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好きじゃない
7 一章〈1〉② エレベーターと階段
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出勤ラッシュのため、そこここで挨拶を交わす声が聞こえ始める。
まだこの会社に入社して間もない俺は、ほぼ顔見知り程度、というより知らない顔がほとんどだったが、無難に挨拶を返していく。
あともう少しで会社に到着する、というところで、ビクリと肩が震えた。
「東條主任、おはようございます。あの、先日の――」
主任と呼ばれた相手と、声をかけた女性の会話が後方から聞こえたからだ。
早鐘のように打つ心臓が、俺の足を早めさせる。視線は向けず、声のした方から少しでも遠ざかるようにと、急いで社屋へと入った。
エントランスホールを抜け、社員エレベーターに向かう。
定員に達し閉まる扉と、まだ降りてこない扉。2台あるエレベーターが、今日はなぜか遅く感じた。
(早くしないと、追いつかれるのに……)
このままだと、次のエレベーターに同乗することになるかもしれない。
俺は人混みを避けるようにそっと抜け出すと、人気の少ない階段の方へと足を向けていた。
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