソロだがこっちはパーティー、いくらでもカバーできるのが強みだ。
 そんな調子で何度も援護攻撃をしていると、流れを握った感覚があった。
 俺がリズムを合わせるのではなく、こちらがリズムを取っているという感覚。

 俺の演奏に合わせてボスが攻撃させられ、ホルンが攻撃をするようになる。
 場のイニチアチブを握ったのであれば、もはやこれは戦いではなく、歌劇だ。

 一方的な戦闘支配権……歌劇の最後と同じように、フィナーレを迎えてボスは倒れてしまった。

「フゥー! センキュー!」

 拍手も歓声もないが、やり遂げたという達成感があった。

「や……やった……やったぁ! ほんとうに、倒しましたぁー!」

 肩で息をしながらもホルンが嬉しそうな顔をしながら両手を広げてこちらに走り寄ってくる。
 うんうん、こういうのをしっかり受け止めるのもパーティーメンバーの役得……ゲフン、役目だよね!

「すげぇ! すげぇ! ボクら、本当にやったんだー!」
「ンッ……! ンンッ!」

 だがトゥラとヨグの二人が俺の前に出てインターセプト。
 女子三人だけが抱き合い、俺だけが取り残されてしまった。

 ……いいのよ? 別に全然気にしてないし?
 女の子三人が絡み合う姿とか大好物だし。
 なんなら女の子の間に挟まる宗教にも入ってるから、むしろここからが俺のご褒美タイムだし。

「あっ、そうだ! 宝箱! ボスのお宝見ようよ!」

 いざ行かんヴァルハラへ!……と思っていたがトゥラが封鎖されていた道の先に行ってしまい、他の二人も後を追ってしまった。

 おいちゃん、置いてかれるとちょっと寂しいな……。

「オーイ! ヒビキー! はやく、はやくー!」
「ッカー! しょうがねぇなー! 俺がいないとほんとになー!」

 呼ばれた瞬間に元気になってしまう俺はチョロいのだろうか。
 まぁ女子とワイワイ触れ合いコミュニケーションできるなら一生チョロくていいや。

 そしてボスエリアの先にある宝箱を開けて出てきたものは……怪しい薬だった。

「むぅ、これは!!」
「知ってるのかヒビキ!?」
「伝説の! 服だけを溶かす薬!!」
「マジで!?」
「ごめん、テキトー言っただけ。見ただけじゃ分かんないッピ」
「まぎらわしいっ!」

 せやかてピカピカの一年生に鑑定は無理や。
 つまりこれを持ち帰って購買員さんにお願いをしないといけないのだが……。

「なぁ……気のせいかもしれないけど、遠くから敵の気配が大量に……」
「……あっ!」

 そういえば、他のエリアの敵を釣る為に仲間を呼ぶ虫モンスターを宝箱に閉じ込めてたっけ。
 あれって倒したわけじゃないからそのままだよね?
 そんで、ついさっきまでここでドッカンドッカンと戦ってたよね?

「えー皆さん……悪い知らせと悲しい知らせがあります」
「どっちも聞きたくない……」
「たぶん、隔離した敵がこっちに押し寄せてきてます。しかも手に入れたアイテムを持ち帰るには、ダンジョンから生還しないといけません」

 ボスを倒したらそこに出口みたいのが出るかと思ったが、そうではないらしい。
 つまり……敵の群れから逃げきらないと、成果ゼロ!
 それどころか毒瓶を買うお金も貯めなおしだからマイナスからスタート!

「ボス前の分かれ道あったっしょ? たぶん、もう一つの道の方に出口があるからそこまでダッシュ!」
「まったく、もー! せっかくボスを倒したのに余韻が台無しだー!」

 そう言ってトゥラ達は走る。
 俺は動かない。

「おい、ヒビキ! なにしてるんだよ、早く逃げようよ!」
「フッ……その薬を持ち帰るのであれば、一人が生き残っていればいい……俺はここで時間を稼がせてもらうぜ……」

 実際は長時間の戦闘で足がガックガクのプルプルなせいで走れないだけである。

「ヒ、ヒビキさん……ワタシがおんぶします!」
「ダメだ! 逃げるんだ、ホルン! 俺の分まで生きてくれ!」
「そ、そんな……」

 ぶっちゃけもう立ってるのも限界です。
 だから早く逃げて!
 じゃないと恥も外聞も投げ捨てて倒れられないから!

「うっ……ごめん、ヒビキ……! ホルンも行こう……!」
「ごめんなさい……ごめんなさいっ!」

 泣きそうになっているホルンとヨドを引っ張りつつ、トゥラが走っていく。
 これで逃げ切ってくれればこのダンジョン課題は大成功だ。

「あ~~~~………つっかれたぁ!!」

 床に大の字になって寝転がる。
 だがそんなことは許さんとばかりに、虫の大群がこちらに押し寄せてきた。

「はぁ~~~~……千客万来だけど嬉しくねえ~……」

 座りながら楽器を構え、喉を整える。

「あーあー……それではお聞きください。<ここは俺に任せて先に行けー!>」
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