えっ、一ヶ月以内にエッチしないと死ぬ異世界転生!?

gulu

文字の大きさ
19 / 19

第五回反省会

しおりを挟む
《異界》

「………」
「………」
「はいでシ」
「はいでシ、じゃないが」

 【剣と盾の世界】から戻った俺は、取り敢えずいつもとは逆にニェに正座させていた。

「あのさぁ! 別の世界からヒロインがくるってイベントならいいけどさぁ! どうしてあんなサイコで男な厄介追っかけがくるんだよ! 心臓止まるかと思ったわ!」
「もう止まってるでシ」
「やかましい! ソシャゲだったら詫び石案件だぞ!」
「分かったでシ、じゃあ今から石を送るでシ」

 そう言ってニェが空を指差すと星の一つが徐々に大きくなっていき、流星となってこちらに落ちてきた。

「OK、分かった。取り敢えず話し合おう」
「お前は今までその台詞を言ってきた奴と話し合ってきたでシか?」

 そうは言いながらもニェが指を鳴らすと、流星は花火のように弾け飛んだ。

「……で、あの先代先輩があんなことになったっていうことは、他の異世界転生者も同じ感じだったりするんすか?」
「あ、それについては私から説明を」

 ニェと同じように正座しつつ、凜音さんの介抱をしていたダイヤ様が手を上げる。
 ちなみに凜音さんは急激に増えた自身の”存在“質量で寝込んでいる。

 1ヶ月という期間につき合わせてしまったわけだし、これについては後で謝ろう。

「え~と、先ず異世界転生者は魔王を倒したらスグに他の異世界に転生するわけではありません。大体の人はそのままその世界で過ごしたりしますね」
「魔王を倒すまでに手に入れた物が多すぎて手放せなくなるというやつでシ。居場所、嫁さん、栄誉、財産……それに満足して次の異世界にいかなくなるでシ」

 まぁ分かるわ。
 俺もモテたらそこから動きたくなくなると思うもん。
 一度もモテたことないから実際そうなるかは知らないけど。

「あとは何年か何十年かしてから再び異世界転生する人もいます。この人たちは複数の世界で魔王を倒し続けているので、かなり強いです」
「なんかそういう漫画、見た気がする。点数を集めたら元の生活に戻るか新しい武器を手に入れるか選ぶやつ」
「あれを何十週もしてるやつらでシ。ちなみに、お前が封印したあいつはバリバリに才能があったおかげでトップクラスだったでシ」
「あの子、生前では他人に一度も認められることなく死んじゃいましたから、誰かに認められるのが嬉しくて、おかげで半年で1つの世界を救ったりしてましたよ」
「俺は1ヶ月に1回世界を救いましたけど!!」
「お前は魔王を倒すことしかやってないでシ。アイツは困った人も全員助ける為にサブクエも全部こなした上で魔王を倒してるでシ」
「マジかよ。あのパイセン、凄かったんだな」

 まぁチート能力が出会えば必ず相手より強くなる人だからな。
 本気だしたら俺より早く魔王倒せるぞ。

「ちなみにああいう先輩があと11人いるとかないっすよね」
「安心するでシ。あそこまでの逸材はそうそういないでシ」

 あぁ、よかった。
 もしもまだいるなら全員俺の世界に送ってバトルロイヤルとかやってもらうところだった。

 まぁどれだけ送り込んだところで俺がその世界にいかないと永遠にターンエンドなので決着がつかないのだが。

「それよりニェちゃま、手は大丈夫なの?」
「とっくに生えてるから大丈夫でシ」
「いや、なんか”存在”がどうのこうのって言ってたじゃん」

 右手を食った瞬間にパイセンが強くなってニェが弱体化したのだ、恐らくその分を”奪われた”んだと思う。

「あー……まぁ、なんだ、俺の”存在”の質量が高すぎると爆死するんだろ? なら、そっちに分けようかと思ってたんだけど」
「くれるというのなら貰うでシが、どういう心変わりでシか?」
「バッキャロー! 俺は何も変わってねぇ! ずっと下心で生きてんだ!!」

 そう超え高らかに宣言するとダイヤ様の溜息が聞こえた。
 なんだよぅ! 下心がない方が不誠実な場合もあるでしょう!?

「お前は本当にあれでシね。まぁそれなら貰うでシ」
「ちなみにどんな方法で? やっぱお約束で口からってやつ?」
「それでもいいでシよ。じゃあちょっと触手を入れるでシ」
「止めろ! 触手は入れるものじゃありませんって習わなかったの!?」
「じゃあ触手はどういうものシ?」

 なんだろう、触手の存在意義が分からなくなってきた。
 えっちな絵だと絡みつくのが常識だよな。
 でも俺、触手と絡み合うのは嫌だなぁ。

「仕方ないでシ、それじゃあ腕を出すでシ。そこから吸収するでシ」
「なんか献血みてえ」

 これ終わったらリンゴジュース貰えるのかな。
 あー、ドーナツも食べたくなってきた。

「それじゃあサクっと終わらせるでシ」

 そう言ってニェが俺の腕に優しく口づけをして――――。

「ジュジュジュゾゾゾギュギュギュギュズゴゴゴゴ!!!!」
「いやいやオイオイ待て待て! 一旦止めて落ち着いてタンマタンマ!」
「プハァ……なんでシか」
「なんでシか、じゃねぇよ! 何だよ今の音! 吸い殺す気か!!」

 こう、イメーズとしてはチューチューみたいなカワイイのを想像してたのに、まるで掃除機みたいな感じで吸われていったぞ!?

「悠長にやってたら1年とかかかるでシ。さっさと終わらせるでシ」
「ごめんちょっと待って。流石にあの音は怖――――」
「ズゾゾゾゾゾジュルルルルル!!」
「ああああああヤバイヤバイヤバイ音が怖いめっちゃ怖いのになんか抜けてく感じが気持ちよくてそれがもっと怖くなるアカンってこれアカンやつ!!」
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.09.27 gulu

ありがとうございます!
とりあえずキリのいいところまでサクサク進めていこうと思います!

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界リメイク日和〜おじいさん村で第二の人生はじめます〜

天音蝶子(あまねちょうこ)
ファンタジー
壊れた椅子も、傷ついた心も。 手を動かせば、もう一度やり直せる。 ——おじいさん村で始まる、“優しさ”を紡ぐ異世界スローライフ。 不器用な鍛冶師と転生ヒロインが、手仕事で未来をリメイクしていく癒しの日々。 今日も風の吹く丘で、桜は“ここで生きていく”。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。